ケアマネが福祉サービスを紹介してくれない主な理由は、業務範囲の認識の違い、囲い込みによる利益誘導、知識不足、多忙による時間的制約、そして利用者のニーズが正確に伝わっていないことにあります。ケアマネジャーに希望するサービスを紹介してもらえないときは、希望を具体的に伝える、地域包括支援センターに相談する、ケアマネジャーを変更するといった対処法が有効です。本記事では、ケアマネが福祉サービスを紹介してくれない理由を多角的に解説し、すぐに実践できる具体的な対処法をわかりやすくお伝えします。介護が必要なご家族を支えるにあたって、ケアマネジャー(介護支援専門員)は在宅介護の要ともいえる存在です。ケアプランの作成から介護サービスの調整、関係機関との連絡まで、ケアマネジャーは幅広い役割を担っています。しかし、「相談しても希望するサービスを紹介してもらえない」「いつも同じ事業者しか提案してこない」「欲しい情報がなかなか得られない」といった悩みを抱えるご利用者やご家族は少なくありません。なぜこのような状況が生まれるのか、そしてどう対処すればよいのかを詳しく見ていきましょう。

ケアマネジャーの役割とは?福祉サービス紹介との関係
ケアマネジャーとは、介護保険法に基づいて活動する介護支援専門員のことです。主な業務はケアプラン(介護サービス計画書)の作成、利用者や家族の状態把握(アセスメント)、各種介護サービス事業所との連絡・調整、サービスが適切かどうかの定期確認(モニタリング)、そして介護保険の申請手続きや更新のサポートとなっています。
ケアマネジャーの本来の職務は「介護保険サービス」の範囲内でのサポートです。介護保険制度の枠組みの中でケアプランを作成し、利用者が必要なサービスを適切に使えるよう調整することが中心となります。このため、介護保険の対象外となるサービス、たとえば自費サービスや障害福祉サービスなどについての情報提供は、必ずしもケアマネジャーの本来業務とはみなされていない部分があります。
ただし、ケアマネジャーには利用者の生活全般を支援する視点が求められているため、保険外サービスについても積極的に情報提供すべきという考え方も広まっています。この役割の範囲に関する認識の違いが、福祉サービスを紹介してくれないという問題の背景にあるのです。
ケアマネが福祉サービスを紹介してくれない6つの理由
理由1:業務範囲外であると判断している
ケアマネジャーが福祉サービスを紹介してくれない最も一般的な理由は、「自分の業務範囲ではない」と線引きをしているケースです。ケアマネジャーは介護保険法の専門家であり、介護保険サービスの手続きや調整には精通していますが、住まいの選択肢や民間サービスの紹介については専門外である場合があります。
たとえば、「老人ホームに入りたい」という相談に対して、「それは施設の担当者に聞いてください」「地域包括支援センターに相談してください」と言われた経験がある方もいるでしょう。これは、施設探しが居宅ケアマネジャーの本来業務とは必ずしも一致しないためです。住宅改修に関する情報提供や施設入居の案内、障害福祉サービスの調整など、介護保険の枠を超えた支援については対応が薄くなりがちです。
理由2:囲い込みによる利益誘導の問題
ケアマネジャーの多くは居宅介護支援事業所に所属しています。この事業所が訪問介護や通所介護などの介護サービス事業所と同じ法人・グループに属している場合、利用者を自社のサービスに誘導する「囲い込み」が発生することがあります。囲い込みとは、特定の法人や系列事業所のサービスだけをケアプランに組み込み、利用者が本来必要とする多様なサービスへのアクセスを妨げることを指します。
介護保険事業所を1つ以上併設・隣接している高齢者向け住まい(サービス付き高齢者向け住宅など)の割合は全体の約67.9%に達しているとも言われています。このような環境では、ケアマネジャーが意図的に、または無意識のうちに自社サービス以外の情報を伝えなかったり、他の選択肢を提示しなかったりすることがあります。
厚生労働省はこの問題を重く見ており、2024年度の介護報酬改定では「特定事業所集中減算」制度が強化されました。これはケアプランにおいて特定の事業者のサービスが80%を超えた場合に報酬を減算する仕組みです。さらに2025年以降は、ケアマネ変更の誘導・強要を禁止するルールの厳格化も進められています。囲い込みは利用者の自由なサービス選択を妨げる不適切な行為であり、ケアマネジャーは公正中立を保つ義務があります。
理由3:知識・情報のアップデート不足
介護保険制度は数年ごとに改定され、新しいサービスや制度が次々と生まれます。また、地域によって利用できるサービスの内容や事業所の数は大きく異なります。ケアマネジャーが最新の情報やサービスについて十分に把握できていない場合、利用者に紹介できる選択肢が限られてしまうことがあります。
特に、民間の自費サービスや地域の独自サービス(移動支援、配食サービス、地域ボランティアなど)については地域差が大きく、ケアマネジャーによって知識の差がある部分です。最新のサービス情報を継続的にアップデートしているかどうかが、ケアマネジャーの提案力に直結します。
理由4:多忙により十分な対応ができない
2024年度の介護報酬改定により、ケアマネジャー1人あたりの担当件数の上限は44件(一定の条件のもとで49件まで)に引き上げられました。しかし、多くのケアマネジャーはすでに担当利用者でいっぱいの状態であり、1人1人に丁寧なサービス提案をする時間的余裕がないのが現実です。
厚生労働省の試算によると、2025年時点ですでに約2万7千人のケアマネジャーが不足しており、2040年には約8万3千人が不足すると予測されています。このケアマネジャー不足の現状では、1人のケアマネジャーが多数の利用者を抱え込み、個別の丁寧な支援が難しくなっています。さらに、本来業務以外の電話対応や保険外の相談対応に時間を取られているという実態も指摘されており、サービス提案に割ける時間がさらに少なくなっています。
理由5:利用者・家族のニーズが正確に伝わっていない
ケアマネジャーとの関係で「遠慮してしまう」「うまく希望が伝えられない」というケースも見受けられます。ケアマネジャーが「特に困っていることはない」と判断してしまうと、追加のサービス提案が行われないこともあります。ケアマネジャーはアセスメントのプロですが、利用者や家族が積極的に情報を発信しなければ、本当のニーズが見えにくくなることがあります。
理由6:独立型と法人所属型の構造的な違い
ケアマネジャーには、特定の法人から独立して運営する「独立型居宅介護支援事業所」のケアマネジャーと、介護サービス事業者に併設する事業所のケアマネジャーがいます。独立型ケアマネジャーは自社サービスへの誘導が構造的に起きにくく、公正中立なケアマネジメントが行いやすいとされています。
一方、法人所属型のケアマネジャーの場合、組織の方針や利益構造がケアマネジメントに影響を及ぼすことがあります。「なぜかいつも同じ訪問介護事業所しか提案されない」「他の事業所を調べてと言ったら嫌な顔をされた」という声の背景には、こうした構造的な問題が潜んでいる場合があります。
ケアマネジャーの公正中立義務とは
介護保険法およびその関連法令において、ケアマネジャーには「公正中立」にケアマネジメントを行うことが義務付けられています。具体的には、利用者が自由にサービスや事業所を選択できるよう支援すること、特定の事業者のサービスを優先的に提案しないこと、利用者や家族に十分な説明を行い同意を得ること、そしてケアプランの作成において利用者の意向を最大限に尊重することが求められています。
ケアマネジャーが利用者を特定の事業者へ誘導したり、他のサービスの情報を意図的に伝えなかったりすることは、公正中立義務に反する不適切な行為です。2025年以降、国はこの問題への対応をさらに強化しており、老人ホームや施設などの囲い込み防止のためのケアプランチェックや、ケアマネ変更の強要・誘導の禁止に関するルール整備が進められています。
ケアマネが福祉サービスを紹介してくれないときの7つの対処法
対処法1:希望を具体的に伝える
最も基本的かつ重要な対処法は、自分や家族が何を求めているのかを具体的にケアマネジャーに伝えることです。「もっと外出機会が欲しい」「入浴介助を週3回に増やしたい」「老人ホームの見学をしたい」など、明確な要望を言葉にすることが大切です。漠然とした「もっとよくしてほしい」では、ケアマネジャーも対応しづらいため、具体的なニーズを伝えることで提案の幅が広がります。
また、要望をメモや書面にまとめて渡すことも有効です。記録に残すことで、後々のやり取りがスムーズになります。
対処法2:地域包括支援センターに相談する
地域包括支援センターは、高齢者の生活全般に関する相談を無料で受け付けている機関です。介護保険サービスだけでなく、地域の福祉サービスや民間サービスについても情報を提供してくれます。ケアマネジャーに紹介してもらえないサービスがある場合や、ケアマネジャーの対応に疑問を感じた場合は、地域包括支援センターに相談することをおすすめします。
地域包括支援センターはケアマネジャーへの指導・助言機能も持っており、ケアマネジャーの対応改善を求める窓口にもなります。
対処法3:市区町村の介護保険担当窓口に相談・苦情申し立てをする
ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所は、市区町村から事業指定を受けています。そのため、ケアマネジャーの対応に問題がある場合は、市区町村の介護保険担当窓口(介護保険課など)に相談・苦情申し立てを行うことができます。市区町村は居宅介護支援事業所に対する指導・監督権限を持っており、苦情申し立てを受けて指導が行われることがあります。
対処法4:国民健康保険団体連合会(国保連)に苦情申し立てをする
国民健康保険団体連合会(国保連)は、介護保険サービスに関する苦情を専門に受け付けている機関です。ケアマネジャーやサービス提供事業所に対する苦情にも対応しており、中立的な立場から調査・対応を行います。サービスに関する正式な苦情がある場合は、国保連への申し立てが有効な手段となります。
対処法5:ケアマネジャーを変更する
ケアマネジャーとの相性が合わない、対応に不満がある、公正中立なケアマネジメントが行われていないと感じる場合は、ケアマネジャーの変更を検討しましょう。ケアマネジャーの変更は利用者の権利であり、変更に際して費用はかかりません。いつでも変更が可能です。
変更の手順としては、まず現在のケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所に変更の意向を伝えます。同じ事業所内の別のケアマネジャーへの変更も可能です。または、地域包括支援センターや市区町村の窓口に相談し、新しいケアマネジャーの紹介を依頼する方法もあります。新しいケアマネジャーと面談し問題なければ契約を締結し、市区町村への変更手続きは新しいケアマネジャーが行ってくれます。
なお、変更前に一度「どのような支援を期待しているか」を率直に話し合うことで、関係が改善されるケースもあります。まずは対話を試みることも選択肢の一つです。
対処法6:独立型ケアマネジャーを選ぶ
独立型居宅介護支援事業所(特定の介護サービス事業者に属さない事業所)のケアマネジャーは、囲い込みが起きにくく、公正中立なケアマネジメントを受けやすいといわれています。現在のケアマネジャーに囲い込みの疑いがある場合や、より中立的な立場のサポートを求める場合は、独立型のケアマネジャーへの変更を検討することが一つの選択肢です。
対処法7:介護保険外サービスについて自分で情報収集する
ケアマネジャーが介護保険外のサービス(自費訪問介護、配食サービス、移動支援、生活支援サービスなど)を紹介してくれない場合、自分で情報収集することも大切です。地域包括支援センターや市区町村の福祉担当窓口では、介護保険外の地域サービスについての情報も提供しています。また、インターネットや地域の情報紙でも、民間の生活支援サービスについて調べることができます。
ケアマネジャーに対して「このサービスは使えますか?」と具体的に質問することで、より積極的な情報提供が引き出せる場合もあります。
ケアマネジャー変更のタイミングと注意点
ケアマネジャーを変更する際は、月末から月初のタイミングが最もスムーズです。月の途中で変更すると介護報酬の算定が複雑になる場合があるため、できれば月をまたいでの変更が望ましいとされています。
変更を進める際に特に大切なことは、利用しているサービスを継続したいのであれば、「介護サービスは変えずにケアマネジャーのみを変更したい」という意向を明確に伝えることです。この情報が旧ケアマネジャーと新ケアマネジャーの間でしっかり引き継がれれば、利用者本人が受けているサービスに支障が出ることは基本的にありません。
また、変更理由を伝える際は感情的にならず、なるべく客観的に説明することが大切です。「連絡がとりにくい」「希望するサービスを提案してくれない」「説明が不十分だった」など、具体的な事実を冷静に伝えることで、地域包括支援センターや担当窓口もスムーズに対応してくれます。
要介護者本人にとって、ケアマネジャーの交代はストレスになる場合もあります。サービスが突然変更されることがないよう、事前に本人へ丁寧に説明しておくことが安心につながります。新しいケアマネジャーを選ぶ際は、要介護者の状態に応じた専門性を確認することも重要です。たとえば医療的ケアが必要な方には医療知識のある看護師資格を持つケアマネジャーが、認知症の方には認知症ケアに精通したケアマネジャーが適している場合があります。
ケアマネジャーとの上手なコミュニケーション術
ケアマネジャーとの関係をよりよくするためには、利用者側のコミュニケーションの取り方も重要です。
希望や不満は具体的に言語化しましょう。「なんとなく不満」という状態では、ケアマネジャーも対応が難しくなります。「週2回の訪問介護では入浴が足りない」「もっと外出できるデイサービスを探したい」「夜間の対応ができる事業者を探してほしい」など、できるだけ具体的な言葉で伝えることが大切です。
気になることはメモして渡すのも効果的です。高齢の方を介護している家族にとって、限られた面談時間の中ですべてを伝えるのは難しいことがあります。普段から気になること・要望をメモしておき、ケアマネジャーの訪問時に渡すと、漏れが少なくなります。
「他のサービスは何がありますか?」と積極的に聞きましょう。ケアマネジャーは必ずしも積極的にすべての選択肢を提示してくれるとは限りません。「他にどんな選択肢がありますか?」「この地域では他にどんなサービスがありますか?」と質問することで、より多くの情報が引き出せることがあります。
定期的なモニタリング面談を活用しましょう。ケアマネジャーは月に1回以上の頻度でモニタリングを行う義務があります。このモニタリング面談の機会を積極的に活用し、現在のサービスへの満足度や今後の希望をしっかり伝えることが大切です。
良いケアマネジャーを見分けるポイント
サービスを適切に紹介してくれる信頼できるケアマネジャーには、いくつかの共通した特徴があります。まず、利用者や家族の話をよく聞き、希望やニーズを丁寧に把握しようとする姿勢があることです。次に、複数のサービス事業所の選択肢を提示し、利用者自身が選べるよう支援してくれることも大切なポイントです。
自社や系列のサービスだけでなく、地域全体のサービス情報を提供する姿勢があるかどうかも重要です。利用者が不満や疑問を伝えたとき、誠実に向き合い対応する態度も信頼の証といえます。定期的なモニタリングを行いサービスの見直しを積極的に提案してくれること、そして介護保険外のサービスについても情報を持ち必要に応じて紹介してくれることも、良いケアマネジャーの特徴です。
良いケアマネジャーは「利用者の最善の利益」を軸に動きます。利用者や家族も積極的に関与し、二人三脚でケアマネジメントを進めていくことが大切です。
利用者の権利:サービスを「選ぶ」のは利用者自身
ケアマネジャーの役割は、利用者が自分に合ったサービスを「選択できる」よう支援することです。介護保険制度の根幹には「利用者の自己決定の尊重」があり、ケアプランに盛り込むサービス事業所の選択は、最終的に利用者や家族が行う権利を持っています。
介護支援専門員の倫理綱領においても、「利用者が自らの人生の主人公となれるよう、意思表示が難しい場合であっても、可能な限り自己決定できるように、意思決定のプロセスへの支援を行うこと」が明記されています。ケアマネジャーが特定のサービスを押し付けたり、利用者の選択肢を狭めたりすることは、制度の根本的な考え方に反します。
利用者や家族は「サービスを選ぶ権利がある」ということを知っておくことが、適切なケアマネジメントを受けるための大前提です。ケアマネジャーから提案を受けたとき、「他に選択肢はありますか?」「なぜこの事業所を選んだのですか?」と率直に質問することは、利用者として当然の権利行使です。ケアプランに盛り込まれたサービスに疑問があれば、同意前に「一度確認したい」と時間をもらうことも可能です。署名・捺印する前にしっかりと内容を理解し、納得した上で同意することが重要です。
ケアマネジャーが紹介できる介護保険サービスの全体像
ケアマネジャーから適切な提案を受けるためには、介護保険でどのようなサービスが利用できるかを利用者側も把握しておくことが有効です。
訪問サービス(自宅に来てもらうタイプ)としては、訪問介護(ホームヘルプサービス)があり、ホームヘルパーが自宅を訪問して食事・入浴・排泄などの身体介護や掃除・洗濯・買い物などの生活援助を行います。訪問入浴介護は、自力での入浴が難しい方のために浴槽を積んだ専用車で自宅に訪問し入浴を介助するサービスです。訪問看護では看護師や保健師などが自宅を訪問し、医師の指示に基づいた医療的処置や健康管理を行います。訪問リハビリテーションでは理学療法士や作業療法士などが自宅を訪問し、機能回復や維持のためのリハビリを行います。居宅療養管理指導は医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士などが自宅を訪問し、療養上の管理や指導を行うサービスです。
通所サービス(施設に通うタイプ)としては、通所介護(デイサービス)があり、日中デイサービスセンターに通い食事・入浴・機能訓練・レクリエーションなどのサービスを受けます。通所リハビリテーション(デイケア)は、介護老人保健施設や病院などに通い理学療法士・作業療法士などによるリハビリを中心としたサービスです。
短期入所サービスとしては、短期入所生活介護(ショートステイ)があり、介護老人福祉施設などに短期間宿泊しながら介護や機能訓練などを受けられます。介護者の休息(レスパイト)にも活用されるサービスです。短期入所療養介護は、医療的管理が必要な方が介護老人保健施設などに短期入所してリハビリや医療的ケアを受けるサービスです。
その他の居宅サービスとしては、福祉用具貸与があり車いす・介護ベッド・歩行補助具などを介護保険でレンタルできます。特定福祉用具購入は入浴用いすなどレンタルになじまない福祉用具の購入費用を年間10万円を上限に支給する制度です。住宅改修は手すりの取り付けや段差の解消など住宅改修費用を上限20万円まで支給する制度です。
介護保険外のサービスも含めた幅広い支援
介護保険サービスだけでなく、介護保険外のサービスや地域資源も必要に応じてケアマネジャーが情報提供すべき内容です。配食サービス(食事を自宅に届けてもらうサービス)、移動支援・外出支援サービス、訪問理美容サービス、家事代行サービス(掃除・洗濯・買い物など)、老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の見学・紹介、障害福祉サービス(障害を持つ高齢者が利用できる支援)、民生委員・ボランティアによる見守り活動、地域のサロンや通いの場など、さまざまなサービスが存在します。
「介護保険外だから知らない・紹介できない」ではなく、利用者の生活全体を支えるパートナーとして積極的に情報提供する姿勢が、良いケアマネジャーには求められます。
2025年以降の介護保険制度の動向とケアマネジャーを取り巻く環境
2025年以降、ケアマネジャーを取り巻く制度環境はさらに変化しています。厚生労働省は2027年の介護保険改正に向けて、ケアマネジャーの処遇改善、業務範囲の明確化、ICT活用の推進を重点テーマとして検討を進めています。また、囲い込み防止に向けたケアプランの点検・監督体制の強化や、利用者がケアマネジャーを適切に変更できるための環境整備なども議論されています。
ケアマネ不足が深刻化する中で、1人のケアマネジャーが質の高いサービス提案を行える環境づくりが急務とされており、今後の制度改正の動向に注目が必要です。利用者・家族の立場からは、こうした制度の動向を知っておくことで、自分の権利をより正確に把握し、必要なサービスを受けるための行動が取りやすくなります。
ケアマネが福祉サービスを紹介してくれない場合によくある疑問
ケアマネジャーを変更すると今のサービスが使えなくなるのではと心配される方も多いですが、ケアマネジャーを変更しても継続して同じ介護サービスを利用することは可能です。「現在のサービスはそのまま継続したい」という意向を新旧のケアマネジャーと地域包括支援センターに明確に伝えれば、サービスの引き継ぎはスムーズに行われます。
ケアマネジャーの変更に費用がかかるのではという不安もよく聞かれますが、変更に際して費用は一切かかりません。利用者はいつでも自由にケアマネジャーを変更する権利があります。
複数のケアマネジャーに相談できるかという点については、原則として居宅サービスの利用者は1人のケアマネジャー(1つの居宅介護支援事業所)と契約する形になります。複数のケアマネジャーと同時に契約することはできませんが、候補のケアマネジャーとの面談(インテーク)は複数行うことが可能です。
ケアマネジャーが特定のデイサービスしか提案してくれない場合、利用者には事業者を自由に選択する権利があります。ケアマネジャーの提案を断り、別の事業者を希望することは可能です。「他の事業所の情報も見たい」と伝え、複数の選択肢を比較した上で決めることが理想的です。ケアマネジャーが同一法人のサービスのみを強く推薦する場合は、囲い込みの可能性を疑い、地域包括支援センターや市区町村窓口へ相談しましょう。
ケアマネジャーの対応に困った場合の相談先としては、まずケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所の管理者に相談してみましょう。それでも解決しない場合は、地域包括支援センター、市区町村の介護保険担当窓口、または国民健康保険団体連合会(国保連)に相談・苦情申し立てを行うことができます。
自分で介護サービスを調べて「このサービスを使いたい」とケアマネジャーに伝えることも、もちろん可能です。利用者から具体的なサービスを希望することは、ケアマネジャーにとっても参考になります。ただし、そのサービスが介護保険の対象かどうか、要介護度の区分支給限度額内に収まるかなどはケアマネジャーと確認しながら進めることが大切です。
まとめ:ケアマネが福祉サービスを紹介してくれないときは行動が大切
ケアマネジャーが福祉サービスを紹介してくれない背景には、業務範囲の認識の問題、囲い込みによる利益誘導、知識・情報のアップデート不足、多忙による時間的制約、利用者のニーズが正確に伝わっていないこと、そして所属法人の方針による影響といった複合的な理由があります。
こうした状況に対しては、希望を具体的かつ積極的に伝えること、地域包括支援センターや市区町村窓口に相談すること、国保連に苦情申し立てを行うこと、ケアマネジャーを変更すること(必要に応じて独立型へ)、そして介護保険外サービスの情報を自分でも収集することが有効な対処法です。
介護はご本人や家族にとって、長期にわたる大切なテーマです。ケアマネジャーはその重要なパートナーですが、一方的に任せきりにせず、積極的に関わり、必要なサービスを受ける権利を自ら行使していくことが、より良い介護生活につながります。もしケアマネジャーとのやり取りに不満や疑問を感じたときは、一人で抱え込まず、地域包括支援センターや市区町村の窓口に相談することをためらわないでください。利用者・家族が声を上げることが、適切なケアマネジメントを受けるための第一歩です。








