高齢者の住宅改修に活用できる補助金とは、介護保険制度に基づく「住宅改修費支給制度(上限20万円)」と、各自治体が独自に設けている「高齢者住宅改修助成制度」の二つです。いずれもお住まいの市区町村窓口へ着工前に事前申請することが必須条件となっており、ケアマネジャーや地域包括支援センターへの相談から手続きが始まります。
実家のバリアフリー化や、加齢に伴う生活動線の見直しを検討する家庭が増えています。手すりの取付け、段差の解消、浴室・トイレの改修といった工事は、高齢者が在宅で安全に暮らし続けるために欠かせません。一方で、こうした工事には数十万円から場合によっては百万円を超える費用が必要となり、家計への影響を心配する声も多く聞かれます。本記事では、高齢者の住宅改修に使える補助金と自治体ごとの助成制度、そして申請方法を体系的に整理し、自己負担を最小限に抑えながら住環境を整えるための具体的な手順を詳しく解説します。

高齢者の住宅改修補助金とは何か
高齢者の住宅改修補助金とは、要介護・要支援認定者や一定年齢以上の高齢者が自宅をバリアフリー化する際に、工事費用の一部を公的に支援する仕組みです。制度は大きく分けて、全国共通の介護保険による「住宅改修費支給制度」と、市区町村が独自に運営する助成事業、さらに国土交通省関連のリフォーム支援、固定資産税の減額措置の四つで構成されています。
これらの制度を理解しておくと、たとえば手すりの取付けと段差解消だけなら介護保険で十分に賄えるケースが多く、浴槽の交換や洗面台の取替えといった大型工事を伴う場合は自治体独自制度の上乗せが大きな助けになるなど、工事内容に応じた最適な組み合わせが見えてきます。
制度を活用するメリット
補助金を活用する最大のメリットは、自己負担額を大幅に圧縮できる点にあります。介護保険の1割負担の方であれば、20万円の工事に対して自己負担はわずか2万円にとどまり、18万円が保険から支給される計算です。さらに自治体独自制度を併用できれば、介護保険の対象外となる工事についても助成を受けられる可能性が広がります。
また、補助金申請の過程で必ずケアマネジャーや専門家の助言を受けることになるため、本当に必要な工事の優先順位を整理できる点も見逃せない利点です。場当たり的なリフォームではなく、将来の身体状況の変化まで見据えた計画的な改修につながります。
介護保険による住宅改修費支給制度の全体像
介護保険による住宅改修費支給制度は、要介護・要支援の認定を受けた方が自宅で安全に生活できるよう、住宅改修費用の最大9割を支給する全国共通の制度です。支給限度基準額は1住宅あたり20万円に設定されており、自己負担割合は所得に応じて1割から3割となります。
20万円の工事を行った場合、1割負担の方の自己負担は2万円、2割負担の方は4万円、3割負担の方でも6万円にとどまります。残りはすべて介護保険から給付されるため、初期費用を抑えながら必要な改修を進められる点が大きな魅力です。
利用できる対象者の条件
介護保険の住宅改修費支給制度を利用するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
まず必須となるのが、要支援1・2または要介護1〜5のいずれかの認定を受けていることです。介護保険の被保険者であっても、認定を受けていない方は対象外となります。認定を受けていない場合は、市区町村の介護保険窓口で要介護認定の申請から始める必要があります。
次に、改修を行う住宅が、対象者が実際に居住している自宅であり、住民票の住所と一致していることが原則です。介護施設に入所している方や、住民票と異なる住所に暮らしている方は対象外となるケースが一般的ですが、退院・退所を前提として自宅へ戻る準備として工事を行う場合には例外的に認められる場合もあります。判断に迷うときは、担当ケアマネジャーまたは市区町村の介護保険窓口へ早めに確認しましょう。
賃貸住宅にお住まいの場合は、住宅所有者である家主や管理会社から、改修工事についての承諾書を取得することが申請の前提条件となります。退去時の原状回復義務についても、契約内容を事前に確認しておくと安心です。
対象となる6種類の工事
介護保険による住宅改修費支給の対象工事は、次の6種類に限定されています。
第一は手すりの取付けです。廊下、階段、トイレ、浴室、玄関といった生活動線上に新たに手すりを設置する工事が該当します。転倒防止や立ち上がり動作の補助に直結する基本的な改修であり、もっとも申請件数が多い工事の一つです。既存の手すりを単に補修・交換するだけでは対象外となる点に注意が必要です。
第二は段差の解消です。玄関の上がり框へのスロープ設置、廊下や居室の敷居の撤去、浴室の床のかさ上げ工事などが含まれます。車いす利用者だけでなく、足腰の弱った高齢者にとっても段差はつまずきの大きな要因となるため、安全性の向上に直結する工事です。
第三は滑りの防止および移動の円滑化のための床材変更です。畳をフローリングや滑り止め加工のある素材へ張り替える工事、浴室の床を滑りにくいタイルやシートへ変更する工事が対象となります。
第四は引き戸等への扉の取替えです。開き戸を引き戸や折り戸へ変更する工事のほか、ドアノブをレバーハンドルや引き手へ交換する工事、ドア幅を拡張する工事も含まれます。
第五は洋式便器等への便器の取替えです。和式便器を洋式便器へ交換する工事が該当します。高齢者にとって和式のしゃがむ姿勢は膝や腰への負担が大きく、転倒のリスクも高いため、洋式化は日々の動作の負担軽減につながります。なお、温水洗浄便座への単なるグレードアップは対象外です。
第六は上記工事に付帯して必要となる住宅改修です。床材変更に伴う下地補強、手すり取付けのための壁の補強工事などが該当します。
支給限度額と三段階リセットの仕組み
支給限度基準額は1住宅あたり20万円で、これは生涯を通じての累積額として管理されます。複数の工事を同時に申請する場合でも、合算した工事費に対して20万円を上限として支給割合が適用されるという考え方です。
ただし、以下のいずれかの条件に該当した場合は、新たに20万円の枠が再設定されます。これがいわゆる「三段階リセット」と呼ばれる仕組みです。
一つ目の条件は、要介護状態区分が初回申請時から三段階以上重くなった場合です。たとえば最初の申請時に要支援1だった方が、その後の認定で要介護2以上になった場合、再度20万円の枠を利用できます。
二つ目の条件は、転居した場合です。引越しなどで住宅が変わった際は、新たな住宅において改めて20万円の枠が適用されます。
これらの条件に該当する場合は、改めて市区町村窓口へ申請手続きを行うことで追加の支給を受けられます。
介護保険の住宅改修費 申請方法の流れ
介護保険の住宅改修費の申請方法は、工事着工前の事前申請と工事完了後の事後申請の二段階で構成されています。事前申請を経ずに工事を始めてしまうと、原則として給付を受けられなくなるため、手順の遵守が極めて重要です。
ステップ1 ケアマネジャーへの相談と理由書の作成
最初のステップは、担当ケアマネジャー(介護支援専門員)への相談です。どのような改修が必要か、介護保険の対象になるかを協議し、「住宅改修が必要な理由書」を作成してもらいます。
ケアマネジャーがいない要支援者の場合は、お住まいの地区を担当する地域包括支援センターへ問い合わせます。理由書は、ケアマネジャー以外に福祉住環境コーディネーター2級以上の有資格者なども作成できる場合があります。
ステップ2 施工業者の選定と見積書の取得
次に、改修工事を依頼する業者を選定し、詳細な見積書を作成してもらいます。あわせて、工事予定箇所の現状写真(日付入り)も撮影しておきます。見積書には、工事種別ごとの数量・単価・合計金額が明確に記載されていることが申請審査上のポイントとなります。
業者選定では、バリアフリーや介護リフォームの実績が豊富で、補助金申請への対応経験がある業者を選ぶことが、その後の手続きをスムーズに進める鍵となります。
ステップ3 事前申請書類の提出
工事着工前に、次の書類を市区町村の介護保険担当窓口へ提出します。
| 書類名 | 作成者・取得先 |
|---|---|
| 居宅介護(介護予防)住宅改修費支給申請書 | 申請者本人または家族 |
| 住宅改修が必要な理由書 | ケアマネジャー等 |
| 工事費見積書(内訳書含む) | 施工業者 |
| 工事前の状態がわかる写真(日付入り) | 申請者または施工業者 |
| 改修後の完成予定がわかる図面・写真 | 施工業者 |
| 住宅所有者の承諾書(賃貸住宅の場合) | 家主・管理会社 |
提出後、市区町村による審査が行われ、結果が通知されます。
ステップ4 承認通知の受領と着工
審査が完了すると、支給承認通知書または不承認通知書が郵送されます。承認通知が届いてから工事を開始するのが鉄則であり、通知前に着工してしまうと給付を受けられなくなる恐れがあります。
ステップ5 工事完了後の事後申請
工事が完了したら、以下の書類を再度窓口へ提出し、事後申請を行います。
| 書類名 | 内容 |
|---|---|
| 工事完了報告書 | 工事内容の最終報告 |
| 工事後の状態がわかる写真(日付入り) | 改修後の現況 |
| 工事費領収書 | 業者発行の正式な領収書 |
| 工事費の内訳がわかる明細書 | 費目ごとの詳細 |
事後審査を経て、問題がなければ指定口座へ給付金が振り込まれます。審査から振込までの期間は自治体により異なりますが、通常は数週間から1か月程度を見込んでおくとよいでしょう。
償還払いと受領委任払いの違い
支払い方式には償還払いと受領委任払いの二種類があります。償還払いは、利用者がいったん工事費の全額を施工業者へ支払い、後から保険給付分が指定口座へ振り込まれる方式です。一時的に全額を立て替える必要があるため、まとまった資金準備が求められます。
一方の受領委任払いは、利用者が自己負担分のみを業者へ支払い、保険給付分は市区町村から直接業者へ支払われる仕組みです。初期費用の負担を大幅に抑えられる利点があるものの、自治体が指定した登録事業者へ依頼する場合に限定されることが多いため、対応可否を事前に確認しておく必要があります。
自治体独自の高齢者住宅改修助成制度
自治体独自の高齢者住宅改修助成制度とは、各市区町村が介護保険制度とは別に独自財源で設けている補助金・助成金制度の総称です。「高齢者住宅改修助成事業」「高齢者自立支援住宅改修給付事業」などの名称で運営されており、介護保険ではカバーしきれない工事への支援や、上乗せ給付として機能します。
自治体独自制度の3つの特徴
まず、対象工事の範囲が介護保険よりも広い点が挙げられます。介護保険では対象外となる浴槽の交換、流し台・洗面台の取替え、玄関アプローチ全体の改修などについても、自治体独自制度なら助成対象に含まれるケースがあります。
次に、介護保険の支給限度額を超えた部分に上乗せ給付を行う自治体も存在します。20万円を超える大規模な工事を予定している場合は、こうした上乗せ制度の有無を必ず確認しておきたいところです。
さらに、要介護認定を受けていない高齢者でも利用可能な制度があります。介護保険の住宅改修費支給は要支援・要介護認定が前提ですが、自治体独自制度では65歳以上であれば申請できる仕組みを持つ自治体もあり、認定前の予防的な改修にも活用できます。
東京都の取り組み
東京都では、介護保険の対象外となる工事に対して独自の助成を行っています。東京都住宅改善事業(バリアフリー化)の枠組みでは、浴槽の取替え(上限379,000円)、流し・洗面台の取替え(上限156,000円)、便器の洋式化(上限106,000円)といった大型設備の交換について助成が受けられます。
都内の各区市町村でも独自の高齢者自立支援住宅改修助成事業が整備されており、大田区、八王子市、墨田区などが代表的な事例です。介護保険対象工事に加えて、自治体独自の対象工事についても助成が行われているため、都・区市町村・国の制度を重ねて活用することで、より手厚い支援を受けられる可能性があります。
大阪市の取り組み
大阪市では「高齢者住宅改修費給付事業」として、介護保険の住宅改修に関連する工事のうち、介護保険の支給対象とならない部分について独自の給付制度を設けています。
大阪市の大きな特徴は、給付券方式という独自の支払いスキームを導入している点です。利用者は自己負担分のみを業者へ支払い、給付分は市が発行する給付券によって直接事業者へ支払われます。償還払いのように工事費の全額を一時的に立て替える必要がないため、資金面の負担を大幅に軽減できます。この方式を利用するには、登録された「給付券取扱事業者」へ依頼する必要があります。
神戸市と千葉市の取り組み
神戸市では「住宅改修助成事業」として、介護保険の住宅改修と組み合わせて利用できる独自助成を行っています。市の担当窓口へ問い合わせれば、介護保険と自治体助成の最適な組み合わせについて具体的なアドバイスを受けられます。
千葉市では「高齢者住宅改修費支援サービス事業」として独自の支援を行っており、介護保険対象工事に加え、介護保険外の工事についても独自に助成しています。
お住まいの自治体の制度を確認する方法
自治体独自制度は、自治体ごとに対象者・対象工事・補助金額がまったく異なります。お住まいの市区町村の制度を確認する方法としては、次のようなアプローチが効果的です。
第一に、市区町村の公式ウェブサイトで「高齢者住宅改修」「住宅改修助成」「バリアフリー助成」などのキーワードで検索する方法があります。第二に、市区町村の高齢者福祉担当窓口へ電話または来庁で直接問い合わせる方法も確実です。第三に、地域包括支援センター(おとしより相談センターという呼称の地域もあります)へ相談する方法も有効です。担当ケアマネジャーがいる場合は、地域の制度に詳しいことが多いため、まずケアマネジャーへ相談すると話が早く進みます。
国のリフォーム支援制度と税制優遇
介護保険・自治体独自制度のほかに、国土交通省が所管する住宅リフォーム支援制度や、固定資産税の減額措置といった国レベルの支援も活用できます。
みらいエコ住宅2026事業(Me住宅2026)
2026年度時点でバリアフリー改修に関連して活用できる国の支援として「みらいエコ住宅2026事業(Me住宅2026)」があります。手すりの設置や段差解消といった基本的なバリアフリー工事に加え、断熱改修・耐震改修と組み合わせた複合的なリフォームにも対応する点が特徴です。改修前後の住宅性能の向上幅に応じて補助額が決まり、最大100万円の補助が受けられる場合があります。
この制度は、介護保険の住宅改修費支給制度と組み合わせて活用できるケースもありますが、同一工事について二重に補助を受けることはできません。工事区分ごとに、どの制度を適用するかを整理しておく必要があります。
固定資産税の減額措置
バリアフリー改修を行った住宅については、翌年分の固定資産税が3分の1減額される制度が用意されています。
減額の主な要件は、改修工事費が50万円を超えること、改修後の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下であること、改修の完了日から3か月以内に市区町村へ申告を行うことです。
固定資産税の減額は補助金とは性質が異なりますが、翌年以降の税負担が軽くなる効果があり、長期的な家計への影響は決して小さくありません。固定資産税担当窓口へ早めに相談しておきましょう。
補助金申請で必ず押さえたい注意点
住宅改修の補助金・助成金申請では、いくつかの落とし穴があります。ここで紹介する注意点を押さえておくことで、申請のつまずきを未然に防げます。
着工前申請は絶対条件
申請の最重要ルールは、工事着工前に事前申請を行うことです。介護保険の住宅改修費支給制度も、自治体独自制度も、ほぼすべての制度で着工前の事前申請が義務づけられています。
業者から「先に工事を始めましょう」と勧められても、必ず事前申請の承認通知を受け取ってから着工してください。「急ぎだった」「業者に勧められた」といった理由は、原則として救済の対象になりません。
業者選びが申請の成否を分ける
業者選定は、補助金活用の成否を左右する重要な要素です。バリアフリーや介護リフォームの実績が乏しい業者に依頼すると、ケアマネジャーや自治体から「必要性が認められない」と判断され、不承認となるケースや、申請書類の不備で手戻りが発生するケースが生じやすくなります。
自治体独自制度の中には、登録事業者が施工した工事のみを助成対象とする制度もあります。依頼前に必ず、対象となる登録事業者かどうかを確認しましょう。あわせて、見積書に工事内容・数量・単価が詳細に記載されているかも確認しておくと、申請審査が円滑に進みます。
複数制度の組み合わせと二重申請の禁止
介護保険と自治体独自制度を組み合わせて利用できるケースは多いものの、同一工事について二重に補助を受けることは認められません。介護保険対象外の工事については自治体独自制度を利用し、介護保険の限度額超過分については自治体の上乗せ給付を活用するなど、工事区分ごとに制度を割り当てる発想が必要です。
どの組み合わせが最も自己負担を抑えられるかは、担当ケアマネジャーや市区町村窓口へ相談すれば、具体的な試算とともにアドバイスを受けられます。
入金までの期間を見越した資金計画
償還払いの場合、工事完了後の事後申請から給付金の振込までに数週間から1か月以上かかります。その間、工事費の全額を立て替える必要があるため、まとまった資金準備が欠かせません。
受領委任払いや給付券方式に対応している自治体・業者を選べば、立替負担を大幅に軽減できます。資金面の不安が大きい場合は、こうした方式の利用可否を最優先で確認しましょう。
理由書の内容が審査結果を左右する
「住宅改修が必要な理由書」は、単なる形式書類ではなく、審査結果に直結する極めて重要な書類です。
利用者の心身の状況、現在の生活環境、どのような不便や危険があり、改修によってどう改善されるかを、具体的かつ説得力のある形で記述する必要があります。「転倒のリスクがあるため手すりが必要」といった抽象的な記述だけでは不十分とされるケースもあるため、担当ケアマネジャーに現状を丁寧に伝え、根拠のある理由書を作成してもらうことが大切です。
高齢者住宅改修 補助金についてよくある疑問
介護認定がなくても補助金は使える?
介護保険の住宅改修費支給制度は、要支援・要介護の認定を受けた方が対象です。認定を受けていない場合でも、自治体独自の高齢者住宅改修助成制度では、65歳以上であれば利用できるケースがあります。要介護認定の申請から結果通知までは通常1か月程度かかるため、改修を検討し始めた段階で認定申請も並行して進めると効率的です。
ケアマネジャーがいない場合はどうする?
担当ケアマネジャーがいなくても、介護保険の住宅改修費を申請することは可能です。要支援認定を受けている方の場合は、地域包括支援センターのスタッフが理由書の作成を担当することがあります。まずはお住まいの地区を担当する地域包括支援センターへ相談しましょう。
一度使った補助金の枠は再利用できる?
介護保険の住宅改修費支給は生涯で20万円が基本枠ですが、「三段階リセット」の条件(要介護状態区分が三段階以上上昇、または転居)を満たした場合は、再度20万円の枠が適用されます。一度目の申請で限度額を使い切らなかった場合、残額は次回の工事に充当できます。
工事着工後に申請はできる?
原則としてできません。介護保険・自治体独自制度のいずれも、着工前の事前申請が必須条件です。業者からの勧めで工事を始めてしまった場合でも救済される可能性は低いため、必ず事前申請の手順を守ってください。
賃貸住宅でも補助金は使える?
賃貸住宅でも介護保険の住宅改修費支給は利用できます。ただし、住宅所有者(大家・管理会社)から工事の承諾書を取得し、申請書類とともに提出する必要があります。退去時の原状回復義務についても、賃貸借契約の内容を事前に確認しておきましょう。
業者はどこでも選べる?
介護保険の住宅改修費支給制度では、施工業者に特定の指定はなく、原則として利用者が自由に業者を選べます。一方で自治体独自制度では、登録された業者が施工した工事のみを対象とする制度もあるため、依頼前の確認が欠かせません。介護リフォームの知識と実績がある業者を選ぶことが、申請をスムーズに進める近道です。
補助金活用までの全体手順 まとめ
高齢者の住宅改修に活用できる補助金・助成金は、介護保険の住宅改修費支給制度と各自治体独自の助成制度、さらに国のリフォーム支援や税制優遇を組み合わせることで、自己負担を大きく圧縮しながら安全な住環境を整えられます。
具体的な行動手順としては、第一に担当ケアマネジャーまたは地域包括支援センターへ相談し、必要な改修内容を整理します。第二に、市区町村の介護保険担当窓口や高齢者福祉担当窓口へ問い合わせ、利用できる制度と申請手順を確認します。第三に、介護保険対象工事と自治体独自制度の対象工事を仕分けし、どの工事にどの制度を適用するかを計画します。第四に、バリアフリー改修の実績豊富な業者へ相談し、見積書と施工計画を作成してもらいます。第五に、着工前に必要書類を整えて事前申請を行い、承認通知を受け取ってから着工します。第六に、工事完了後に事後申請を行い、給付金の交付を受けます。
住宅改修の補助金制度は、知らなければ受けられない支援です。在宅介護を検討している家庭や、これから加齢に伴う生活動線の見直しを進めたい方にとっては、確実に押さえておきたい制度といえます。書類準備の手間は確かにありますが、ケアマネジャー・自治体窓口・経験豊富な業者という三者の支援を得ながら進めれば、確実に給付を受けられます。
参考制度一覧
| 制度名 | 主な内容 | 申請先 |
|---|---|---|
| 介護保険の住宅改修費支給 | 上限20万円、自己負担1〜3割 | 市区町村の介護保険担当窓口 |
| 自治体独自の高齢者住宅改修助成 | 内容・金額は自治体ごとに異なる | 高齢者福祉担当窓口・地域包括支援センター |
| 固定資産税の減額措置 | 翌年分の固定資産税が3分の1減額 | 固定資産税担当窓口 |
| みらいエコ住宅2026事業 | 住宅性能向上を伴う改修への補助(最大100万円) | 国土交通省または各都道府県窓口 |
自宅での暮らしを長く、安全に続けるためには、住宅改修への投資が欠かせません。介護保険の住宅改修費支給制度と自治体独自の助成制度を上手に組み合わせ、住み慣れた我が家をより暮らしやすい空間へ整えていきましょう。








