成年後見制度のデメリットを徹底解説!親族が後見人になる場合の隠れたリスクと対策

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成年後見制度は、認知症や知的障害などで判断能力が低下した方を法的に保護する重要な制度です。しかし、この制度には多くのデメリットや課題があり、特に親族が後見人となる場合には独特の問題が生じる可能性があります。2025年7月時点の最新データでは、親族後見人の申立て認容率は約85.6%と高い一方で、そもそも親族を候補とする申立て自体が全体の約21.3%と少ないのが現状です。本記事では、成年後見制度の基本的なデメリットから親族後見人特有の問題点、費用負担の実態、そして代替手段としての家族信託まで、詳しく解説します。制度利用を検討されている方や、すでに利用中の方にとって、より良い選択肢を見つけるための参考となれば幸いです。

目次

成年後見制度の基本的なデメリットにはどのようなものがありますか?

成年後見制度には、本人保護を最優先とする強固な仕組みであるがゆえに、利用者や家族にとって大きな負担となるデメリットが存在します。

最も深刻な問題は、制度利用の不可逆性です。一度開始されると本人が亡くなるまで原則として終了できない「片道切符」のような性質を持っています。「資産凍結が解除されたから家族で管理したい」「後見人との相性が悪い」といった理由では制度を打ち切ることができません。

財産管理の制約も大きなデメリットです。成年後見人は本人の財産を保守的に管理することが求められるため、不動産活用や株式投資などのリスクのある資産運用は原則禁止されています。相続税対策を目的とした生前贈与も、本人の利益に直接つながらないため基本的に認められません。実際のケースでは、リスクの低い金融商品への切り替えも家庭裁判所から「運用」とみなされ指導を受けた事例もあります。

継続的な費用負担も重要な問題です。専門職後見人が選任された場合、管理財産額に応じて月額2万円〜6万円程度の報酬を本人が亡くなるまで支払い続ける必要があります。管理財産が1,000万円未満でも月額2万円、年間24万円の費用が発生し、10年続けば240万円という高額な負担となります。

さらに、後見開始までの時間と手間も課題です。申立て手続きは複雑で、書類準備から後見人選任まで3〜6ヶ月程度かかることが多く、すでに緊急の課題が発生している場合でも時間がかかることで問題が深刻化する恐れがあります。

また、本人の死亡後の手続きは対象外という制限もあります。成年後見人の権限は本人が亡くなった瞬間に終了するため、葬儀費用の支払いや遺産分割協議、不動産の名義変更といった相続手続きを後見人が行うことはできません。生前に相続税対策ができなかった上に、死後の手続きもスムーズに進まないという「二重の苦労」を強いられる可能性があります。

親族が成年後見人になった場合に特有のデメリットや問題点は何ですか?

親族が成年後見人となる場合、一般的なデメリットに加えて親族特有の深刻な問題が発生する可能性があります。

まず、希望しても親族が後見人になれるとは限らないという現実があります。家庭裁判所は申立書に記載された候補者の希望に拘束されず、「本人の利益にとって誰が一番ふさわしいか」という観点から専門家を選任することがあります。いわゆる「15の理由」と呼ばれる基準があり、流動資産が500万円〜1,000万円を超える場合、家族の対立がある場合、不動産売買や保険金の受領予定がある場合、候補者が高齢・遠方居住の場合などで親族後見人の選任が認められない傾向があります。

後見事務の負担も親族にとって大きな問題です。専門家と異なり、親族後見人は後見研修を受けずに実務に臨むことが多いため、業務知識が不足しがちです。家庭裁判所への年1回の定期報告では、後見事務報告書、財産目録、収支報告書の作成が必要で、「1円単位で記帳し保管している。これが長期間続くとなると嫌になる」「すべての買い物について記録を残している」といった声が聞かれます。金融機関の窓口担当者の制度理解が不十分なことも多く、手続きに時間がかかったり何度も足を運ぶ必要があったりと、親族後見人の負担を増大させています。

財産の使い込みリスクも深刻な問題です。親族後見人による不正案件は実際に多く発生しており、一般の親族が他人の金品を預かる機会が少ないため、本人の財産を「自分の財産であるかのように勘違いし、趣味や遊びに使ってしまうケース」があります。実際に親族後見人として務めた方からも「この仕組みでは後見人が悪意で使い込みをすることも可能だろうと感じた」という声があります。

親族間のトラブルも頻発します。親族後見人が「献身的に世話をしたから相続財産を全て相続する」と主張し、他の親族とトラブルになるケースや、後見制度を悪用して施設での面会を拒否するなどの嫌がらせを受ける可能性もあります。親族から財産使い込みを疑われたり、「後見人に財産を全てとられる」という誤解を持たれたりすることも少なくありません。

さらに、後見監督人の突然の選任という問題もあります。数年間問題なく親族後見人を務めていても、ある日突然「後見監督人を付ける」との指示が送られることがあり、その報酬が追加のランニングコストとなります。理由が不明なケースも多く、親族にとっては予期せぬ費用負担となります。

成年後見制度の費用負担はどの程度で、親族後見人でも費用は発生しますか?

成年後見制度の費用負担は、初期費用とランニングコストの両方が発生し、親族後見人でも一定の費用負担が生じる可能性があります。

初期費用(申立て時)については、自身で手続きを行う場合は1万円〜2万円程度が基本となります。内訳は申立手数料800円、登記手数料2,600円、郵便切手代3,000円〜5,000円、診断書取得費用5,000円〜1万円などです。しかし、状況によってはさらに高額な費用が発生します。

家庭裁判所が鑑定費用が必要と判断した場合、5万円〜10万円程度の追加費用が申立人の負担となります。また、煩雑な申立手続きを専門家に依頼する場合は10万円〜20万円程度の報酬が発生し、実際には介護施設のケアマネジャーから180万円という高額な代理費用を提示された事例も報告されています。

継続的な報酬(ランニングコスト)では、専門職後見人の場合、管理財産額に応じて月額報酬が決定されます。1,000万円未満で月額2万円、1,000万円〜5,000万円で月額3万円〜4万円、5,000万円以上で月額5万円〜6万円が目安で、特別な業務が発生した場合は「付加報酬」が加算されることもあります。

親族後見人の場合、原則として無報酬とすることも可能ですが、報酬を請求することもできます。実際のケースでは、親族後見人が月額1万円〜4万円の報酬を受け取っている事例や、6年9ヶ月間で272万円の報酬が認められたケースも報告されています。報酬額は家庭裁判所が決定するため、親族であっても自動的に無報酬になるわけではありません。

任意後見制度を利用する場合は、任意後見人の報酬は当事者同士で自由に設定できますが、任意後見監督人の選任が必須であり、その報酬として月額1万円〜3万円程度が別途発生します。

費用が支払えない場合の対処法として、法テラスの「民事法律扶助制度」や各自治体の「成年後見制度利用支援事業」を利用することで、申立費用や鑑定費用の助成を受けられる場合もありますが、収入や資産の条件があるため確認が必要です。

重要なのは、これらの費用は本人が亡くなるまで継続するということです。専門職後見人で月額3万円の場合、年間36万円、10年続けば360万円という高額な負担となるため、制度利用前に長期的な費用計画を立てることが重要です。

親族後見人が選任されない理由と、選任される確率はどの程度ですか?

2025年7月時点の最新データによると、親族後見人の選任状況は一般的な認識と大きく異なる実態があります。

まず選任確率について、専門家の後見人等への就任割合が全体の約8割と高い一方で、親族を後見人候補として申し立てる希望者自体が全体の約21.3%と少ないのが現状です。しかし、実際に親族後見人の申立てがあった場合の認容率は約85.6%と非常に高いことが明らかになっています。これは、家族関係や財産状況に複雑な事情がなければ、希望する親族が後見人に就任できる可能性が高いことを示しています。

親族後見人が選任されない主な理由は、いわゆる「15の理由」と呼ばれる基準に該当する場合です。具体的には以下のような状況が挙げられます。

財産関連の理由では、流動資産が500万円〜1,000万円を超える場合に専門家が選任される傾向があります。また、不動産売買、保険金の受領、遺産分割協議など、本人の財産が増える可能性がある複雑な手続きが予定されている場合も専門家が選任されやすくなります。財産状況が不明確な場合や、後見人が自己または親族のために本人の財産を利用しようとしている疑いがある場合も同様です。

家族関係の問題として、親族間に意見の対立がある場合、裁判所は一方に加担できないため親族後見人の選任を避ける傾向があります。実際に兄弟間で財産管理をめぐって対立が生じ、専門家を選任することになった事例も報告されています。

候補者の適格性に関する理由では、後見人候補者が高齢である、遠方に住んでいる、資産状況や経歴に問題があるなどの事情がある場合に選任が認められない可能性があります。

興味深いのは、専門家から相談を受けた家族が「家族が後見人になるのは難しい」「15の理由に該当する」と言われ、やむなくその専門家を候補者とすることに同意するケースが多いことです。これは、士業が「15の理由」を熟知しており、職業倫理として家族に無責任に勧めないためでもあります。

最高裁判所は2019年3月に「身近な親族を選任することが望ましい」との考え方を示しましたが、この声明にもかかわらず親族後見人の割合は伸びていません。令和元年(2019年)の親族後見人は21.7%、令和2年(2020年)には19.7%と20%を切る結果となっており、親族側が後見人となることの難しさや負担を認識し、最初から専門職を候補とすることが多いためと考えられます。

このデータが示すのは、「親族後見人は認められにくい」という一般的な認識とは異なり、実際に申立てがあれば高い確率で認められるが、そもそも親族が候補者となることを避ける傾向があるということです。

成年後見制度のデメリットを避けるための代替手段や対策はありますか?

成年後見制度の多くのデメリットを回避するための有効な代替手段として、家族信託が注目されており、さらに2025年の法改正により制度の柔軟性が大幅に向上する可能性があります。

家族信託の活用は、成年後見制度のデメリットの多くをカバーする優れた選択肢です。家族信託では、信頼できる家族(受託者)に財産の管理・運用・処分を託す契約を結び、契約締結時点で効力が発生します。

家族信託の主なメリットとして、柔軟な財産管理が可能な点があります。後見制度では認められない積極的な財産運用や処分(賃貸アパートのリフォームのための融資、不動産の売却など)も、契約内容に沿って受託者が自由に行えます。裁判所や第三者の介入がないため、煩雑な報告義務や許可を得る手間が省け、プライバシーの開示に抵抗がある場合でも安心して利用できます。

ランニングコストの削減も大きな魅力です。家族間で財産管理を委託するため、専門職後見人のような月額報酬が発生しません。信託契約書の作成を専門家に依頼する場合の初期費用は50万円〜100万円程度かかりますが、長期的に見ると大幅な費用削減となります。また、二次相続以降の承継先まで指定できるため、遺言では不可能な長期的な資産承継計画を立てることが可能です。

ただし、家族信託には重要な制限があります。委託者が認知症などで判断能力を失った後では契約締結ができないため、早期の対策が必要です。また、身上監護には対応していないため、老人ホームの入所手続きや病院の入退院手続きなどが必要な場合は、成年後見制度との併用を検討する必要があります。

2025年の法改正による改善も期待されています。現在、法務省の法制審議会で制度の抜本的見直しが議論されており、2025年度の通常国会での法改正を目指しています。

改正の主なポイントとして、「終われない問題」の解消が挙げられます。家庭裁判所が一定期間ごとに後見の必要性を再検討し、本人の状態変化に応じて制度の終了を判断する仕組みや、家族信託などの他の支援が適切に機能している場合により柔軟に制度を終了できる仕組みが検討されています。

支援内容の柔軟化とオーダーメイド化により、本人の状況に応じて支援内容を設定したり、不要になった権限を縮小・解除したりできる仕組みも検討されています。さらに、家族信託や任意後見との併用促進により、財産管理は家族信託、身上保護は成年後見といった「支援の組み合わせ」を制度的に容認・推進する方向です。

実践的な対策としては、認知症の兆候が見られる前に家族信託の検討を開始し、必要に応じて任意後見契約も併せて準備することが重要です。司法書士や弁護士などの専門家による無料相談を積極的に活用し、自身の状況に最適な解決策を見つけることで、将来の安心につながります。重要なのは、早期の対策と専門家との連携により、成年後見制度の硬直性を回避しながら、本人と家族にとって最適な支援体制を構築することです。

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