障害者の日常生活用具の給付制度とは、障害のある方が日常生活で必要とする用具の購入費用を、市区町村が補助する公的支援制度です。申請方法は事前相談から始まり、申請書類の提出・審査・給付決定を経て、指定業者で用具を購入する流れとなります。対象品目は介護・訓練支援用具、自立生活支援用具、在宅療養等支援用具、情報・意思疎通支援用具、排泄管理支援用具、居宅生活動作補助用具の6区分に分かれており、原則として購入費用の1割が自己負担となります。
本記事では、障害者の日常生活用具給付等事業について、対象となる方の範囲、6つの区分ごとの具体的な対象品目、申請から受け取りまでの手順、自己負担額の算定方法、補装具費支給制度との違い、さらには障害種別ごとの活用例まで、制度を最大限に活用するための情報を網羅的に解説します。お住まいの市区町村で受けられる支援内容を正しく理解し、必要な用具を計画的に取り入れていただくための実用ガイドとしてご活用ください。

日常生活用具給付等事業とは何か
日常生活用具給付等事業とは、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業の必須事業のひとつとして位置付けられている公的支援制度です。市区町村が実施主体となり、障害のある方の日常生活がより円滑に行われるよう、必要な用具を給付または貸与することで福祉の増進に資することを目的としています。
この制度の法的根拠は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)第77条第1項第6号です。市町村が地域生活支援事業として必ず実施しなければならない事業として定められており、全国の市区町村で実施されています。
ただし注意点として、本事業は地域生活支援事業に該当するため、国が細かく内容を定める自立支援給付とは異なり、各市区町村が具体的な品目、給付基準額、対象者の範囲などを独自に決定する仕組みとなっています。そのため、お住まいの市区町村によって、対象品目や給付限度額に違いがあることをあらかじめ理解しておく必要があります。
補装具費支給制度との違い
日常生活用具給付等事業を調べる過程で、似た制度として補装具費支給制度が出てくることがあります。両制度はどちらも障害のある方を支援するための用具に関する制度ですが、いくつかの重要な違いがあります。
補装具費支給制度は、障害者総合支援法に基づく自立支援給付のひとつです。補装具とは「障害者等の身体機能を補完し、または代替し、かつ長期間にわたり継続して使用されるもの」と定義されており、義肢、装具、車いす、補聴器(一部)などが対象となります。補装具は、障害の状況に応じて個別に適合させることが求められる点が特徴です。
一方、日常生活用具は障害者等の日常生活上の便宜を図るための用具であり、補装具のように個別適合を求めるものではありません。また、補装具の修理費は支給制度の対象となりますが、日常生活用具については修理費は全額自己負担となる点も大きな違いです。
さらに、介護保険の対象となる65歳以上の方については、同じ種目の用具が介護保険の保険給付の対象となる場合は、介護保険からの貸与や購入費支給が優先される仕組みとなっています。
対象となる方の範囲
日常生活用具給付の対象となる方は、障害者手帳を所持している身体障害者・身体障害児、知的障害者・知的障害児、精神障害者、および障害者総合支援法の対象となる難病患者等です。それぞれの区分について、以下に詳しく解説します。
身体障害者・身体障害児については、身体障害者手帳を所持している方が対象となります。ただし、品目によっては手帳の等級が限定される場合があり、特定の品目は重度の障害がある方(1級・2級など)のみを対象としているケースもあります。
知的障害者・知的障害児については、療育手帳を所持している方が対象です。療育手帳は自治体によって名称が異なり、愛の手帳、みどりの手帳などと呼ばれています。
精神障害者については、精神障害者保健福祉手帳を所持している方が対象です。ただし、対象となる品目が限られることもある点に注意が必要です。
難病患者等については、障害者総合支援法の対象となる難病等(指定難病・特定疾患など)の方が対象となります。特定疾患医療受給者証や難病医療費助成受給者証などを持っている方が該当します。
上記に加え、市区町村によっては独自の基準を設けているところもあります。また、世帯の所得状況によっては対象外となる場合もありますので、申請前に窓口で確認することをおすすめします。
対象品目の6つの区分と具体例
日常生活用具の対象品目は、厚生労働省の定める基準を参考に、各市区町村が具体的な品目を定めています。国が示す基準では6つの区分に分類されており、それぞれの区分ごとに特徴と主な品目が定められています。
介護・訓練支援用具
介護・訓練支援用具とは、障害者や障害児の身体介護を支援する用具、または障害児が訓練に使用する用具のことを指します。
主な品目としては、特殊寝台(電動ベッドなど)、床ずれ防止用の特殊マットレス、脳性まひ等の肢体不自由児(者)が訓練に使用する訓練用いす、重度の肢体不自由者(児)や重症心身障害児に対応する入浴担架などがあります。特殊寝台については、原則として学齢児以上の肢体不自由や内部障害がある身体障害者で、下肢または体幹機能に障害がある方などが対象となります。
自立生活支援用具
自立生活支援用具とは、障害者や障害児の入浴、食事、移動などの日常生活動作を支援し、自立生活を促進するための用具のことです。
主な品目には、シャワーチェア・浴槽台・バスボード・介助用ベルトなどの入浴補助用具、手動式または電動式の昇降機能付き便器、てんかんの発作などで転倒した際の頭部保護のための頭部保護帽、T字状・棒状のつえ、トランスファーボードなどの移動・移乗支援用具、聴覚障害者向け屋内信号装置(玄関チャイム、電話、赤ちゃんの泣き声などを光や振動で知らせる機器)、歩行補助つえ、特殊便器、火災を音や光・振動で知らせる火災警報器などがあります。
在宅療養等支援用具
在宅療養等支援用具とは、障害者や障害児が在宅で療養を続けるにあたって必要な医療的ケアや生活管理を支援するための用具です。
主な品目には、のどのたんを吸引するための電気式たん吸引器(呼吸器機能障害などの方が対象)、喘息や慢性気管支炎などの治療に使用するネブライザー(吸入器)、音声ガイダンスで数値を読み上げてくれる視覚障害者用体温計・血圧計、非接触型を含む盲人用体温計、人工透析を行っている方が透析液を体温に近い温度に保つための透析液加温器などがあります。
情報・意思疎通支援用具
情報・意思疎通支援用具とは、障害者や障害児の情報収集・情報伝達・意思疎通を支援するための用具のことです。視覚障害、聴覚障害、言語障害などがある方に特に重要な区分となります。
主な品目には、紙に点字を書くための点字器(視覚障害者が対象)、点字を印字するための点字タイプライター、視覚障害者用ポータブルレコーダー、文字を大きく拡大して表示するモニター付きの視覚障害者用拡大読書器、視覚障害者用活字文書読み上げ装置、喉頭を摘出した方が声の代わりに使用する人工喉頭(笛式・電動式)、デジタル情報を点字で表示するための点字ディスプレイ、言語障害がある方が会話を補助するための携帯用会話補助装置、文字表示機能付きの聴覚障害者用情報受信装置、人工内耳(音声処理装置)の部品などがあります。
排泄管理支援用具
排泄管理支援用具とは、障害者や障害児の排泄管理を支援するための衛生用品のことです。この区分は件数・金額ともに多く、多くの方が利用している区分となっています。
主な品目には、人工肛門を造設した方が使用するストーマ用装具(蓄便袋:消化器系ストーマ装具)、人工膀胱を造設した方が使用するストーマ用装具(蓄尿袋:尿路系ストーマ装具)、一定程度以上の障害がある方で他の手段では日常生活に著しく支障がある場合に給付される紙おむつ等、男性用・女性用の収尿器などがあります。
ストーマ装具については、2026年4月より基準額が変更される予定とされていた自治体もあり、最新情報をお住まいの自治体の窓口で確認することをおすすめします。
居宅生活動作補助用具(住宅改修費)
居宅生活動作補助用具とは、障害者や障害児の居宅内での日常生活動作を円滑にするための用具のうち、設置に小規模な住宅改修を伴うものが対象となる区分です。いわゆる住宅改修費の助成に近い区分です。
主な内容には、浴室・トイレ・廊下・玄関などへの手すりの取り付け、スロープの設置などによる段差の解消、滑り防止および移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更、引き戸等への扉の取り替え、洋式便器等への便器の取り替え、上記の工事に付帯して必要となる工事などがあります。
この区分は他の区分と異なり、用具の購入ではなく住宅改修工事が対象となります。給付限度額は自治体によって異なりますが、一般的に20万円程度が上限とされているところが多いです。
給付の3つの要件
品目が対象品目リストに掲載されているだけでは給付されません。その用具が以下の3つの要件をすべて満たすことが求められます。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 要件1 | 安全かつ容易に使用できるもので実用性が認められること |
| 要件2 | 障害者等の日常生活上の困難を改善し、自立を支援し、社会参加を促進すると認められること |
| 要件3 | 用具の製作、改良または開発にあたって障害に関する専門的な知識や技術を要するもので、日常生活用品として一般に普及していないこと |
特に要件3については、一般に普及している日用品は対象外となる可能性があることを意味します。ただし、市区町村によって判断が異なる場合があるため、迷ったときは窓口に相談してみてください。
申請方法・手続きの流れ
日常生活用具給付の申請方法は、事前相談・書類準備・提出・審査・給付決定・購入・受け取りという6つのステップで進めます。必ず事前に申請を行い、給付決定を受ける必要があります。購入後に申請しても原則として給付は受けられませんので、この点を十分に注意してください。
ステップ1:事前相談
まず、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口(障害福祉課、障害者支援課など)に相談します。どのような用具が対象になるか、自分が対象となるか、どのような書類が必要かを確認します。
相談の際には、どのような障害があるか(手帳の種類・等級)、どのような生活上の困難があるか、希望する用具の種類や名称を伝えるとスムーズです。
ステップ2:申請書類の準備
市区町村から指定された必要書類を準備します。一般的に必須となる書類は、市区町村の窓口やホームページで入手できる日常生活用具給付申請書、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳のうち該当するもの、難病の方は特定疾患医療受給者証または難病医療費助成受給者証です。
品目によって追加で必要となる書類には、医療的ケアが必要な用具などの場合に求められる医師の意見書または診断書、業者に依頼して取得する希望する用具の見積書、希望する用具のカタログまたはその写し、自己負担額の算定のための世帯状況・収入等申告書などがあります。
医師の意見書が必要な場合は、かかりつけ医に依頼する必要がありますので、時間に余裕をもって準備することをおすすめします。
ステップ3:申請書の提出
準備した書類を市区町村の担当窓口に提出します。郵送で受け付けている自治体もありますが、初回は窓口への持参をおすすめします。
一部の自治体では、ストーマ装具や紙おむつなど継続的に使用する品目については、オンライン申請が可能になっているところもあります。お住まいの自治体のホームページを確認してみてください。
ステップ4:審査・給付決定
市区町村が申請内容を審査します。必要に応じて担当者が自宅を訪問したり、追加の書類提出を求められる場合があります。審査の結果、給付が適当と認められると給付決定通知書と日常生活用具給付券が交付されます。
給付決定には一般的に数週間かかります。急いでいる場合は、窓口に相談してみてください。
ステップ5:用具の購入
給付券を受け取ったら、市区町村が指定または承認する業者(指定業者)に給付券を提示して用具を購入します。
購入の際は、給付券に記載された品目・数量の範囲内で用具を選びます。利用者は業者に対して自己負担額のみを支払います。給付額は市区町村から業者に直接支払われる代理受領方式が一般的です。
なお、指定業者以外で購入した場合は給付が受けられないことがありますので、必ず事前に確認してください。
ステップ6:用具の受け取り・完了
用具を受け取り、自己負担額を業者に支払ったら手続き完了です。
費用負担(自己負担)の仕組み
日常生活用具給付の自己負担は、原則として購入費用の1割となります。ただし、世帯の所得状況に応じて自己負担上限額が設定されており、低所得世帯では自己負担なしで利用できる場合もあります。
世帯所得別の自己負担上限額は以下のとおりです。
| 世帯区分 | 月額負担上限 |
|---|---|
| 低所得1(市区町村民税非課税で障害者本人の年間収入が80万円以下の世帯) | 0円 |
| 低所得2(市区町村民税非課税のその他の世帯) | 0円 |
| 一般(市区町村民税課税世帯) | 37,200円 |
また、本人または世帯員のうち市区町村民税の所得割の最多納税者の納税額が46万円以上の場合(高所得世帯)は、日常生活用具給付等事業の対象外となり、全額自己負担となる点にも注意が必要です。
さらに、用具の価格が給付基準額(上限額)を超える場合、超過分は全額自己負担となります。たとえば、給付基準額が5万円の品目について、実際に7万円の商品を選んだ場合は、2万円の超過分に加え、基準額5万円の1割にあたる5,000円の合計25,000円が自己負担となります(一般世帯の場合)。
耐用年数と再申請のルール
日常生活用具には、品目ごとに耐用年数が定められています。一度給付を受けた品目については、耐用年数が経過するまでの間は、同じ種目の用具を新たに申請することが原則としてできません。
耐用年数は品目によって大きく異なります。たとえば、ストーマ装具は毎月継続的に給付申請できますが、特殊寝台や拡大読書器などは5〜8年程度の耐用年数が設定されているものが多いです。
ただし、障害の状況が変化した場合や用具が破損した場合など、耐用年数内でも例外的に再申請が認められる場合がありますので、担当窓口に相談してください。
自治体によって異なるポイント
日常生活用具給付等事業は市区町村が実施主体であるため、お住まいの自治体によって以下の点が異なります。
対象品目については、国が示す品目を基本としつつ、独自に追加している自治体もあります。一方で、国の基準に示されている品目でも対象外としている自治体もあります。
給付基準額(上限額)については、同じ品目でも、自治体によって金額が異なる場合があります。
自己負担の割合は原則1割ですが、自治体によっては独自に軽減措置を設けているところもあります。
申請手続きについては、必要書類の内容や申請書の様式が異なります。オンライン申請に対応しているかどうかも自治体によって異なります。
指定業者については、給付券を使用できる業者が自治体ごとに異なります。
障害種別ごとの活用例
日常生活用具給付等事業は、障害の種類によって活用できる品目や支援内容が大きく異なります。ここでは、障害種別ごとの具体的な活用シーンを紹介します。
視覚障害のある方の活用例
視覚障害がある方にとって、情報へのアクセスや安全な日常生活の維持は大きな課題となります。日常生活用具給付等事業では、このような方々に向けた多くの用具が対象となっています。
拡大読書器(CCTVシステム)は、弱視の方が書類や書籍、手紙などの文字を大きく拡大して読むために使用する機器です。画面の倍率を変えたり、色のコントラストを調整できるものが多く、一般的に数万円から数十万円程度の価格のものが対象となります。
活字文書読み上げ装置は、書類や本に書かれた文字をカメラで撮影し、OCR(光学文字認識)技術で読み取って音声で読み上げる機器です。点字を読めない視覚障害者や、高齢で視力が低下した方にも使いやすい機器です。
点字ディスプレイは、パソコンやスマートフォンの画面情報を点字として表示する機器です。視覚障害者がデジタル機器を使いこなすために欠かせないツールのひとつであり、給付対象品目として多くの自治体で採用されています。
なお、現在はスマートフォンやタブレットに標準搭載されているスクリーンリーダー機能(iPhoneのVoiceOverなど)を活用することで、一定の情報アクセスが可能となっています。ただし、スマートフォン自体は一般に普及している製品であるため、日常生活用具の給付対象とはならないことが多いです。
聴覚障害のある方の活用例
聴覚障害がある方にとって、音による情報をどのように受け取るかが日常生活の大きな課題です。
屋内信号装置は、玄関チャイム、電話の着信音、赤ちゃんの泣き声、FAXの着信、火災報知機の音などを光や振動で知らせる装置です。受信器と発信器のセットで使用し、受信器が光ったり、携帯用バイブレーターが振動したりすることで、聴こえない方でも各種の情報を受け取ることができます。
FAX(通信装置)は、音声の代わりに文字で通信するための機器として、基準額15,000円で給付対象となっています。インターネットやスマートフォンが普及した現在でも、FAXが重要なコミュニケーション手段となっている方もいます。
聴覚障害者用情報受信装置は、テレビ放送の字幕や手話通訳付き番組を表示したり、災害時の緊急信号を受信する機能を持つ機器です。
言語・音声障害のある方の活用例
喉頭がんなどで喉頭を摘出した方や、言語障害がある方には、コミュニケーションを補助するための用具が給付されます。
人工喉頭は、喉頭摘出後の方が声帯の代わりに声を作るために使用する機器です。笛式(吹き込み式)と電動式があり、電動式は機械的な振動音で言葉を伝えます。
携帯用会話補助装置は、言語障害などによりコミュニケーションが困難な方が使用する機器で、文字や絵記号を選択することで合成音声でコミュニケーションをとることができます。AAC(拡大代替コミュニケーション)機器とも呼ばれます。
肢体不自由のある方の活用例
肢体不自由がある方の日常生活動作を支援するための用具も充実しています。
特殊寝台(電動ベッド)は、背もたれや足元が電動で動くベッドです。体を起こしたり、ベッドの高さを調節したりすることで、介護者の負担軽減や本人の自立した動作を助けます。
入浴補助用具は、シャワーチェア(入浴用いす)、浴槽台、バスボード、浴槽用手すりなど、入浴時の動作を補助するための用具の総称です。転倒リスクの高い入浴動作を安全に行うために重要な用具です。
居宅生活動作補助用具(住宅改修費)の助成を利用して、自宅のトイレや浴室、廊下などに手すりを設置したり、段差を解消することで、より安全で自立した生活が可能になります。
ストーマをお持ちの方の活用例
人工肛門(消化器系ストーマ)や人工膀胱(尿路系ストーマ)を造設した方は、排泄管理支援用具としてストーマ装具の給付を受けることができます。
ストーマ装具は、皮膚に貼り付けるフランジ(バリア)と、排泄物を溜めるパウチ(袋)で構成される消耗品です。毎月消費するため、継続的に給付申請が可能となっています。
一般的な給付基準額は、消化器系(便用)ストーマ装具が月額8,800円程度、尿路系(尿用)ストーマ装具が月額11,500円程度とされていますが、自治体によって異なります。給付の申請は、毎月または数ヶ月分まとめて行うことができ、自治体によって申請頻度が異なります。一部の自治体ではオンライン申請にも対応しています。
日常生活用具給付についてよくある疑問
日常生活用具給付制度を利用するにあたって、多くの方が疑問に感じる点について解説します。
申請前に購入してしまった場合の取り扱い
日常生活用具は原則として購入前の申請が必須です。購入後の申請は認められないケースがほとんどであり、給付を受けられないリスクがあります。ただし、緊急やむを得ない事情がある場合は、事後申請を認める自治体もありますので、まずは窓口に相談してみてください。
複数の用具を同時に申請する場合
区分が異なる複数の用具を同時に申請することは可能です。ただし、同一区分・同一品目について重複して申請することはできません。複数の支援が必要な場合は、優先順位をつけて段階的に申請することも選択肢のひとつです。
介護保険との併用について
介護保険の対象となる65歳以上の方や40〜64歳の特定疾病の方については、介護保険が優先されます。ただし、介護保険では対象とならない品目については、日常生活用具給付等事業を利用できる場合があります。両制度の違いを理解し、適切に使い分けることが重要です。
障害者手帳がない場合の申請
難病等(障害者総合支援法の対象となる疾病)の認定を受けている方は、手帳がなくても申請できる場合があります。難病医療費助成受給者証や特定疾患医療受給者証をお持ちの方は、対象となる可能性があるため、詳細は窓口に確認してください。
用具が壊れた場合の修理費
日常生活用具については、修理費の給付制度はありません(補装具とは異なります)。修理費は全額自己負担となるため、購入時に保証期間やアフターサービスの内容を確認しておくことが重要です。
申請窓口・相談先
日常生活用具給付等事業の申請窓口は、お住まいの市区町村の障害福祉担当部署です。窓口の名称は自治体によって異なりますが、障害福祉課、障害者支援課、福祉事務所、健康福祉センターといった名称であることが多いです。
申請手続きについて不明な点がある場合は、相談支援事業所、基幹相談支援センター、社会福祉協議会といった機関にも相談することができます。相談支援事業所は障害福祉サービスの利用相談や給付申請のサポートを行う機関、基幹相談支援センターは市区町村が設置する総合的な相談支援機関、社会福祉協議会は地域福祉の推進を担う民間団体です。これらの機関では、専門の相談員が申請手続きのサポートをしてくれる場合もありますので、積極的に活用してみてください。
制度を利用する際の7つのポイント
日常生活用具給付等事業をスムーズに活用するために、以下の7つのポイントを押さえておきましょう。
第1に、事前相談を必ず行うことです。給付申請の前に、必ず窓口への事前相談をおすすめします。対象になる品目かどうか、必要な書類は何か、見積書はどの業者に依頼すればよいかなど、事前に確認することで申請がスムーズになります。
第2に、見積書の取得先を確認することです。品目によっては、市区町村が指定する業者から見積書を取得する必要があります。インターネットで検索した業者や量販店が給付制度に対応していない場合もありますので、事前確認が重要です。
第3に、カタログや仕様書を準備することです。希望する用具のカタログや仕様書を準備しておくと、申請がスムーズです。業者から取り寄せるか、メーカーのウェブサイトから印刷しておきましょう。
第4に、医師の意見書が必要な場合は早めに依頼することです。電気式たん吸引器、ネブライザー、人工喉頭など医療的ケアに関連する用具は、医師の意見書や診断書が必要となる場合があります。かかりつけ医への依頼は、申請の数週間前から行っておくと安心です。
第5に、給付決定前に購入しないことです。給付決定通知書・給付券を受け取る前に用具を購入してしまうと、給付が受けられません。早く用具が必要という場合でも、必ず申請・決定のプロセスを踏んでください。緊急の場合は窓口に相談してみてください。
第6に、耐用年数を把握しておくことです。給付を受けた用具には耐用年数があります。次の給付申請ができる時期を把握しておくことで、計画的に用具を活用できます。
第7に、複数の制度を組み合わせることです。日常生活用具給付等事業のほかにも、障害のある方を支援するための様々な制度があります。障害年金、特別障害者手当、自立支援医療(更生医療・育成医療・精神通院医療)、補装具費支給制度など、複数の制度を組み合わせることで、より充実した支援を受けられる場合があります。相談支援専門員や社会福祉士に相談することもおすすめです。
まとめ
日常生活用具給付等事業は、障害のある方が日常生活をより便利に、自立した形で送るための重要な公的支援制度です。障害者総合支援法に基づく市区町村の必須事業として全国で実施されており、身体障害者、知的障害者、精神障害者、難病患者等が対象となります。
対象品目は、介護・訓練支援用具、自立生活支援用具、在宅療養等支援用具、情報・意思疎通支援用具、排泄管理支援用具、居宅生活動作補助用具(住宅改修費)の6区分に分類されており、それぞれの障害特性や生活ニーズに応じた支援が用意されています。費用負担は原則として1割で、低所得世帯は無料となる場合もあります。
申請方法のポイントは、必ず購入前に申請し、給付決定を受けてから指定業者で購入することです。対象品目、給付基準額、申請手続きは自治体によって異なるため、詳細はお住まいの市区町村の窓口で確認することが欠かせません。また、補装具費支給制度や介護保険など他の制度との組み合わせも検討すると、より充実した支援を受けられる可能性があります。
自分が給付対象になるか迷っている場合や、どの品目が対象になるか不明な場合は、まずはお住まいの市区町村の窓口に相談することをおすすめします。専門の担当者が丁寧に案内してくれるはずです。障害のある方が地域で安心して生活できるよう、この制度をぜひ活用してください。








