介護保険における福祉用具と住宅改修の同時申請手順とは、住宅改修費の事前申請を行った上で、特定福祉用具購入費の申請とタイミングを合わせて市区町村に提出する方法のことです。住宅改修は工事着工前の事前申請が必須である一方、特定福祉用具購入は購入後の事後申請となるため、両者の手順の違いを正しく理解した上で計画的に進めることが重要となります。
高齢者や要介護者がご自宅で安全に暮らし続けるためには、生活環境を整える工夫が欠かせません。介護保険制度には「住宅改修費の支給」と「福祉用具貸与・購入費の支給」という二つの給付制度が用意されており、両者をうまく組み合わせることで、より充実した在宅生活の実現につながります。
本記事では、介護保険における住宅改修と福祉用具の基本知識から、同時申請の具体的な手順、必要書類、注意点、2024年の制度改定で導入された福祉用具の選択制まで、実践的な情報を網羅的に解説します。ケアマネジャーやご家族が申請手続きを進める際の確かな道しるべとして、最後までお役立てください。

介護保険の住宅改修と福祉用具とは
介護保険の住宅改修と福祉用具とは、要介護認定または要支援認定を受けた方が自宅で安心して暮らせるよう、生活環境の整備にかかる費用の一部を介護保険から給付する制度です。住宅改修は工事を伴う環境整備、福祉用具はレンタルまたは購入による道具の活用という点に違いがあります。
介護保険制度の基本と対象者
介護保険制度は、介護が必要になった高齢者を社会全体で支えるために2000年に始まった制度です。40歳以上の方が保険料を納め、介護が必要になった際に認定を受けてサービスを利用できる仕組みとなっています。
介護保険のサービスを利用するためには、まず要介護認定または要支援認定を受ける必要があります。区分は要支援1・2、要介護1〜5の7段階に分かれており、それぞれの区分に応じて利用できるサービスの種類や支給限度額が定められています。
住宅改修費の支給と福祉用具の貸与・購入は、どちらも居宅サービスの一種として介護保険から給付を受けることが可能です。要支援1・2、要介護1〜5に認定された方が対象となり、認定を受けてから利用手続きを進める流れとなります。
住宅改修と福祉用具の役割の違い
住宅改修と福祉用具は、それぞれ異なる役割を担っています。住宅改修は手すりの取り付けや段差の解消など、住宅そのものに手を加えることで恒久的な環境整備を行う制度です。一方、福祉用具は車いすや歩行器など、利用者の身体状況に合わせて柔軟に活用できる道具を提供する制度となっています。
両者を組み合わせることで、より総合的な環境整備が実現できるため、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員と連携した計画づくりが推奨されています。
介護保険の住宅改修とは
介護保険の住宅改修とは、要介護者などが自宅に手すりを取り付けたり段差をなくしたりするなどの小規模な改修工事を行う際に、介護保険から費用の一部が支給される制度です。住み慣れた自宅で安心して生活できるよう、生活環境のバリアフリー化を支援することを目的としています。
住宅改修費の支給は、一般的な介護サービスとは異なり、月単位の区分支給限度額とは別枠で管理されます。デイサービスや訪問介護などの介護サービスを利用しながらでも、住宅改修費は別途申請して受給することができる仕組みです。
住宅改修の対象工事6種類
介護保険の住宅改修費の支給対象となる工事は、以下の6種類に限定されています。それぞれの内容を正確に把握することが、申請を円滑に進める第一歩となります。
| 種類 | 主な工事内容 |
|---|---|
| 1. 手すりの取り付け | 廊下、便所、浴室、玄関、階段などに転倒防止や移動・移乗のための手すりを設置 |
| 2. 段差の解消 | 居室、廊下、便所、浴室、玄関などの段差解消、スロープ設置、浴室床のかさ上げなど |
| 3. 床または通路面の材料の変更 | 滑り止め目的の床材変更、車いす移動のためのフローリング化など |
| 4. 引き戸等への扉の取り替え | 開き戸を引き戸・折り戸・アコーディオンカーテンへ変更、戸車設置など |
| 5. 洋式便器等への便器の取り替え | 和式便器を洋式便器に交換、便座の高さ調整など |
| 6. 上記に付帯して必要な改修 | 手すり設置のための下地補強、開口部の拡張工事など |
注意すべき点として、工事を伴わない手すりの取り付けは福祉用具貸与の対象となり、壁や床への固定を伴う場合のみが住宅改修の対象となります。スロープについても、固定式は住宅改修ですが、持ち運び可能な可搬式スロープは福祉用具貸与の対象です。
また、和式便器を洋式便器に取り替える工事は対象となりますが、すでに洋式便器の場合は対象外です。暖房便座や洗浄機能付き便座(シャワートイレ)への取り替えも住宅改修の対象には含まれません。
住宅改修費の支給限度額と自己負担
住宅改修費の支給限度基準額は20万円です。要支援・要介護の区分に関わらず、一律20万円が上限となっています。所得に応じた自己負担割合は次の表のとおりです。
| 区分 | 自己負担割合 | 最大自己負担額 |
|---|---|---|
| 一般の方(第一号被保険者) | 1割 | 2万円 |
| 一定以上の所得がある方 | 2割 | 4万円 |
| 現役並みの所得がある方 | 3割 | 6万円 |
住宅改修費の支給は、原則として同一の住宅に対して一回限りとなります。ただし、要介護状態区分が著しく重くなった場合(3段階以上上がった場合)や、別の住宅(転居先)で改修を行う場合には、再度20万円の支給限度額が利用可能となります。これを一般に「リセット条件」と呼びます。
介護保険の福祉用具とは
介護保険の福祉用具とは、介護が必要な方の日常生活の自立を支援したり、介護者の負担を軽減したりするために使用する用具のことです。介護保険制度では「福祉用具貸与(レンタル)」と「特定福祉用具販売(購入)」の二種類の給付が用意されています。
福祉用具貸与(レンタル)の対象13品目
介護保険で貸与(レンタル)できる福祉用具は13品目あります。具体的には、車いす、車いす付属品、特殊寝台(介護ベッド)、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、手すり(工事を伴わないもの)、スロープ(工事を伴わないもの)、歩行器、歩行補助つえ(松葉づえ以外のもの)、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト(つり具の部分を除く)、自動排泄処理装置が対象となります。
特定福祉用具販売(購入)の対象品目
衛生上の理由などからレンタルになじまない用具については、購入費の一部が支給されます。主な対象品目は、腰掛便座(ポータブルトイレ、補高便座など)、自動排泄処理装置の交換可能部品、入浴補助用具(シャワーチェア、浴槽用手すり、入浴台など)、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分です。
特定福祉用具購入費の支給限度額
特定福祉用具の購入費支給限度額は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間で10万円となっています。要支援・要介護の区分にかかわらず一律で、費用の7割〜9割(所得に応じて異なる)が介護保険から支給される仕組みです。住宅改修費の支給限度額(20万円)とは別枠で管理されている点も覚えておきたいポイントです。
住宅改修の申請手順(事前申請から事後申請まで)
住宅改修費の支給を受けるには、工事着工前の事前申請と工事完了後の事後申請の2段階の手続きが必要です。事前申請を行わずに着工した工事は介護保険の対象外となるため、必ず事前申請を済ませてから工事を始めることが大前提となります。
ステップ1:要介護(要支援)認定の確認
まず、介護保険サービスを利用するために、要介護認定または要支援認定を受けていることを確認します。まだ認定を受けていない場合は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口または地域包括支援センターに相談し、認定申請から始めてください。認定結果が出るまで、通常30日程度かかります。
ステップ2:ケアマネジャーへの相談
住宅改修を検討している場合は、まず担当のケアマネジャー(介護支援専門員)に相談することが重要です。ケアマネジャーは利用者の身体状況や生活環境を把握しており、どのような改修が必要かについて専門的な見立てを示してくれます。ケアマネジャーがいない場合は、地域包括支援センターに相談することで支援を受けられます。
ステップ3:住宅改修業者の選定と見積もり取得
ケアマネジャーと相談して改修内容が決まったら、住宅改修業者を選定します。複数の業者から見積もりを取って比較することが望まれます。業者に対して、介護保険を利用した住宅改修であること、および福祉用具との組み合わせを検討していることを伝えると、適切な改修プランを作成してもらいやすくなります。
ステップ4:事前申請に必要な書類の準備
事前申請に必要な書類は、自治体により若干の違いはありますが、おおむね次の表のとおりです。
| 書類名 | 備考 |
|---|---|
| 住宅改修費支給申請書(事前申請) | 自治体所定の様式 |
| 住宅改修が必要な理由書 | ケアマネジャーが作成 |
| 住宅改修に係る見積書 | 工事内容ごとに金額を明記 |
| 住宅改修施工計画書 | 工事内容、工事箇所の図面など |
| 工事前の写真 | 日付入り |
| 住宅の間取り図 | 改修箇所が確認できるもの |
| 住宅所有者の承諾書 | 賃貸や他人所有の場合のみ |
「住宅改修が必要な理由書」は、なぜその改修が必要なのかを具体的に記載する重要書類で、ケアマネジャーに依頼して作成してもらいます。理由書には利用者の身体状況、生活状況、改修が必要な理由などを詳細に記載することが求められます。
ステップ5:市区町村への事前申請
必要書類が揃ったら、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口に事前申請を行います。市区町村が書類を審査し、工事内容が適切と判断されたら承認通知が届きます。この承認通知を受けてから工事を開始する流れとなります。
ステップ6:住宅改修工事の実施
市区町村からの承認通知を受け取ったら、住宅改修業者に連絡して工事を進めます。工事完了後、業者から工事完了の報告を受け、工事費用を全額支払います。受領委任払いを利用する場合は自己負担分のみの支払いで済みます。
ステップ7:事後申請に必要な書類の準備
工事完了後は、住宅改修費支給申請書(事後申請)、工事費の領収書(原本)、工事後の写真(日付入り)、工事の請求書または内訳書を準備します。
ステップ8:市区町村への事後申請と給付金の受け取り
事後申請書類を市区町村の窓口に提出します。市区町村が審査を行い、問題がなければ、自己負担分を除いた費用が指定の口座に振り込まれます。振り込みまでには通常1〜2ヶ月程度の期間がかかります。
受領委任払い制度を活用する方法
一般的な住宅改修費の支給では、まず全額を業者に支払い、その後介護保険から給付を受ける「償還払い方式」が基本となっています。しかし多くの自治体では、利用者の一時的な負担を軽減するために「受領委任払い方式」を導入しています。
受領委任払いを利用すると、利用者は工事費の自己負担分(1割〜3割)のみを業者に支払えばよく、残りの9割〜7割は自治体が直接業者に支払う仕組みです。この制度を利用するには、施工業者が市区町村に受領委任払い登録業者として登録されている必要があります。
利用する際は、事前に業者が受領委任払い登録業者かどうかを確認し、申請書類に受領委任払いを希望する旨を記載してください。一時的な立替負担を抑えたい方には大きなメリットがある仕組みです。
特定福祉用具購入の申請手順
特定福祉用具購入の申請手順は、住宅改修と異なり事後申請のみで完結します。購入後に必要書類を揃えて市区町村に申請するという流れになります。
ステップ1:ケアマネジャーや福祉用具専門相談員への相談
まず担当のケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談します。必要な用具の種類や選び方について助言を受けることで、利用者の身体状況に合った用具を選定しやすくなります。
ステップ2:指定販売事業者から購入
介護保険の給付を受けるためには、都道府県から指定を受けた販売事業者から購入する必要があります。指定を受けていない業者からの購入は介護保険の対象外となるため、購入前の確認が欠かせません。
ステップ3:全額を支払い領収書を受け取る
購入時は全額を支払い、領収書(原本)を必ず受け取ります。後の申請手続きに必要となる重要書類です。
ステップ4:必要書類を準備して申請
特定福祉用具購入費支給申請書、購入した福祉用具の領収書(原本)、購入した福祉用具のカタログや仕様書のコピー(製品名、型番、製造事業者名などが確認できるもの)、ケアマネジャーが作成した書類(自治体により異なる)を揃えて、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口に申請します。申請が認められると、費用の7割〜9割が指定口座に振り込まれます。
介護保険の福祉用具と住宅改修の同時申請の手順
介護保険の福祉用具と住宅改修の同時申請の手順とは、それぞれの制度の申請タイミングを調整し、効率的に手続きを進める方法です。住宅改修と福祉用具(貸与・購入)は別々の制度ですが、両方を組み合わせて利用することで、より効果的な生活環境整備が実現できます。
例えば、トイレに手すりを設置する住宅改修(工事あり)とポータブルトイレ(特定福祉用具購入)を組み合わせたり、浴室に手すりを設置する住宅改修(工事あり)とバスチェアや浴槽用手すり(特定福祉用具購入)を組み合わせたりするケースが一般的です。
同時申請の基本的な考え方
住宅改修費の申請と特定福祉用具購入費の申請は、それぞれ別々に行うことが原則です。ただし、タイミングを合わせて同時期に申請することは可能であり、住宅改修と福祉用具を組み合わせた環境整備計画を立てることが推奨されています。
同時申請を行う場合、それぞれの申請書類を別々に用意し、同一の窓口(市区町村の介護保険担当窓口)に提出します。窓口では、住宅改修費の申請書類と特定福祉用具購入費の申請書類を一度に持参して提出することが可能です。
同時申請の全体的な流れ(6ステップ)
住宅改修と特定福祉用具購入を同時に計画する場合の全体的な流れは、次のように整理できます。
ステップ1:ケアマネジャーへの総合相談
住宅改修と福祉用具の両方を利用したい旨をケアマネジャーに伝え、総合的な環境整備計画について相談します。ケアマネジャーは身体状況や生活状況を踏まえ、住宅改修で対応すべき点と福祉用具で対応すべき点を整理してくれます。
ステップ2:業者・福祉用具専門相談員との打ち合わせ
住宅改修業者には、福祉用具との組み合わせを前提とした改修プランを提案してもらいます。例えば、トイレに手すりを設置する際には、ポータブルトイレの設置スペースも考慮した改修計画を立てると、より使いやすい環境になります。福祉用具専門相談員とも連携し、住宅改修後の生活環境に合った福祉用具を選定してもらうことが大切です。
ステップ3:住宅改修費の事前申請(着工前に必ず実施)
住宅改修に関する事前申請書類を揃えて、市区町村の介護保険担当窓口に提出します。承認通知が届くまで工事は行ってはいけません。特定福祉用具購入の申請は事前申請が不要なため、福祉用具の購入はこの時点で行うことができます。ただし、住宅改修後の環境に合わせた福祉用具を選ぶ場合は、工事完了を待ってから購入するという選択肢もあります。
ステップ4:住宅改修工事の実施
市区町村からの承認通知を受けてから工事を開始します。工事完了後、業者に費用を支払い、工事後の写真(日付入り)を撮影します。
ステップ5:事後申請と特定福祉用具購入費の申請を同時提出
工事完了後の申請書類と、特定福祉用具購入費の申請書類をまとめて市区町村の窓口に提出します。これにより、窓口への訪問回数を減らすことができ、利用者やご家族の負担軽減につながります。
ステップ6:給付金の受け取り
審査が完了すると、住宅改修費(自己負担分を除いた額)と特定福祉用具購入費(自己負担分を除いた額)が、それぞれ指定口座に振り込まれます。
同時申請時の5つの注意点
同時申請をスムーズに進めるためには、いくつかの注意点を押さえておくことが大切です。
(1) 支給限度額は別々に管理される
住宅改修費の支給限度額(20万円)と特定福祉用具購入費の支給限度額(年間10万円)は、それぞれ独立して管理されています。また、月ごとの区分支給限度額(訪問介護やデイサービスなどに使う限度額)とも別枠です。それぞれの枠を有効に活用しましょう。
(2) 住宅改修は事前申請が必須
住宅改修は事前申請が必須であり、工事前に市区町村から承認を得る必要があります。一方、特定福祉用具の購入は購入後に申請することが基本です。この手順の違いをしっかり理解しておくことが、申請ミスを防ぐ最大のポイントです。
(3) 住宅改修と福祉用具の区分を正確に把握する
住宅改修の対象か福祉用具(貸与・購入)の対象かの区分は、申請において非常に重要です。例えばスロープの場合、固定式のスロープは住宅改修の対象ですが、可搬式スロープは福祉用具貸与の対象となります。手すりについても、壁・床に固定する場合は住宅改修、工事不要のものは福祉用具貸与となります。この区分を誤って申請すると給付を受けられない場合があるため、ケアマネジャーや市区町村担当者に確認してから申請することが望ましい対応です。
(4) ケアプランへの記載
住宅改修をケアプランに記載するかどうかについては、市区町村によって指導が異なります。多くの自治体では、特定福祉用具購入についてケアプランへの記載を求めているところが多いようです。担当のケアマネジャーに相談して、必要に応じてケアプランに位置づけてもらいましょう。
(5) 事業者の指定確認
特定福祉用具の購入先は、都道府県の指定を受けた販売事業者であることが必要です。住宅改修業者も同様に、市区町村によっては届出や登録が必要な場合があります。事前に確認しておくことが、トラブル回避のための大切な準備となります。
2024年介護保険制度改定で導入された福祉用具の選択制
2024年(令和6年)4月から、介護保険制度において一部の福祉用具について、貸与と販売の選択制が導入されました。本記事の執筆基準日である2026年5月時点では、この選択制が定着し、利用者の選択肢が広がっています。
選択制の対象となった福祉用具
選択制の対象となった福祉用具は、固定用スロープ(持ち運びを要しないものに限る)、歩行器(脚部が全て杖先ゴム等の形状の固定式または交互式のもの)、歩行補助つえ(カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ、多点杖)です。これらの品目について、利用者がレンタルか購入かを選択できるようになりました。
選択制導入の背景
介護保険の福祉用具は、原則として貸与(レンタル)が基本とされてきました。これは、利用者の状態変化に応じて適切な用具に交換できるというメリットがあるためです。一方で、長期間同じ用具を使い続ける場合はレンタル費用の総額が購入費を上回ることもあることから、利用者の選択肢を広げる目的で一部の品目に選択制が導入されました。
選択をするにあたっては、福祉用具専門相談員やケアマネジャーに相談し、利用者の身体状況、使用期間の見込み、コスト面などを総合的に判断して選択することが推奨されています。
介護保険の福祉用具と住宅改修の同時申請についてよくある疑問
申請手続きを進めるなかで、利用者やご家族から寄せられる代表的な疑問について、わかりやすく整理します。
住宅改修と福祉用具はどちらを先に検討すべきか
両方を合わせて検討することが理想的です。住宅改修は工事を伴うため大がかりになりますが、一度行うと恒久的な環境整備の成果が得られます。一方、福祉用具(特に貸与品)は必要に応じて変更・返却できる柔軟性が魅力です。まずはケアマネジャーに現在の身体状況と生活上の困りごとを相談し、住宅改修で対応すべき部分と福祉用具で補う部分を整理することが、賢い進め方といえます。
住宅改修費の20万円の枠を使い切った場合はどうなるか
原則として、同一の住宅に対する住宅改修費の支給は20万円が上限で一回限りです。ただし、要介護状態区分が3段階以上重くなった場合や、転居した場合は再度20万円の支給限度額が利用できます。20万円を使い切っている場合でも、工事費自体は自費で行うことは可能です。
賃貸住宅でも住宅改修はできるか
賃貸住宅でも、住宅の所有者(大家)の承諾を得ることで住宅改修費の支給を受けることができます。申請書類に所有者の承諾書を添付する必要があります。ただし、工事内容によっては大家が承諾してくれない場合もあるため、事前の相談が欠かせません。
福祉用具のレンタルと購入はどちらが得か
一般的に、使用期間が短期間の場合はレンタルが、長期間使い続ける場合は購入が経済的とされています。2024年に選択制が導入されたことで、一部の品目についてレンタルか購入かを選択できるようになりました。福祉用具専門相談員に相談して、身体状況の変化の見込みやコスト面を比較したうえで判断することが望まれます。
申請窓口はどこになるのか
お住まいの市区町村の介護保険担当窓口に提出します。市によっては区役所や支所でも受け付けています。また、担当ケアマネジャーや住宅改修業者に代行を依頼できる場合もあります。詳しくは担当ケアマネジャーや地域包括支援センターへの相談をおすすめします。
申請に必要な主な書類一覧
最後に、申請手続きで必要となる主な書類を、住宅改修費の事前申請・事後申請、特定福祉用具購入費の申請の3区分に分けて整理します。
| 区分 | 主な必要書類 |
|---|---|
| 住宅改修費 事前申請 | 住宅改修費支給事前申請書、住宅改修が必要な理由書(ケアマネジャー作成)、工事見積書、住宅改修施工計画書、工事前の写真(日付入り)、住宅の間取り図、住宅所有者の承諾書(本人・家族所有でない場合) |
| 住宅改修費 事後申請 | 住宅改修費支給申請書(事後申請)、工事費領収書(原本)、工事後の写真(日付入り)、工事費内訳書または請求書 |
| 特定福祉用具購入費 申請 | 特定福祉用具購入費支給申請書、領収書(原本)、購入した福祉用具のカタログ・仕様書のコピー、自治体によってはケアマネジャーが作成する書類 |
自治体によって必要書類が異なる場合があるため、事前に市区町村の介護保険担当窓口で確認することをおすすめします。
まとめ:介護保険の同時申請を成功させるポイント
介護保険における住宅改修費の支給と特定福祉用具購入費の支給は、それぞれ独立した給付制度ですが、組み合わせて活用することで、より安全で快適な在宅生活の実現につながります。
住宅改修の最重要ポイントは、着工前に必ず事前申請を行い、市区町村の承認を得てから工事を始めることです。事前申請なしに着工した工事は給付の対象外となるため、この点には特に注意が必要となります。
福祉用具については、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員と連携しながら、利用者の身体状況と生活環境に合った用具を選定することが大切です。2024年の制度改定により一部品目で選択制が導入されたため、レンタルと購入のどちらが適切かについても専門家に相談しながら決めることが望まれます。
申請手続きは複雑に感じるかもしれませんが、担当ケアマネジャーがサポートしてくれます。わからないことがあれば、早めにケアマネジャーや市区町村の介護保険担当窓口に相談することが、スムーズな申請への近道です。
住宅改修と福祉用具を上手に活用して、住み慣れた自宅でできる限り自立した生活を続けていきましょう。








