訪問看護の24時間対応とは、利用者やその家族がいつでも看護師に連絡を取れるよう、夜間や休日も含めて常時待機し、必要に応じて緊急訪問を行う体制のことです。在宅で療養生活を送る方やそのご家族にとって、夜間や休日に体調が急変した時の対応は大きな不安要素となりますが、24時間対応体制があることで、いつでも専門家である看護師に相談できるという安心感を得られます。この記事では、訪問看護の24時間対応体制の仕組みから、夜間対応の流れ、緊急時の連絡体制、そして気になる料金について詳しく解説していきます。訪問看護ステーションの約86パーセントが緊急時対応体制を整えており、在宅療養を支えるセーフティーネットとして重要な役割を果たしています。

訪問看護の24時間対応体制とは何か
訪問看護における24時間対応体制は、利用者やその家族が24時間365日いつでも電話での相談や緊急時の訪問対応を受けられる仕組みを指します。夜間や休日もオンコール体制で看護師が待機しており、急な体調の変化や不安な点について気軽に相談することができます。
この体制は訪問看護ステーションに法律で義務付けられているわけではありませんが、厚生労働省の令和4年4月審査分の介護給付費等実態統計によると、訪問看護事業所のうち約86パーセントが緊急時訪問看護加算を算定しています。つまり、多くの事業所がオンコール等による緊急時対応の体制を整えており、利用者は安心して在宅療養を継続できる環境が整備されているのです。
24時間対応体制があることで得られる最大のメリットは、夜間や緊急時を含めていつでも必要な時に相談・対応してもらえるという安心感です。在宅での療養生活における不安が軽減され、より質の高い、途切れないケアの提供につながります。厚生労働省の調査によると、利用者が訪問看護に求めるもので最も多いのが「24時間対応」であり、この制度への期待の高さがうかがえます。
オンコール体制の仕組みと運用方法
訪問看護のオンコールとは、訪問予定がない日や夜間などに利用者や家族からかかってくる緊急の電話に対応するために看護師が待機することを指します。訪問看護の現場では、緊急当番、オンコール当番、待機などと呼ばれることもあり、各ステーションによって運用方法は異なります。
オンコール担当の看護師は、モバイル端末や業務に必要な物品を自宅に持ち帰り、転倒や体調不良などの緊急時に電話で状況を確認します。そして口頭で指示を出すか、必要に応じて訪問対応を行う流れとなっています。
オンコールの担当体制については、ステーションの規模や看護師の在籍人数によって異なります。2015年に実施された調査によると、オンコールを1人体制としている事業所は全体の約4割、2人体制は約3割で、利用者数が多いほど複数体制を取る傾向にあることがわかっています。平均オンコール待機回数はフルタイム勤務正職員で月に9.6回であり、そのなかで実際に出勤が必要となった回数は1回から2回が多いとされています。
オンコールがあった場合、まずは情報収集を行います。情報収集をした後、緊急訪問が必要であるか、救急車を手配すべきか、電話対応のみで大丈夫なのかを看護師が専門的な知識に基づいて判断します。緊急連絡を受けた際、毎回出動するわけではなく、電話対応で解決されることもよくあります。困った時に電話をして看護師に相談できるというだけで「安心します」との声も多く聞かれ、精神的なサポートとしての役割も大きいといえます。
緊急時の電話相談で多いケースと具体的な対応事例
訪問看護の緊急時電話相談では、様々な内容の相談が寄せられています。緊急訪問看護の実態調査によると、緊急訪問の依頼内容は身体症状に関するものが7割とほとんどを占めており、次いで医療デバイストラブル、内服関連の順となっています。
転倒に関する相談は非常に多く寄せられるケースの一つです。「転倒してしまってベッドに戻れない」というご本人からの電話や、「帰ったら転倒していたが、どうしたらよいか分からない」とご家族から連絡が入ることがあります。転倒によってけがをしたり出血している場合は、緊急訪問して処置を行うこともあります。骨折の疑いや意識障害がある場合は救急搬送が必要になることもあり、看護師が適切に判断を行います。
疼痛に関する相談も非常に多いです。電話で「胃のあたりが痛い」と訴えがあった場合、自宅にある胃薬を内服して経過を観察してもらうケースがあります。しかし痛みがまったくおさまらず、さらに強くなった場合には緊急訪問を行い、状況を確認して適切な対応を取ります。
医療機器やカテーテルに関するトラブルの相談も重要な内容です。利用者の中には、カテーテルが留置されていたり、点滴や吸引などの医療的ケアを必要としている方もいます。カテーテル類は抜去や感染といったリスクがあるため、ご家族にとってもトラブル発生時の対応に関する不安は大きいものです。夜間に家族より連絡があり、お腹が張っていて尿の流出が少ないという情報があった場合、看護師は訪問を行い状況を確認します。膀胱留置カテーテルの浮遊物が多く尿混濁を認め、ミルキングを実施しても改善せず閉塞していることがわかった場合などは、適切な処置を行います。
終末期やターミナルケアに関する連絡も重要な位置を占めています。終末期には死への恐怖やがん性疼痛など、心身ともに細やかなケアが必要となり、オンコールの回数も多くなります。疼痛が強い方、肺がんで呼吸苦がある方、最期が近い方など、すべての事例で電話があれば緊急対応を行います。ある利用者さんの家族から「反応が薄くなり呼吸の間隔が長くなった」という連絡を受け、その日の夜は1時間おきに電話があったというケースもあり、終末期の利用者とご家族に寄り添った対応が行われています。
精神的な不安による相談も少なくありません。精神的に不安定であったり、一人暮らしで身近に相談相手がいないケースなどは、利用者の不安が強くなると「どうしたらいいかわからない」といった電話がかかってくることがあります。そういったケースは話を傾聴することで気持ちが落ち着くことが多いため、緊急での訪問が必要になることはそれほど多くありません。
緊急連絡が多い利用者の特徴と事前の備え
緊急の連絡は、特定の状況にある利用者から多く見られる傾向があります。医療機器を使用している方、日中から体調が不安定である方、転倒リスクの高い状況にある方、退院直後である方などが該当します。
こうした利用者については、事前に緊急時の対応方法や連絡手順について、ご本人やご家族と十分に確認しておくことが重要です。どのような症状が出たら連絡すべきか、連絡する際にはどのような情報を伝えればよいかなど、具体的な手順を共有しておくことで、いざという時にも落ち着いて対応することができます。
医療保険における24時間対応体制加算の仕組み
医療保険における24時間対応体制加算とは、訪問看護ステーションが利用者やその家族等からの電話等による連絡や相談に常時対応でき、必要に応じて緊急時の対応を行うことができる体制を評価する加算です。算定回数は月に1回までを上限として設定されています。
2024年度の診療報酬改定により、これまで月1回6,400円だった算定料が2区分に見直されました。24時間対応体制加算イは月1回限り6,800円で、24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取り組みを行っている場合に算定できます。24時間対応体制加算ロは月1回限り6,520円で、イ以外の場合に算定します。
利用者負担額は、24時間対応体制加算ロの場合、1割負担で約650円、2割負担で約1,300円、3割負担で約1,960円となっています。月額で数百円から2,000円程度の負担であり、得られる安心感を考えると大きな負担ではないと感じる方も多いです。
24時間対応体制加算の算定要件について
算定のためにはいくつかの体制構築が必要です。まず、利用者やその家族から電話等により看護に関する意見を求められた場合に常時対応できる体制の構築が求められます。次に、必要に応じて緊急時訪問看護を行う体制の構築も必要です。さらに、地方厚生局長に届出を行っていること、訪問看護ステーションの体制について利用者に説明し同意を得ていることも要件となります。
また、訪問看護ステーションの名称、所在地、電話番号、時間外および緊急時の連絡方法を記載した文書を利用者に交付する必要があります。「常時対応できる体制」とは、24時間の連絡相談に対応することを指し、対応を行うのは原則、訪問看護事業所の保健師または看護師であることが要件とされています。
24時間対応体制加算イの追加要件
イの6,800円を算定するためには、「24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組を行っている場合」という条件を満たす必要があります。具体的には、6項目のうち、夜間対応した翌日の勤務間隔の確保、または夜間対応に係る勤務の連続回数が2連続までのいずれかを含む2項目以上を満たしている必要があります。
その他の取り組み例として、看護師等以外の職員が連絡相談に対応するマニュアルを整備すること、緊急訪問の必要性の判断を保健師または看護師が速やかに行える体制と緊急訪問可能な体制の整備、連絡相談を担当する看護師等以外の職員の勤務体制や勤務状況を管理者が明確化することなどがあります。
介護保険における緊急時訪問看護加算の詳細
介護保険における緊急時訪問看護加算とは、利用者や家族などからの緊急の連絡、緊急の相談、緊急時の訪問依頼に24時間365日対応する体制を整えていることを評価するための加算です。
重要な点として、利用者や家族からの緊急連絡や緊急訪問がなくても、一月につき1回、緊急時訪問看護加算は算定可能です。これは実際の訪問の有無ではなく、体制を整えていることに対する評価だからです。
2024年度介護報酬改定では、緊急時訪問看護加算の区分が新たに設けられました。緊急時訪問看護加算Iは574単位で、24時間対応体制における看護業務の負担軽減に資する十分な業務管理等の体制の整備が行われている場合に算定します。緊急時訪問看護加算IIは544単位で、それ以外の場合に算定します。
緊急時訪問看護加算の算定要件
介護保険の緊急時訪問看護加算を算定するためには、いくつかの算定要件を満たしていることが必須となります。利用者やその家族等に緊急時訪問看護加算の算定について書面で説明し同意を得ていること、計画的に訪問すること以外の緊急時訪問に対応できる体制であること、各都道府県に届出をして受理されていること、利用者やその家族等から電話などにより相談や看護ケアに関する意見を求められた場合に24時間対応できること、これらの要件をすべて満たす必要があります。
加算に関する重要な注意点
24時間対応体制加算および緊急時訪問看護加算は、1人の利用者に対して1つの訪問看護ステーションだけが算定可能です。複数の訪問看護ステーションを利用している場合、他の事業所から緊急時訪問看護加算等に係る訪問看護を受けていないか確認する必要があります。
また、1人の利用者に対して、介護保険の緊急時訪問看護加算と医療保険の24時間対応体制加算を同じ月に算定することはできません。どちらか一方のみの算定となりますので、利用者の状況に応じて適切な保険制度を選択することが重要です。
夜間・早朝・深夜の訪問看護における加算料金
訪問看護を夜間や早朝、深夜の時間帯に利用した場合、追加の加算が発生します。時間帯と加算率について詳しく見ていきましょう。
介護保険の場合、夜間・早朝加算は午後6時から午後10時の夜間帯と午前6時から午前8時の早朝時間帯に訪問看護を提供した場合に適用され、1回あたり所定単位数の25パーセントの加算となります。深夜加算は午後10時から午前6時の深夜時間帯に訪問看護を提供した場合に適用され、1回あたり所定単位数の50パーセントの加算となります。
医療保険の場合も同様の時間帯で加算が適用されますが、介護保険が基本単位数の割合に応じての加算であるのに対し、医療保険の場合は定額の加算となる点に注意が必要です。
加算の算定要件と注意点
加算を算定するには、居宅介護サービス計画または訪問看護計画上、サービスの開始時刻が夜間、深夜、早朝の時間帯にあること、そしてその時間帯にサービスを提供していることが必要です。利用時間が長時間にわたる場合に、加算の対象となる時間帯におけるサービス提供時間が全体のサービス提供時間に占める割合がごくわずかな場合は算定できません。20分未満の訪問の場合についても同様です。
最も注意すべき点は、緊急時訪問の場合、月の1回目は夜間・早朝加算や深夜加算を算定できないことです。早朝や夜間、深夜における緊急訪問の月1回目は、所定時間に応じた所定の単位数のみ算定します。つまり、利用者から見ると、割増の請求はなく、通常の基本料金のみの支払いとなります。月に2回目以降についてのみ、早朝・夜間加算、深夜加算の算定が可能となります。この仕組みは、利用者の経済的負担を軽減しながら、緊急時の対応を促進するための配慮といえます。
医療保険と介護保険の違いを理解する
訪問看護を利用する際、医療保険と介護保険のどちらが適用されるかは、利用者の年齢や状態によって異なります。それぞれの対象者と特徴を理解しておくことが大切です。
対象者の違い
介護保険の対象者は、第1号被保険者として65歳以上の方で要支援・要介護と認定された人、第2号被保険者として40歳以上65歳未満の方で16特定疾病疾患の対象者で要支援・要介護と認定された人となります。40歳未満の方は介護保険での訪問看護は利用できません。
医療保険の対象者は、医師によって訪問看護の必要があると判断された40歳未満の方、16特定疾病以外の40歳以上65歳未満の方、要支援・要介護の認定を受けていない65歳以上の方が基本的に該当します。
ただし、要支援・要介護の認定を受けていても、「厚生労働大臣が定める疾患等」に該当する場合は、医療保険の適用となります。また、特別訪問看護指示書が出た場合も医療保険を利用できます。
保険の優先順位
訪問看護では、原則として医療保険と介護保険の併用はできません。要支援・要介護認定を受けている場合は介護保険の利用が優先される仕組みとなっています。
ただし、要支援・要介護の認定を受けた方でも、厚生労働大臣の定める20疾病(末期がんや多発性硬化症、重症筋無力症など)に該当する場合は医療保険で訪問看護が利用できます。
利用回数・時間の制限
医療保険の場合、基本的に利用回数は週3回まで、利用時間は1回30分から90分以内です。ただし、厚生労働大臣が定める疾病等や気管カニューレ等の特別な管理が必要とする方、病状の悪化等により特別訪問看護指示期間にある方は、週4日以上、かつ1日に2回から3回の訪問が可能です。
介護保険の場合、利用回数に制限はありません。ただし、支給限度額に上限があるため、限度額の範囲内で収まるように訪問看護を利用する必要があります。支給限度額は要支援度や要介護度により異なります。支給限度額の範囲内で介護サービスを利用した場合の自己負担額はサービス単価の1割または2割ですが、支給限度額を超えてサービスを利用した場合は超えた分が全額自己負担となります。
費用負担の違い
公的医療保険で訪問看護を受ける場合、負担する費用は年齢や所得によって異なりますが、費用の1割から3割の自己負担でサービスを利用することができます。介護保険の場合も同様に、1割から3割の自己負担となりますが、要介護度に応じた支給限度額の範囲内での利用が基本となります。
24時間対応の利用方法と契約までの流れ
訪問看護サービスを利用するまでの基本的な流れを理解しておくことで、スムーズに24時間対応体制を活用することができます。
訪問看護サービス利用の流れ
まず、サービスの申し込みを行います。訪問看護の新規依頼は、主治医や介護支援専門員(ケアマネジャー)、退院調整看護師やソーシャルワーカーを通して行われるのが一般的です。
次に、訪問看護指示書を受理します。主治医から訪問看護ステーションに対して発行される書類で、これがないと訪問看護は実施できません。
その後、サービスの説明と同意、契約を行います。「重要事項説明書」に沿って、事業所の概要、サービス内容、営業時間、サービス時間、利用料金、職員体制などについて説明を受けます。初回訪問と情報収集を経て、アセスメント、訪問看護計画の立案が行われます。そして、訪問看護の実施、訪問看護実施の記録、モニタリング・評価・訪問看護報告書の提出という流れで進みます。
契約と同意書について
訪問看護の依頼があり、主治医から「訪問看護指示書」が交付されたら、訪問看護ステーションから重要事項説明書に沿った説明を受けます。重要事項説明書は契約書別紙とも呼ばれており、契約書で記載した各種事項の内容について、さらに細かく説明するものです。提供する訪問看護サービスの内容、利用料、利用者負担額、相談窓口、緊急時対応などが記載されています。
同時に、個人情報の使用に関する同意や訪問看護契約書についても説明を受け、本人または家族の同意を得て契約を取り交わします。個人情報の取り扱いに関する同意書を交わしておくことで、サービス開始前に個人情報のやり取りに関する同意を得ることができます。
24時間対応体制の利用に関する同意
24時間対応体制加算(医療保険)または緊急時訪問看護加算(介護保険)を利用するには、利用者本人または家族の同意が必要です。加算はすべての訪問看護利用者が対象となり得ますが、要件に沿った体制整備と本人または家族の同意が前提となります。
緊急連絡先は、訪問看護計画書や契約書に記載されていますので、事前に確認しておくことが重要です。また、訪問看護ステーションによっては24時間対応の緊急訪問体制を整えている場合がありますので、確認しておくと安心です。「24時間対応体制加算(医療保険)」または「緊急時訪問看護加算(介護保険)」利用の意向確認、「市町村等への情報提供」の同意を取ることも契約時に行われます。
24時間対応体制のメリットと考慮すべき点
24時間対応体制には、利用者やご家族にとって多くのメリットがある一方で、理解しておくべき点もあります。
利用者・家族にとってのメリット
最も大きなメリットは安心感です。24時間対応体制を整備することで、利用者とそのご家族が、夜間や緊急時を含め、いつでも必要な時に相談・対応してもらえるという安心感を得られます。それにより、在宅での療養生活における不安が軽減され、より質の高い、途切れないケアの提供につながります。
いつでも電話相談ができる点も大きなメリットです。体調の変化や不安な点について、気軽に相談でき、看護師からアドバイスを受けられ、安心して在宅療養を継続できます。
緊急時の迅速な対応も重要です。利用者の状態に異変が生じた際、訪問看護師が迅速に駆けつけ、適切な処置やケアを行うことで、状況の悪化を防ぐことができます。状態によっては受診すべきかどうかを看護師が判断します。
実際に緊急訪問を受けた利用者家族の調査では、緊急訪問が家族の不安軽減となっていることが明らかにされています。一人暮らしの高齢者や老老介護の家庭にとって、夜間や急変時でも支援を受けられる体制はとても心強いものです。さらに、離れて暮らす家族にとっても安心材料となります。
考慮すべき点
一方で、24時間対応を利用する際に考慮すべき点もあります。費用面については、24時間対応体制加算または緊急時訪問看護加算が毎月発生します。ただし、月額で数百円から2,000円程度の負担であり、得られる安心感を考えると大きな負担ではないという方も多いです。
また、24時間対応していない事業所も存在します。訪問看護ステーションは24時間対応が義務付けられているわけではありませんので、事業所選びの際は24時間対応の有無を必ずチェックすることが重要です。
実際に緊急訪問が必要になった場合、2回目以降の夜間・深夜帯の訪問では割増料金が発生します。ただし、1回目の緊急訪問は割増なしで利用できるため、経済的な配慮がなされています。
オンコール対応看護師の負担軽減への取り組み
24時間365日対応を行っている事業所においても、看護職員の精神的・身体的負担が大きく、夜間・休日対応できる看護職員が限られているため負担が偏るといった課題があります。オンコール体制の維持は、訪問看護ステーションにとって人材確保の難しさや給与面での課題など、決して容易ではありません。
負担軽減の取り組み
全国訪問看護事業協会の調査によると、約6割の事業所において、オンコール対応をする看護師の負担を軽減する取り組みがされています。具体的な取り組み内容として、夜間対応した翌日の勤務体制の調整、オンコール対応者のフォロー体制、タブレットやスマートフォンなどICTの活用などがあります。
2024年度の診療報酬改定では、看護業務の負担軽減の取り組みを行っている場合に高い点数(24時間対応体制加算イ:6,800円)が算定できるようになりました。これにより、事業所が負担軽減に取り組むインセンティブが生まれています。
オンコール代行サービスの活用
看護師の負担を軽減するために、夜間や休日の一次対応を「オンコール代行サービス」に委託する方法もあります。代行業者は看護師などの資格を持つスタッフが電話対応を行い、緊急性が高いと判断された場合にのみ、実際の担当看護師へ引き継ぎます。これにより、看護師の夜間の負担を軽減しつつ、利用者への24時間対応を維持することができます。
オンコール手当について
オンコール手当の相場は1回約1,000円から3,000円です。オンコールに対応した場合は、さらに3,000円から5,000円以上の手当がもらえる事業所が多いです。実働した分の時給制にしているステーションも多く、1時間あたり2,000円から5,000円が相場となっています。1回の出動ごとに定額制の場合は5,000円から1万円が相場です。
訪問看護ステーション選びで確認すべきポイント
訪問看護ステーションを選ぶ際、24時間対応体制の有無は重要な確認ポイントです。約86パーセントの事業所が緊急時対応体制を整えていますが、すべての事業所が24時間対応しているわけではありません。在宅療養を安心して続けるためには、夜間や休日の緊急時に対応してもらえるかどうかを事前に確認しておくことが大切です。
連絡方法の確認
24時間対応を利用する場合、具体的な連絡方法を確認しておきましょう。緊急連絡先の電話番号、連絡可能な時間帯、電話に出るのは看護師か事務職員か、どのような場合に緊急訪問してもらえるかなどを事前に確認しておくと安心です。
対応エリアの確認
訪問看護ステーションには対応可能なエリアがあります。自宅がそのエリア内に含まれているか、また緊急時にどの程度の時間で駆けつけてもらえるかも確認しておくとよいでしょう。
料金体系の確認
24時間対応体制加算や緊急時訪問看護加算の料金、夜間・早朝・深夜の加算料金について、事前に説明を受けておきましょう。重要事項説明書に記載されていますので、契約時にしっかりと確認することが大切です。
24時間対応に関する料金のまとめ
訪問看護の24時間対応に関する料金を整理すると、以下のようになります。
| 項目 | 医療保険 | 介護保険 |
|---|---|---|
| 24時間対応の加算名称 | 24時間対応体制加算 | 緊急時訪問看護加算 |
| 加算額(高い区分) | イ:6,800円/月 | I:574単位/月 |
| 加算額(通常区分) | ロ:6,520円/月 | II:544単位/月 |
| 1割負担の目安 | 約650円~680円 | 約540円~570円 |
| 夜間・早朝加算 | 定額加算 | 所定単位数の25% |
| 深夜加算 | 定額加算 | 所定単位数の50% |
電話相談には追加料金はかからず、実際に緊急訪問が行われた場合も月1回目は割増料金なしで利用できる点は、利用者にとって大きな安心材料といえます。
まとめ
訪問看護の24時間対応体制は、在宅で療養生活を送る方やそのご家族にとって、大きな安心をもたらす仕組みです。24時間365日、いつでも看護師に電話相談ができ、必要に応じて緊急訪問を受けられる体制は、夜間や休日の急変時に対する不安を軽減し、安心して在宅療養を続けることを可能にします。
料金面では、医療保険の24時間対応体制加算が月額6,520円から6,800円(自己負担は1割から3割)、介護保険の緊急時訪問看護加算が月額544単位から574単位となっています。電話相談には追加料金はかからず、実際に緊急訪問が行われた場合も、月1回目は割増料金なしで利用できます。
2024年度の診療報酬改定では、看護業務の負担軽減に取り組んでいる事業所に対してより高い点数が算定できるようになり、持続可能な24時間対応体制の構築が推進されています。
訪問看護ステーションを選ぶ際は、24時間対応の有無、具体的な連絡方法、対応エリア、料金体系などを事前に確認し、安心して在宅療養を続けられる環境を整えることが大切です。在宅医療・在宅介護が推進される中、訪問看護の24時間対応体制は、利用者と家族の生活の質を支える重要な役割を担っています。この制度を上手に活用することで、住み慣れた自宅での療養生活をより安心して送ることができるでしょう。









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