就労移行支援とリワークの違いは、対象者と目的にあります。就労移行支援は離職中の方が新たな就職を目指す障害福祉サービス、リワークは休職中の方が元の職場への復帰を目指すリハビリプログラムです。うつ病や適応障害などのメンタルヘルス不調から職場復帰や再就職を考えるとき、自分の状況に合ったサービスを選ぶことが、無理のない一歩につながります。
本記事では、就労移行支援とリワークの6つの違い、それぞれの対象者・費用・利用期間、うつ病の方が職場復帰を目指す際に意識したい注意点、自分に合った事業所や施設の選び方を、基準日2026年6月20日時点の制度情報をもとに整理して解説します。傷病手当金など休職中に活用できる経済的支援や、復職後の定着のための合理的配慮についても触れていきますので、これから働く準備を始めたい方の判断材料としてご活用ください。

就労移行支援とリワークの違いを6項目で比較
就労移行支援とリワークは、どちらも働くことを支援するサービスですが、対象者・目的・根拠制度・費用・利用期間・復帰後のサポート体制という6つの観点で明確に異なります。自分がどちらに該当するかを最初に把握することが、サービス選びの出発点となります。
以下の比較表で全体像を確認してから、それぞれの詳細を順に見ていきましょう。
| 比較項目 | 就労移行支援 | リワーク(復職支援) |
|---|---|---|
| 対象者 | 離職中または未就労の障害・難病のある方 | 休職中のメンタルヘルス不調者 |
| 目的 | 新規就職 | 元の職場への復職 |
| 根拠制度 | 障害者総合支援法(障害福祉サービス) | 医療保険・労働保険・企業制度 |
| 費用 | 自己負担1割(約9割の方は無料) | 医療リワークは健康保険3割、職リハリワークは無料 |
| 利用期間 | 原則最大2年(延長で最大3年) | 3か月から7か月程度が一般的 |
| 復帰後の支援 | 最大3年の職場定着支援あり | 施設により異なる |
休職中で元の職場に戻りたい方はリワーク、すでに退職している方やこれから新しい職場で働きたい方は就労移行支援、というのが基本的な判断軸です。次の章から、それぞれのサービスの中身を詳しく見ていきます。
就労移行支援とは何か
就労移行支援とは、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一つで、障害や難病のある方が一般企業への就職を目指して職業訓練・就活サポート・職場定着支援を受けられる仕組みです。「現在の状態から一般就労へ移行する」という意味が名称に込められており、全国に約3,000か所以上の事業所が運営されています。
うつ病・統合失調症・双極性障害などの精神疾患や、発達障害・身体障害・知的障害・難病のある方が利用できます。すでに離職している方や、過去に就労経験のない方が主な対象です。
利用できる人と必要な条件
就労移行支援を利用できるのは、原則65歳未満で、一般企業への就職を希望し、適切な支援があれば就職が可能と見込まれる方です。重要なポイントとして、障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書や意見書があれば申請を進められる場合があります。うつ病の通院中で手帳取得をためらっている方も、まずは市区町村の障害福祉担当課や事業所に相談することができます。
なお、現在も休職中で元の職場への復帰を目指している方は、就労移行支援ではなくリワークの利用が前提となります。両者の役割が重なる部分は限定的なため、自分の状況を整理してから選びましょう。
受けられるサポートの内容
就労移行支援で受けられる支援は、職業訓練・自己理解・就職活動・職場体験・定着支援という5つの柱で構成されています。
職業訓練ではパソコン操作(Word、Excel、タイピング)、ビジネスマナー、電話対応、軽作業など実務的なスキルを身につけることができます。自己理解とセルフケアの場面では、自分の特性や強み・苦手の把握、ストレスへの対処法(コーピング)の練習、感情のコントロールを学ぶプログラムが用意されています。うつ病の再発防止を意識した心理教育プログラムを設けている事業所も多くあります。
就職活動の段階では、履歴書・職務経歴書の作成支援、模擬面接、求人探しのサポート、ハローワークや障害者専門の就職エージェントとの連携が行われます。さらに企業での実習・職場体験を通じて実際の職場環境に慣れる機会も設けられています。
そして就職が決まった後も、最大3年間の職場定着支援が受けられる点が大きな特徴です。「就職して終わり」ではなく、職場に定着するまで伴走してもらえる安心感があります。
利用期間と費用の目安
就労移行支援の利用期間は、原則として最大2年(24か月)です。市区町村が個別に審査し、必要性が認められた場合はさらに最大1年の延長が認められることもあります。期間内に就職が決まれば、残りの期間は就労定着支援へ移行します。
費用は障害福祉サービスの一環として、自己負担は原則1割です。ただし世帯の収入に応じて月額の上限額が設けられており、生活保護受給世帯や市区町村民税非課税世帯は0円、市区町村民税課税世帯で所得割16万円未満の方は月額9,300円、それ以外は月額37,200円が上限となります。全体の約9割の方が実質無料で利用できているとされます。なお、交通費や昼食代は自己負担ですが、自治体によっては補助制度がある場合があります。
申し込みから利用開始までの流れ
利用までの一般的な流れは、まず気になる事業所に見学・体験を申し込み(多くの事業所で無料体験が可能)、利用したい事業所が決まったらお住まいの市区町村の障害福祉担当課で相談・申請、その後「障害福祉サービス受給者証」を取得して事業所と契約、サービス利用開始となります。受給者証は申請から発行まで1か月から2か月程度かかる場合があります。
障害者手帳がない場合は医師の診断書が必要になることが多いため、かかりつけ医や主治医に相談しながら手続きを進めましょう。
リワークとは何か
リワークとは「Return to Work(職場への復帰)」の略称で、うつ病・適応障害・双極性障害などのメンタルヘルス不調が原因で休職している方が、スムーズに職場復帰を果たし、再休職を防ぐことを目的としたリハビリプログラムです。日本うつ病リワーク協会は、リワークを「気分障害などの精神疾患を原因として休職している労働者に対し、職場復帰に向けたリハビリテーションを実施する機関で行われているプログラム」と定義しています。
リワークの最大の特徴は、現在の職場への復職を前提としている点です。転職や再就職を目指すサービスではなく、あくまでも元の会社に戻って働き続けること、そして戻った後に再発や再休職に至らないことを最終目標としています。
利用できる人と前提条件
リワークの対象は、うつ病・適応障害・双極性障害などのメンタルヘルス不調で現在休職中の方、休職している職場へ復職を希望する方、医師から復職に向けたリハビリが適切と判断された方です。
「休職中」であることが原則的な条件で、すでに退職・離職している方は対象外となります。退職してしまった場合は、就労移行支援などの別のサービスを検討する必要があります。
リワークの4つの種類
リワークは実施機関によって医療リワーク・職リハリワーク・職場リワーク・EAPリワークの4種類に分けられます。それぞれ費用や特徴が大きく異なるため、自分に合うものを選ぶことが重要です。
| 種類 | 実施機関 | 費用 |
|---|---|---|
| 医療リワーク | 精神科・心療内科などの医療機関 | 健康保険3割(自立支援医療で1割) |
| 職リハリワーク | 地域障害者職業センター | 無料 |
| 職場リワーク | 勤務先企業の社内制度 | 会社規定による |
| EAPリワーク | 企業契約の外部EAP機関 | 会社規定による |
医療リワークでは精神科デイケア・ショートケア・作業療法などの診療報酬の枠組みのもと、医師・看護師・精神保健福祉士・作業療法士・心理士など多職種の専門スタッフが関わります。職リハリワークは独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する地域障害者職業センターで実施され、ハローワークと連携した社会復帰支援が受けられます。職場リワークは勤務先企業が独自に設けた職場復帰訓練制度を利用するもので、段階的に業務に慣れていく模擬出勤や試し出勤もこの一形態です。EAPリワークは企業が契約している従業員支援プログラムの外部機関を通じて行われ、大企業や社内にリワーク体制が整っていない場合に取られることがあります。
プログラム内容と利用期間
リワークプログラムでは、生活リズムの立て直しから始め、実務に近いデスクワーク・軽作業による体力と集中力の回復、認知行動療法(CBT)など心理療法を通じた思考パターンの見直し、疾病教育としてうつ病のメカニズムや再発防止の知識習得、グループワーク・集団活動による対人スキルの回復、ストレスマネジメントの練習が組み込まれます。医療リワークでは主治医が参加していることが多く、症状に応じてプログラムの強度が調整されます。
利用期間は施設や利用者の状態によって異なりますが、一般的には3か月から7か月程度です。症状が重い場合や復職判断が慎重に行われる場合は、これより長くなることもあります。
医療リワークの費用は健康保険適用で原則3割負担、自立支援医療制度を利用すれば1割となり、1か月の自己負担は利用頻度にもよりますが2,500円から2万円程度が多いとされます。職リハリワークは原則無料、職場リワークは会社の制度に応じた処遇(通常は給与の支払い形態)となります。
うつ病の方が職場復帰を目指す際の注意点
うつ病から職場復帰を目指す際は、回復のタイミングを焦らず、専門家の支援を段階的に活用していくことが、再休職を避けるうえで重要です。統計的にメンタルヘルス不調による休職者の約20%から30%が、復職後6か月から1年以内に再休職に至るとされており、その大きな要因として「完全に回復しないうちに復職を焦った」ことが挙げられています。
復職・就職のタイミングは焦らない
うつ病の回復には個人差があります。「もう体は動く」「気持ちは前向きになってきた」と感じても、継続的な作業やストレス状況への耐性が戻っているかは別の問題です。主治医の「復職可能」という判断は、日常生活における病状の安定を基準にしており、必ずしも職場での業務遂行能力の完全な回復を意味するわけではありません。
リワークや就労移行支援のプログラムを通じて、実際の業務に近い負荷を段階的にかけながら準備を進めることが、再発防止につながります。「働けるかどうか」を職場の負荷で試す前に、専門家の管理下で確認できる場を活用することが安全な選択です。
就労移行支援でもリワーク的なサポートが受けられる場合がある
就労移行支援事業所の中には、うつ病・精神障害の方に特化したプログラムを提供しているところもあります。認知行動療法のエッセンスを取り入れたストレスマネジメント講座、疾病理解のための心理教育プログラム、体調の波に合わせた柔軟な通所スケジュール(週1日・午前のみからスタートできる事業所もあります)などが用意されています。
また、一部の医療機関やリワーク専門施設では、リワークプログラムを終了した後に就労移行支援へ移行する二段階型の支援体制を整えているところもあり、「まずリワークで復職を試みたが結果的に退職を選択した」というケースにも対応しやすくなっています。
退職してしまった場合の選択肢
うつ病で休職中に退職してしまった場合、リワークの利用資格は失われます。この場合は就労移行支援の利用が選択肢となります。ただし、退職直後で体調が不安定な時期は、まず医療機関での療養に専念することが先決です。医師や社会福祉士などの専門家に相談しながら、体調が安定してから就労移行支援の見学・体験へと進むことをおすすめします。
就労移行支援事業所の選び方
就労移行支援事業所を選ぶ際は、通いやすさ・専門性・柔軟性・就職実績・見学体験の有無・主治医との連携という6つのポイントを押さえることが、無理なく長く通える事業所選びにつながります。事業所ごとに得意分野や雰囲気が大きく異なるため、複数を比較することが鉄則です。
通いやすさを最優先に考える
うつ病・精神疾患のある方にとって、長時間の通勤や人混みの中での移動は大きな負担になります。自宅から近い場所・駅からの距離・周辺環境を確認し、無理なく継続して通える立地かを最優先に確認しましょう。
近年は在宅・オンラインで支援を受けられる事業所も増えています。外出が難しい時期はオンライン、体調が安定したら通所、という柔軟な対応ができる事業所を選ぶと安心です。
精神疾患・うつ病への専門性を確認する
事業所によって得意とする対象者・障害種別が異なります。発達障害に特化した事業所、身体障害の方が多い事業所、精神障害・うつ病の方のサポートに強みを持つ事業所などさまざまです。精神保健福祉士(PSW)・社会福祉士・作業療法士・看護師などの専門資格を持つスタッフが在籍しているかも確認ポイントです。資格者の多い事業所ほど、精神面のサポートや医療機関との連携が充実していることが多くなっています。
柔軟なスケジュールに対応しているか
体調の波があるうつ病の方にとって、「毎日決まった時間に通わなければならない」という環境は大きなプレッシャーになります。週2日から通えるか、午前だけでもよいか、欠席した際のフォローがあるかなど、事前に確認しましょう。
就職実績と定着率を確認する
事業所のWebサイトやパンフレットには就職実績が掲載されています。精神障害・うつ病の方の就職実績があるか、自分が希望する業種・職種への就職実績があるか、就職後の定着率はどのくらいかを確認しましょう。定着率が高いほど、就職後も安定して働き続けやすいといえます。
見学・体験利用を必ず行う
多くの事業所では無料の見学・体験利用が可能です。実際に訪れることでスタッフの雰囲気・通所者の様子・施設の清潔さ・プログラムの内容を直接確認できます。スタッフとの相性は非常に重要な要素で、親身に話を聞いてくれるか、利用者の意見を尊重しているかを肌感覚で確かめましょう。複数の事業所を見学・体験して比較することを強くおすすめします。
主治医への相談を欠かさない
就労移行支援を始めるタイミングや事業所選びについては、必ず主治医や担当医に相談してください。病状が不安定な時期に就労訓練を始めると、かえって症状が不安定になることがあります。医師の「就労移行支援を始めるのは適切な時期」という判断を得てから動くことが大切です。
リワーク施設の選び方
リワーク施設を選ぶ際は、主治医の紹介から始め、医療リワークか職リハリワークかを軸に、プログラム内容・通所頻度・職場との連携体制を確認することが、復職後の再休職防止につながります。
主治医からの紹介を起点にする
リワークプログラムへの参加は、主治医の判断・紹介が基本です。「そろそろリワークを始めたい」と感じたら、まずは主治医に相談し、適切な施設を紹介してもらいましょう。主治医が所属する医療機関で直接リワークを実施しているケースもあります。
医療リワークと職リハリワークの選択軸
医療的なサポートを重視したい場合は医療リワークが適しています。まだ病状が不安定で主治医との密な連携が必要、薬の調整と並行してリハビリを進めたいといったケースでは医療リワークが向いています。
費用を抑えたい、職場との連携を重視したいという場合は、地域障害者職業センターの職リハリワークが選択肢になります。労働保険を財源としており原則無料で利用でき、ハローワークや企業との橋渡しが得意です。
プログラム内容と通所頻度を確認する
リワーク施設によって、週何日・何時間通うかは大きく異なります。毎日フルタイムに近い形で通う施設もあれば、週2日から3日でスタートできる施設もあります。体調に応じたペースで参加できるかを確認しましょう。
職場との連携体制を確認する
リワークのゴールは職場復帰であるため、リワーク施設・主治医・職場(人事・産業医)の三者連携が非常に重要です。会社の産業医や人事担当者と連絡を取り合いながら支援してくれる施設を選ぶと、復職後のスムーズな職場環境調整につながります。
状況別に見る就労移行支援とリワークの選び方ガイド
自分の状況に合った選択肢を見つけるために、休職中か離職中か、復職希望か転職希望か、体調が安定しているかという3つの軸で判断するとわかりやすくなります。代表的なケースを以下の表にまとめました。
| 現在の状況 | 希望する働き方 | 推奨される選択肢 |
|---|---|---|
| 休職中 | 元の職場に戻りたい | リワーク(医療リワークまたは職リハリワーク) |
| 休職中 | 転職・別の職場を希望 | 退職後に体調を整えてから就労移行支援 |
| 退職・離職済み | これから就職活動したい | 就労移行支援 |
| 体調はある程度安定 | 一人で就活は不安 | 就労移行支援(定着支援まで一貫サポート) |
| 判断がつかない | 相談したい | 主治医・病院のソーシャルワーカー・市区町村の障害福祉担当課・ハローワークの専門援助部門 |
休職中で元の職場に戻りたい方は、主治医に相談したうえで医療リワークまたは地域障害者職業センターの職リハリワークへの参加を検討してください。休職中でも転職を希望する場合は、リワークの目的とずれてしまうため、退職手続きを先に進めて体調が安定したら就労移行支援を利用するのが現実的な道筋です。
すでに退職・離職している方は、就労移行支援が最も適した選択肢となります。障害者手帳がなくても医師の診断書があれば利用できる場合がありますので、体調が安定してきたら見学・体験から始めてみましょう。判断に迷う場合に活用できる相談窓口はいずれも無料で利用できます。
休職中に活用できる経済的支援
うつ病で休職している間、生活費の不安から「早く復職しなければ」と焦ってしまう方は少なくありません。しかし、傷病手当金・自立支援医療制度・障害年金といった経済的支援を知っておくことで、焦りを和らげながら回復に専念しやすくなります。
傷病手当金
傷病手当金は、健康保険(社会保険)に加入している会社員・パート・アルバイトが、病気やけがで働けなくなった際に健康保険から支給される給付金です。うつ病も対象となっており、医師が「労務不能」と判断した場合に受給できます。
連続3日間の待期期間を経た4日目から支給が始まり、支給額は標準報酬日額の3分の2(おおよそ給与の3分の2)です。支給期間は支給開始日から最長1年6か月とされています。傷病手当金を受給しながらリワークプログラムに参加することも可能ですが、施設のプログラムによっては就労不能の状態での参加が前提となる場合があるため、主治医や施設に確認が必要です。
退職した後でも、在職中に傷病手当金を受け取っていた場合は、資格喪失後も継続して受給できる場合があります(健康保険の任意継続加入などの条件あり)。
自立支援医療制度(精神通院医療)
精神科・心療内科への通院費用について、自己負担を1割まで軽減できる制度が自立支援医療制度です。うつ病・統合失調症・双極性障害などの精神疾患のために継続的に通院している方が対象となります。
リワークプログラムが医療機関で行われている場合、この自立支援医療制度の対象となることがあります。医療リワークの費用負担を抑えることができるため、かかりつけの精神科・心療内科に相談してみましょう。
障害年金
重度のうつ病や精神疾患のため就労が困難な状態が続く場合、障害年金の受給を検討することも選択肢の一つです。初診日から1年6か月が経過していること、一定の障害状態にあることなどが条件となります。社会保険労務士や市区町村の窓口に相談することをおすすめします。
復職後・就職後の定着のために
復職後・就職後の定着には、段階的な復帰、合理的配慮の申請、通院と服薬の継続、相談窓口の確保という4つの視点が欠かせません。仕事に戻った直後の数か月は、体調の波が出やすい時期でもあるため、無理のないペース配分が長期的な定着の鍵となります。
段階的な復帰を活用する
復職後は「試し出勤(リハビリ出勤)」と呼ばれる段階的な職場復帰の仕組みを活用しましょう。最初は短時間(例:1日2時間から3時間)から始め、体調や集中力の回復に合わせて徐々に勤務時間を延ばしていきます。最初から通常業務をこなそうとせず、段階的に職場環境に慣れることが再発防止につながります。
合理的配慮を申請する
障害者雇用促進法に基づき、障害のある労働者は事業主に「合理的配慮」の提供を申請できます。うつ病の方が職場で申請できる合理的配慮の例として、残業や時間外労働の制限、出張や夜勤の免除、フレックスタイムや時差出勤の活用、業務量・業務内容の調整、産業医・上司・人事との定期的な面談の実施、静かで作業に集中しやすい環境の確保などが挙げられます。事前に産業医や人事担当者と話し合い、自分に必要な配慮を具体的に伝えることが大切です。
通院と服薬の継続
復職・就職後に「症状が落ち着いてきたから」と自己判断で服薬を中断すると、再発のリスクが高まることが知られています。主治医の指示に従って服薬を続け、定期的な通院を維持することが、長期的な職場定着の基盤になります。
特に復職後2か月から3か月目は「通勤するだけで精一杯」となりやすく、気持ちの波が出やすい時期です。体調の変化を主治医や職場の産業医に早めに伝え、早期に対処することが重要です。
相談できる窓口を持つ
復職・就職後も、悩みや不安を一人で抱え込まないことが再発防止の鍵です。社内の産業医・産業保健スタッフ、就労移行支援事業所の定着支援担当者、かかりつけの精神科・心療内科、都道府県の精神保健福祉センター(無料・予約制)、よりそいホットラインなどの相談窓口を事前に把握しておきましょう。
自分の状況に合った選択で無理のない一歩を
就労移行支援とリワークは、どちらも働く準備を専門家と一緒に進めるための公的・準公的な仕組みであり、優劣をつけるものではありません。重要なのは、休職中か離職中か、復職か転職か、体調の状態はどうか、という今の自分の立ち位置を整理し、それに合ったサービスを選ぶことです。
うつ病や精神疾患からの回復と社会復帰は、一直線に進む道ではなく、回復の波を繰り返しながら少しずつ前に進んでいく過程です。傷病手当金などの経済的支援を活用しながら焦らずに療養と準備に取り組み、合理的配慮や職場定着支援を活用して、自分のペースで働き続けることを目指していきましょう。主治医や専門家と連携しながら、無理のない一歩を重ねていくことが、長く働き続けるための土台になります。








