就労移行支援のSSTとは?内容と効果を定着率データで確認

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就労移行支援で行われるSSTとは、対人関係やコミュニケーションの技術をロールプレイングで練習する訓練プログラムのことです。内容は、あいさつや報告・連絡・相談といった基本的なやり取りから、感情のコントロールまで幅広く扱われます。効果としては、職場の人間関係が築きやすくなり、対人関係への不安が和らいだという声が多く聞かれます。仕事のスキルや知識があっても、職場の人間関係でつまずいてしまい、離職につながるケースは珍しくありません。SSTはSocial Skills Trainingの略で、日本語では生活技能訓練や社会生活技能訓練と訳され、精神科医療の現場で発展してきた技法です。就労移行支援の事業所ではパソコンスキルやビジネスマナー講座も用意されていますが、その中でも特に重視されているのがこのSSTです。ここからは、就労移行支援というサービスの基本を押さえたうえで、SSTの進め方や具体的なテーマ、期待できる効果、事業所を選ぶ際のポイントまで、順番に整理していきます。

目次

就労移行支援は障害福祉サービスの一つで自己負担0円が原則

就労移行支援とは、障害のある方が一般企業への就職を目指す際に利用できる障害福祉サービスです。対象となるのは、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病等のある方で、一般就労を希望し、それが可能と見込まれる方です。年齢は原則18歳以上65歳未満で、一般企業への就職を希望する方が主な利用者層になります。

利用できる期間は原則2年間です。この2年間の中で、職業訓練だけでなく、履歴書の書き方や面接対策といった就職活動の支援、さらに就職後の職場定着支援までを一貫して受けられます。訓練を受けて終わりではなく、実際に就職し、その職場で働き続けられるようフォローアップまで行う点が、就労移行支援というサービスの特徴です。

費用については、厚生労働省によって利用料金が定められており、原則として費用の9割を市区町村が補助し、残りの1割を利用者が事業所に支払う仕組みになっています。実際には世帯収入に応じて自己負担額が決まるため、ひと月あたり0円から32,000円の範囲に収まり、多くの方が0円で利用しているのが実情です。経済的な負担を心配して利用をためらう必要は、それほど大きくありません。

SST(ソーシャルスキルトレーニング)は1975年にリバーマンが体系化した技法

SSTは、認知行動療法の考え方に基づいたリハビリテーション技法で、対人関係を円滑にするための実践的な訓練として位置づけられています。もともとは精神に障害を持った方が社会生活の中で対人関係を良好に維持する技能を身につけ、自信を回復し、ストレスへの対処や問題解決ができるスキルを習得することを目的として、精神科医療の現場で発展してきました。

SSTの起源は、アメリカの精神科医リバーマンが1975年頃から、慢性的な精神障害を持つ患者のリハビリテーション技法として体系化したことにさかのぼります。このとき確立された進め方が、後述する基本訓練モデルの原型です。日本には1988年、東京大学病院精神神経科デイホスピタルにおいて、ルーテル学院大学名誉教授である前田ケイがSSTを導入したことをきっかけに広まりました。1994年には精神科医療におけるSSTが診療報酬の対象として認められ、医療現場での実施が制度的にも後押しされました。現在は一般社団法人SST普及協会が中心となり、医療、福祉、教育など幅広い分野への普及活動が続けられています。40年以上にわたって実践と検証が積み重ねられてきた技法だといえるでしょう。

就労移行支援でSSTが重視されるのは対人関係のつまずきが離職に直結するため

仕事上のスキルや知識があっても、職場の人間関係でつまずいてしまい、離職につながってしまうケースは少なくありません。あいさつの仕方、報告・連絡・相談の仕方、困ったときの相談の仕方、頼みごとや断り方など、一見当たり前に思えるコミュニケーションの技術を意図的に練習し、体系的に身につけていくことが、長く安定して働き続けるための土台になります。

SSTは、こうした対人関係の技術を、座学ではなく実践的なトレーニングを通じて習得していく方法です。就労移行支援事業所では精神科デイケアだけでなく、放課後等デイサービスなど幅広い福祉サービスの現場でもSSTが取り入れられており、統合失調症をはじめとする精神疾患のある方の再発予防や社会復帰支援の一環として実施されるケースも多く見られます。

SSTの内容は教示・モデリング・リハーサル・フィードバック・般化の5段階で構成される

就労移行支援で行われるSSTの多くは、基本訓練モデルと呼ばれる進め方に沿って実施されます。テキストを使った座学形式ではなく、事業所の職員が中心となってワークショップ形式で行われる点が特徴です。基本訓練モデルは、以下の5つのステップで構成されています。

インストラクション(教示)

これから練習するスキルがなぜ必要なのか、そのスキルが身につくとどのような効果や良い結果につながるのかを、言葉や絵カードなどを用いてわかりやすく伝える段階です。練習する意味を理解してから取り組むことで、モチベーションを持って参加しやすくなります。

モデリング

手本となる適切な振る舞いを支援員などが実際に見せたり、逆に不適切な振る舞いの例を見せて「どうすればよいか」を参加者に考えてもらったりする段階です。良い例と悪い例の両方に触れることで、望ましい行動のイメージがつかみやすくなります。

リハーサル

基本訓練モデルの中心といえる部分です。支援員や他の利用者を相手に、実際にロールプレイングやゲーム形式で練習します。ワークシートを使いながら、あいさつの言葉や報告の仕方などを、実際に声に出し、体を動かしながら繰り返し練習していきます。

フィードバック

ロールプレイングが終わった後、支援員や他の利用者から、良かった点や改善するとよい点についてコメントをもらう段階です。一方的に指摘されるのではなく、良い点をまず認めてもらったうえで改善点を伝えてもらう形が一般的で、安心して次の練習に取り組めるよう配慮されています。

般化

SSTの場で身につけたスキルを、日常生活や実際の職場でも適切に使えるようにしていく段階です。訓練の場だけでうまくできても、実際の生活場面で使えなければ意味がありません。宿題として日常生活の中で練習したスキルを試してもらい、次回のSSTでその結果を報告してもらうことで、般化を促していきます。

基本訓練モデルは、具体的な悩みや課題にフォーカスして練習できるため、即効性が高い方法とされています。

報連相とアサーティブ・コミュニケーションはSSTの中心的な練習テーマ

就労移行支援のSSTでは、実際の職場を想定したさまざまなテーマが取り上げられます。まず基本となるのが、あいさつの仕方や自己紹介の練習です。出社時や退社時のあいさつ、初対面の同僚や上司への自己紹介など、職場の第一印象を左右する振る舞いをロールプレイングで練習します。緊張しやすい方や対人関係に苦手意識がある方にとっては、繰り返し練習することで自信を持って実践できるようになる重要なステップです。

次に重視されるのが、報告・連絡・相談、いわゆる報連相の練習です。職場での報連相には、結論から先に話す、事実と自分の意見を分けて話す、悪い報告ほど早く伝える、といった具体的なコツがあります。SSTでは、こうしたコツを踏まえたうえで実際の業務場面を想定したロールプレイングを行い、繰り返し練習することで身につけていきます。報連相がスムーズにできるようになると、上司や同僚との信頼関係が築きやすくなり、業務上のミスやトラブルを未然に防ぐことにもつながります。

また、アサーティブ・コミュニケーションの練習も重要なテーマの一つです。アサーションとは、自分の気持ちも相手の気持ちも大切にしながら自己表現をする方法のことです。忙しそうな相手に何かを依頼する場面では、「申し訳ないのですが、今少しだけお時間よろしいでしょうか」と切り出し、「〇〇について教えていただけると大変助かります」というように丁寧かつ具体的に依頼する練習をします。誘いを断る場面では、「お誘いいただきありがとうございます。ただ、今日は別の予定があり、参加が難しいです」というように、相手への感謝や配慮を示しつつ自分の状況を正直に伝える練習も行われます。一方的に我慢したり、相手を配慮せずに主張したりするのではなく、双方にとって心地よいコミュニケーションを目指す点がアサーションの特徴です。

感情のコントロールもSSTで扱われる重要なテーマの一つ

職場では、理不尽に感じる指摘を受けたり、思うように仕事が進まずイライラしたりする場面が誰にでも起こり得ます。SSTでは、まず感情をコントロールすることの意義を学んだうえで、自分の感情を表に出す前にワンクッション置く、相手の事情をまず聞く、自分の気持ちを落ち着いた言葉で相手に伝える、といった対処の仕方を段階的に練習していきます。

怒りや不安、自己批判といった感情の波との付き合い方を扱うプログラムでは、感情が湧き上がるきっかけを特定し、深呼吸などのリラクゼーション技法を身につけ、実際の場面を想定してロールプレイで練習する、という流れで進められることが多く、アンガーマネジメントの考え方とも重なります。怒りの感情そのものをなくすのではなく、怒りを自覚したうえで適切に付き合っていく方法を学ぶ視点は、職場で長く働き続けるうえで欠かせないスキルです。

このほかにも、頼みごとの仕方や断り方、電話対応の練習、就職活動を見据えた面接の練習など、さまざまなテーマがプログラムに組み込まれています。事業所によってはグループワークやゲーム形式のプログラムを取り入れているところもあり、ゲームを通じてルールを守る、勝ち負けを受け止める、相談・協力するといったスキルを楽しみながら身につけられるよう工夫されています。ディスカッションやディベート形式で意見交換をしながら自分の考えを伝える練習をするプログラムも見られ、こうしたテーマは利用者一人ひとりの課題や目標に応じて柔軟に組み合わされます。

SSTは少人数グループでのロールプレイング形式が中心

就労移行支援におけるSSTは、少人数のグループで実施されることが一般的です。個別で行うSSTもありますが、グループで行うことで、支援員だけでなく他の利用者からもフィードバックを受けられる、他の利用者の振る舞いから学べる、実際の職場に近い複数人でのやり取りを想定した練習ができる、といった利点があります。

グループでのSSTでは、支援員がお手本となる振る舞いを示したり、参加者同士で役割を分担して実際の場面を演じたりします。上司役と部下役に分かれて報告のロールプレイングを行い、その後、演じた本人だけでなく見ていた他の参加者からも感想やアドバイスをもらう、といった進め方がよく見られます。良かった点や改善点を振り返り、同じ場面を繰り返し練習することで、日常生活や社会生活で実際に活用できるスキルの定着を図っていきます。

SSTを受けられる場所は就労移行支援事業所だけに限りません。精神科デイケアや精神科病院のリハビリテーションプログラムの中でも、SSTは古くから取り入れられてきました。医療と福祉の両方の現場で活用されている技法だといえます。

SSTの効果は基本的な仕事対応と職場の人間関係改善に表れる

SSTを継続的に実践することで期待できる効果としては、まず基本的な仕事の対応が身につくという点が挙げられます。あいさつや報連相といった基礎的なビジネスマナーを、頭で理解するだけでなく実際にできるようになることで、職場に出たときの戸惑いや不安が軽減されます。

次に、職場の人間関係の改善が期待できます。対人関係でのつまずきは離職の大きな要因の一つですが、SSTを通じて相手への伝え方や話の聞き方、困ったときの相談の仕方などを事前に練習しておくことで、実際の職場でのコミュニケーションがスムーズになりやすくなります。結果として上司や同僚との信頼関係を築きやすくなり、孤立感やストレスの軽減にもつながっていきます。

また、ストレスへの対処や問題解決能力の向上も期待される効果の一つです。対人関係の中で困難な場面に直面したとき、どのように考え、どのように行動すればよいかを事前に練習しておくことで、実際にその場面に遭遇したときにパニックにならず、落ち着いて対応しやすくなります。これは自信の回復にもつながり、就労に対する前向きな気持ちを支える土台になります。

医療分野の研究では、SSTによって重度の精神疾患を持つ方の社会的スキルが向上し、再発率が低下する可能性が示されています。精神症状や全体的な状態、生活の質についても改善する可能性が報告されていますが、これらの研究についてはデータの質が十分に高いとはいえない部分もあり、現時点で確実な科学的根拠が確立されているとまでは言い切れません。今後、より大規模で質の高い試験によって効果が検証されていくことが期待される分野です。

こうした学術的な検証の途上にある一方で、現場レベルでは、SSTが提供する「安全に失敗できる練習の場」そのものに価値があるという見方もできます。実際の職場でいきなり本番の対人関係に臨むのではなく、失敗しても大きな不利益につながらない環境の中で報告の仕方や断り方を試し、うまくいかなかった点はフィードバックを受けて修正し、次の練習で試す。この試行錯誤を安心して繰り返せるプロセスこそが、SSTの効果を支える土台になっていると考えられます。就労移行支援の現場からは、SSTを通じて職場でのコミュニケーションに自信を持てるようになった、面接で緊張せずに受け答えができるようになった、といった利用者の声が数多く報告されています。

就労移行支援の職場定着率は1年で76.0%まで下がる

SSTの意義を考えるうえで、就労移行支援全体の実績データも参考になります。厚生労働省の調査によれば、就労移行支援を利用した方の全国平均の就職率は令和5年度で58.8%となっており、事業所によっては一般企業への就職率が56.2%にのぼるという調査結果も報告されています。半数を超える利用者が実際に一般就労へとつながっている点は、就労移行支援というサービス全体の実効性を示す数字です。

さらに注目したいのは、就職後の職場定着率です。調査によると、就職後3か月時点での定着率は90.3%、6か月時点での職場定着率は89.5%という高い水準にあります。一方で、1年間の職場定着率は76.0%まで下がり、時間の経過とともに定着率が低下していく傾向も見られます。障害の種類によって定着率にはばらつきがあり、精神障害のある方で49.3%、発達障害のある方で71.5%という調査結果も報告されています。

指標数値
全国平均就職率(令和5年度)58.8%
一般企業への就職率(事業所例)56.2%
職場定着率(3か月時点)90.3%
職場定着率(6か月時点)89.5%
職場定着率(1年時点)76.0%
職場定着率(精神障害・1年時点)49.3%
職場定着率(発達障害・1年時点)71.5%

こうしたデータからは、就職した直後の数か月間だけでなく、長期にわたって職場に定着し続けることの難しさもうかがえます。この長く働き続けるという課題こそ、SSTが最も力を発揮する領域です。就職活動の技術だけを身につけても、実際に職場に入ってから直面する上司への報告の仕方や、同僚との距離感の取り方、困りごとを相談するタイミングといった細やかなやり取りにつまずいてしまうと、そこから離職に至ってしまうことがあります。SSTを通じてこうした場面を事前に繰り返し練習しておくことは、就職率を高めるだけでなく、就職後の定着率を高めるうえでも重要な役割を果たしていると考えられます。

SSTが向いているのは対人関係の型を実践で身につけたい人

SSTは、対人関係やコミュニケーションに苦手意識がある方、発達障害の特性によって相手の意図を読み取ることが難しい方、精神疾患の影響で人と接することに不安を感じやすい方に、特に向いている訓練です。具体的な場面を想定して繰り返し練習できるため、頭ではわかっているけれど実際の場面でどう振る舞えばいいかわからないという悩みを抱えている方にとって、実践的な解決の糸口になりやすいプログラムだといえます。

SSTはあくまで型を身につけるための訓練という側面があるため、すでに対人関係のスキルにある程度自信がある方や、根本的な原因が対人スキル以外にある方にとっては、他の支援プログラムと組み合わせて活用したほうが効果的な場合もあります。就労移行支援事業所ではSST以外にもビジネスマナー講座やパソコンスキル講座、模擬就労の場などさまざまなプログラムが用意されているため、自分の課題や目標に合わせてプログラムを選んでいくことが大切です。

在宅・オンライン形式のSSTは通所が難しい人の選択肢になる

近年は、外出することに不安があったり、通所そのものが難しかったりする方に向けて、在宅・オンライン形式で就労移行支援を提供する事業所も増えてきています。こうした事業所では、ZOOMなどのビデオ通話ツールを使ったグループワークの中でSSTを実施しているところがあり、協調性について、人に話しかける時のマナー、中間報告のタイミングとメリット、自分の長所・短所といった、対面のSSTと共通するテーマがオンライン上でも扱われています。

在宅訓練全体としては、SSTのほかにもビジネスマナーの学習、データ入力や伝票作成といったパソコンを使ったルーティンワークの練習、資格取得に向けた講座など、多岐にわたるプログラムが組み合わされているのが一般的です。動画教材を使って基礎知識を学んだうえで、オンライン朝会での実践やチャットでの報連相の練習を通じてアウトプットの機会を作るなど、対面でのロールプレイングとは異なる形でのスキル習得の工夫がなされています。

通所が難しい方にとって、在宅・オンライン形式のSSTは、対人関係の練習を諦めずに続けられる選択肢の一つです。画面越しのやり取りと実際の対面でのやり取りには違いもあるため、将来的に対面の職場で働くことを目指す場合は、対面形式のロールプレイングを取り入れている事業所と組み合わせる、あるいは訓練の途中から通所形式に切り替えるといった工夫を検討してみるとよいでしょう。

事業所選びはSSTの実施頻度とテーマの一致を見学で確認する

SSTを重視して就労移行支援事業所を選びたい場合、いくつか確認しておきたいポイントがあります。まず、SSTがどのくらいの頻度で実施されているか、グループの人数はどのくらいか、といった実施体制を確認することが挙げられます。事業所によってプログラムの内容や重点の置き方は異なるため、見学や体験利用の際に、実際にどのようなロールプレイングが行われているのか、支援員がどのようにフィードバックを行っているのかを確認しておくと安心です。

次に、SSTのテーマが自分の課題に合っているかどうかも重要な視点です。報連相を重点的に練習したいのか、面接対策を重視したいのか、感情のコントロールを学びたいのか、自分自身がどのような課題を感じているかを整理したうえで、その課題に対応したプログラムを提供している事業所を選ぶとよいでしょう。

SSTは一度受ければ完了するものではなく、継続的に練習を積み重ねることで少しずつ身についていく性質のものです。そのため、無理なく通い続けられる立地や雰囲気であるか、支援員との相性はどうかといった点も、長く続けるためには見過ごせないポイントになります。

こうした点を確かめるために有効なのが、事業所の見学や体験利用です。見学は事業所の雰囲気や支援体制を知ることが主な目的で、施設内を案内してもらいながら、訓練内容や一日の流れについて説明を受けます。体験利用は実際にプログラムに参加してみることで、自分がその環境で無理なく続けられそうかを確かめる機会になります。就労移行支援は利用できる期間が原則2年と限られているため、事前にじっくりと事業所を見極めておくことが、後悔のない選択につながります。見学や体験利用の多くは無料で、何度でも利用できるため、SSTの実施方法やグループの雰囲気を実際に確認しながら、複数の事業所を比較検討してみることをおすすめします。服装は私服で構いませんが、派手すぎない服装を選び、筆記用具やメモ帳を持参して、気になった点をその場でメモしておくとよいでしょう。

復職を目指すリワーク支援でもSSTは重要なプログラムの一つ

SSTが活用されるのは、新たに一般就労を目指す方だけではありません。うつ病などの精神疾患によって休職している方が職場復帰を目指す、いわゆるリワーク支援の場面でも、SSTは重要なプログラムの一つとして位置づけられています。休職に至った背景には、職場の人間関係のストレスや、業務上のコミュニケーションのつまずきが関係していることも少なくありません。復職前にSSTを通じて上司への報告の仕方や、体調に配慮しながら業務量を相談する方法などを練習しておくことは、同じ悩みを繰り返さずに復職するための備えとして役立ちます。

発達障害の特性として、相手の表情や声のトーンから意図を読み取ることが苦手だったり、暗黙のルールに気づきにくかったりすることがあります。こうした特性そのものを変えることは簡単ではありませんが、SSTを通じてこういう場面ではこう対応するという具体的なパターンをあらかじめ練習しておくことで、実際の場面での戸惑いを減らし、対応の幅を広げていくことができます。特性を否定するのではなく、特性を踏まえたうえで実践的な対処方法を積み重ねていく点も、SSTが発達障害のある方の就労支援において重視される理由の一つです。

SSTを続けることが就職後も安心して働き続ける土台になる

就労移行支援で実施されるSSTは、あいさつや報連相、アサーティブ・コミュニケーションなど、職場で必要とされる対人関係のスキルを、ロールプレイングを中心とした実践的な方法で身につけていくプログラムです。インストラクション、モデリング、リハーサル、フィードバック、般化という基本訓練モデルの流れに沿って進められ、少人数のグループの中で、支援員や他の利用者からのフィードバックを受けながら、繰り返し練習を積み重ねていきます。

期待できる効果としては、基本的な仕事の対応が身につくこと、職場の人間関係が改善しやすくなること、ストレスへの対処や問題解決の力が養われることが挙げられます。医学的な研究の面では、まだ検証が必要とされる部分もありますが、実際に就労移行支援を利用した方々からは、対人関係への自信につながったという声が多く聞かれます。

対人関係やコミュニケーションに不安を感じている方にとって、SSTはわかっているけれどうまくできないというギャップを埋めるための、実践的な訓練方法です。1975年にリバーマンによって体系化され、1988年に前田ケイによって日本に紹介されて以来、SSTは医療・福祉・教育の現場で長年にわたり実践されてきました。その積み重ねの延長線上に、現在の就労移行支援でのSSTプログラムもあります。就職して終わりではなく、その先も安心して働き続けられるようになるために、就労移行支援の利用を検討している方は、見学や体験利用の機会を活用し、自分の課題や目標に合ったSSTプログラムを提供している事業所を探してみるとよいでしょう。

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