生活保護の医療扶助完全解説!薬代・入院費の自己負担はどうなる?

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生活保護の医療扶助制度は、経済的に困窮している方々が必要な医療を受けるための重要な社会保障制度です。この制度により、受給者は原則として医療費の自己負担なしに医療サービスを受けることができます。

2024年10月には長期収載品(先発医薬品)の選定療養制度が導入され、一般患者と生活保護受給者の間で薬剤の取り扱いに違いが生まれました。しかし、生活保護受給者にとっては引き続き自己負担なしに必要な医療を受けることができる制度となっています。

医療扶助は金銭給付ではなく現物給付を原則とした制度で、各市町村を担当する福祉事務所が指定医療機関に委託して医療サービスを提供しています。2024年3月からはオンライン資格確認システムにも対応し、利便性が向上している一方で、薬剤についてはジェネリック医薬品の使用がより一層推進されています。

制度を適切に利用するためには、事前の手続きや指定医療機関での受診など、一定のルールを理解しておくことが重要です。本記事では、医療扶助における自己負担の実態や薬代の取り扱い、具体的な手続き方法について詳しく解説していきます。

目次

Q1. 生活保護受給者は医療費や薬代の自己負担が本当にゼロなの?

はい、生活保護受給者の医療費と薬代は原則として自己負担ゼロです。 医療扶助制度により、診察料、検査費、手術代、薬代などすべての医療費が公費で負担されます。

医療扶助は現物給付を原則とした制度で、受給者が直接お金を支払うのではなく、福祉事務所が指定医療機関に委託して医療サービスを提供する仕組みです。生活保護受給者は国民健康保険に加入していないため、医療費の10割負担分がすべて医療扶助から支給されます。

薬代についても同様に自己負担はありません。 2018年10月からジェネリック医薬品の使用が原則として定められており、医師や歯科医師が医学的知見に基づいてジェネリック医薬品を使用することができると判断した場合は、ジェネリック医薬品が給付されます。先発医薬品については、医療上の必要性がある場合にのみ処方され、患者の希望だけでは処方されません。

ただし、自己負担ゼロを実現するためには適切な手続きが必要です。事前に福祉事務所で医療券や調剤券を取得し、指定医療機関や指定薬局を利用する必要があります。また、他の制度による給付(労災保険、自賠責保険など)がある場合は、まずそれらの制度を優先して利用することになります。

緊急時には医療券なしでも受診可能ですが、その場合は「受給証」を提示し、後日適切な手続きを行う必要があります。このように、制度を正しく理解し適切に利用することで、確実に自己負担ゼロで医療を受けることができます。

Q2. 2024年10月の制度変更で薬代の取り扱いはどう変わった?

2024年10月1日から、長期収載品選定療養制度が開始されましたが、生活保護受給者はこの制度の対象から除外されています。つまり、一般患者のような特別負担は発生しません。

長期収載品選定療養制度とは、後発医薬品があるにもかかわらず先発医薬品を選択する場合、先発医薬品とジェネリック医薬品の価格差の4分の1を患者が特別負担として支払う制度です。しかし、生活保護受給者が医療上の必要性がないのに単に希望で先発医薬品を求める場合、そのような薬剤は医療扶助の対象にならず、ジェネリック医薬品が処方されることになります。

医療上の必要性がある場合の判断基準は、医師や薬剤師の専門的な医学的知見に基づいて行われます。例えば、ジェネリック医薬品でアレルギー反応が出る場合や、病状の安定性を考慮して先発医薬品の継続が必要と判断される場合などです。このような場合には、先発医薬品も医療扶助の対象となり、自己負担は発生しません。

薬局での調剤についても同様の取り扱いとなります。調剤券を薬局に提示することで、処方された薬剤を無料で受け取ることができますが、医療上の必要性がない限りジェネリック医薬品が調剤されます。薬局においても、生活保護受給者に対して選定療養の特別負担を求めることはできません。

この制度変更により、ジェネリック医薬品の使用がより一層重視されるようになりました。しかし、真に医療上必要な場合には先発医薬品も確実に提供される仕組みが維持されており、受給者の健康に配慮した制度設計となっています。患者の希望ではなく、医学的必要性に基づいた適正な薬剤使用が推進されています。

Q3. 医療扶助を受けるための手続きと注意点は?

医療扶助を受けるためには、事前に福祉事務所での申請手続きが必要です。まず、お住まいの地域を管轄する福祉事務所に申請を行います。ただし、急迫した状況にあるときは、申請がなくても必要な保護を行うという例外規定があります。

基本的な手続きの流れは以下の通りです。申請が受理されると、福祉事務所長が医療の必要性を検討した上で医療扶助の適用を決定し、「生活保護法医療券・調剤券」または診療依頼書を発行します。この医療券は指定医療機関でのみ利用することができます。

2024年3月からはオンライン資格確認システムにも対応しており、マイナンバーカードを利用した手続きも可能です。ただし、マイナンバーカードがない方でも従来通りの医療券を発行できるため、デジタル環境に不慣れな方でも安心して制度を利用できます。

継続的な医療が必要な場合は、医療の給付が2ヶ月以上にわたって必要な場合、福祉事務所から送付される事務連絡票または電話連絡等により、翌月の医療の必要性を確認し医療券を発行します。医療扶助開始後6ヶ月を超えるときは、医療要否意見書により6ヶ月の範囲内で継続する必要性等を確認する仕組みとなっています。

注意すべき重要なポイントとして、指定医療機関での受診が原則であり、全ての医療機関で利用できるわけではありません。緊急時には指定医療機関以外でも受診可能ですが、その場合は「受給証」を提示し、後日適切な手続きを行う必要があります。また、他の法令等による給付がある場合には、その給付を優先することになっています。

手続きを怠ると医療扶助の適用が停止される可能性があるため、ケースワーカーとの適切な連携を保ち、定期的な確認手続きを確実に行うことが重要です。

Q4. 入院時や歯科治療でも自己負担は発生しないの?

入院時も自己負担は原則として発生しません。 入院費、手術代、食事代などがすべて医療扶助から支給されます。入院中の食事代は健康的な食事が医療の一環という意味合いで医療扶助に含まれているため、受給者は食事代について自己負担する必要がありません。

ただし、差額ベッド代については原則として自己負担となります。生活保護での入院は相部屋が基準であり、個室は贅沢と考えられるためです。しかし、医療の必要上やむを得ない場合や相部屋が空いていない場合には、差額ベッド代も支給されるケースがあります。本人の希望で個室等に移る場合は、差額ベッド代は自己負担となります。

入院期間による生活保護費の変更もあります。入院が1ヶ月以内の短期であれば、生活保護費の金額に変更はありませんが、入院が1ヶ月以上続く場合は、入院基準額として全国一律で月々23,110円が支給されます。住宅扶助については、6ヶ月以内に退院する見込みがある場合に支給され、最長9か月まで支給されます。

歯科治療についても医療扶助の対象となりますが、一定の制限があります。医療扶助運営要領によると、歯科の歯冠修復及び欠損補綴においては、金(14カラット以上の金合金)の使用は禁止されていますが、金銀パラジウム合金の使用は認められています。一般的な虫歯治療、抜歯、入れ歯の作成などは自己負担なしに受けることができます。

眼鏡や補聴器などの治療材料についても支給されます。眼鏡については、視力の弱い方が医師の診断に基づいて「治療材料費」として無料で受け取ることができます。眼鏡の支給額はレンズの度数に基づいて決定され、消費税を含めた金額で支給されます。手続きには通常約1ヶ月程度の時間がかかります。

マッサージ・鍼灸・柔道整復についても、医師の同意や特定の手続きを経ることで医療扶助の対象となる場合があります。ただし、単なる肩こりや慰安のためにする施術は認められず、患者にとって治療上不可欠である場合に限り認められます。

Q5. 健康診断や予防接種の費用はどうなる?

自治体が実施する健康診査は無料で受診できます。 40歳以上の生活保護受給者(社会保険未加入の方)を対象とした制度で、糖尿病・心臓病・脳卒中などの生活習慣病の予防を目的として実施されています。事前に福祉事務所の担当ケースワーカーに連絡し、「健康診査受診券」を発行してもらうことで、指定された医療機関で無料受診が可能です。

がん検診についても無料で受診できます。 胃がん検診、大腸がん検診、肺がん検診、乳がん検診、子宮がん検診などが対象となり、要証明書の提出により無料で受診が可能です。がん検診は早期発見・早期治療により治療効果が大幅に向上するため、生活保護受給者にとって重要な健康維持手段となっています。

人間ドックについては医療扶助の対象外となることが一般的です。人間ドックは自由診療に含まれ、自治体で負担してくれる場合が少ないため、基本的に費用は自己負担となります。数万円から10万円以上の費用が自己負担となることが多いため、健康状態を確認したい場合は自治体が実施する健康診査を受診することが適切です。

予防接種については法定の定期接種が無料で受けられます。市区町村が健康増進事業として行う定期接種やインフルエンザワクチンの予防接種が医療扶助の対象となります。子どもから高齢者まで年齢に応じた予防接種が無料で受けられ、インフルエンザ予防接種についても高齢者や基礎疾患を有する方を対象とした公費負担制度があります。

医療扶助の対象外となるサービスもあります。美容目的の治療、予防的な処置で医学的必要性が認められないもの、健康食品やサプリメント、歯科治療における高額な材料費など、保険適用外のものについては自己負担となります。ただし、医学的必要性が認められる場合に限り、例外的に給付対象となる場合もあります。

利用時の重要なポイントとして、必ず事前に担当のケースワーカーに相談することが重要です。どのような検査や予防接種が医療扶助の対象となるのか、どの医療機関で受診可能なのか、必要な手続きについて詳細な説明を受けることができます。健康診査や予防接種の結果、治療が必要となった場合は、速やかに適切な医療機関での治療を開始することが大切です。

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