障害年金が不支給となる主な理由は、初診日が特定できない、保険料納付要件を満たしていない、障害の程度が認定基準に該当しないの3つです。不支給決定を受けた場合でも、審査請求・再審査請求という不服申立て制度を利用するか、書類を整え直して再申請することで支給が認められる可能性があります。本記事では、2024年度に急増した障害年金の不支給問題の背景から、不支給になる具体的な理由、再申請の方法、審査請求の手続き、そして不支給を防ぐための対策方法まで、最新の情報をもとに徹底的に解説します。障害年金は病気やケガにより日常生活や就労に支障がある方にとって非常に重要な経済的支援制度であり、2024年3月末時点で約242万人が受給しています。受給者の約7割は精神障害、発達障害、知的障害のある方々となっています。

障害年金の不支給が急増している背景と実態
2024年度における障害年金申請の不支給判定件数は約3万件に達し、2023年度から2倍以上の急増となりました。これは統計が公表されている2019年度以降で最も多い数字であり、障害年金制度において深刻な問題として認識されています。
2024年度の不支給判定急増についての報道内容
2025年4月以降の報道により、障害年金申請における不支給判定の急増が明らかになりました。共同通信社の調査によると、2023年と2024年で計2千件超の申請を集計した結果、精神・発達障害では2024年の不支給割合が2023年比で2倍に増えていたことが報告されています。この急激な増加は、申請者や支援団体から大きな懸念の声が上がる事態となっています。
日本年金機構の内部資料に基づく報道では、担当センター長の厳しい姿勢の下、支給を抑制する方向へ判断を誘導している可能性があること、また職員による判定の事前決定を示唆する記載があったことが明らかになりました。さらに、首都圏の判定医140人それぞれについて傾向と対策のような文書を内部で作成していたことがわかり、文書の中には「こちら(職員側)であらかじめ(判定を)決めておく」とも書かれていたとされています。
日本弁護士連合会は、恣意的な不支給であると疑われる事象が発生した根本的な要因の一つは、医学モデルに依拠し、障害者の生活実態からかけ離れた障害認定基準にあると指摘しています。
審査の厳格化による影響と具体的な傾向
2024年以降、ガイドラインや認定基準に照らしても不支給や低認定となるケースが増加しています。特に問題視されているのは、カルテの一部、特にポジティブな記述だけを抜き取って、障害が改善していると判断し、不支給とするような審査が見られるようになったという報告です。例えば「この頃は少しだけ調子がいいです」といった患者の発言を根拠に、障害の程度が軽くなったと判断されるケースがあります。
また、令和6年以降は給与額である標準報酬月額が20万円台でも就労状況を理由に不支給になる事例が見られるようになりました。不支給になった方の共通点として、給与額が20万円台かつ賞与の支給があることが挙げられています。このような傾向は、働きながら障害と向き合っている方々にとって大きな影響を与えています。
障害年金が不支給になる主な理由の詳細解説
障害年金が不支給になる理由は大きく分けて3つあり、これらは年金機構から届く不支給決定書に記載されています。それぞれの理由について詳しく理解することで、申請時の対策を立てることができます。
初診日が特定できないという不支給理由
障害年金の申請において「初診日の証明」は欠かせない要素です。初診日とは、障害の原因となった病気やケガで初めて医療機関を受診した日のことを指します。この初診日が証明できなかった場合、「提出されている書類では、請求のあった傷病の初診日が○年○月○日であることが確認できません」という旨の通知が届くことになります。
過去に受診した病院が閉院していたり、カルテが破棄されていると、証明書類を用意できず、申請自体が難航してしまいます。医療カルテの保存期間は法律で5年と定められているため、初診日の証明が取れないというケースは実務上しばしば発生します。特に精神疾患のように発症から長期間経過している場合や、複数の医療機関を受診している場合は、初診日の特定が困難になることが多いです。
保険料納付要件を満たしていないという不支給理由
障害年金を受給するためには、初診日の前日時点で一定期間以上、年金保険料を納めている必要があります。この要件には原則と特例の2つの基準があります。
原則の要件としては、初診日の前日において、初診日がある月の2か月前までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あることが求められます。また特例措置として、初診日の前日において、初診日がある月の2か月前までの直近1年間に保険料の未納期間がないことでも要件を満たすことができます。
保険料納付要件を満たしていないと判断された場合は、それを覆すことは困難です。そのため、日頃から年金保険料の納付状況を把握しておくことが重要となります。
障害の程度が認定基準に該当しないという不支給理由
最も多い不支給理由が、「障害の程度が認定基準に該当しない」というものです。これは、提出された診断書等の書類から判断して、障害の程度が障害年金の認定基準を満たしていないと判断されたことを意味します。
しかし、実際には障害年金を受給できる程度の障害があるにもかかわらず、書類の作成方法や内容に問題があったために不支給となっているケースも少なくありません。診断書の内容が実態よりも軽く書かれている場合も不支給の原因となります。一般的に患者の方々は、医師に対して実際の症状よりも軽く伝える傾向があります。日常生活の状況、就労状況について正確な状況を医師が把握していないために、実態よりも軽い内容の診断書が作成され、不支給となるケースがあります。
障害年金の等級認定基準と判定の仕組み
障害年金の等級は受給額や受給可否に直結する重要な要素です。等級認定基準を正しく理解することで、申請書類の作成において何を重視すべきかが明確になります。
障害年金の等級(1級・2級・3級)の基本的な考え方
障害年金の等級は1級から3級まであり、それぞれ異なる状態を想定しています。1級は自分で日常生活のことをできず、常に誰かの援助が必要な状態を指します。2級は日常生活が著しく制限される状態であり、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとされています。3級は日常生活はできるが労働が著しく制限される状態で、精神に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すものと定義されています。
重要な点として、3級は障害厚生年金にのみ設定されており、障害基礎年金には3級はありません。そのため、国民年金のみの加入者は2級以上でないと障害年金を受給できないことになります。
精神障害における等級判定ガイドラインの内容
平成28年9月1日から「等級判定ガイドライン」が運用されています。これは精神障害、知的障害、発達障害の等級判定が適正に行われるように、従来の「障害認定基準」を補う形で策定されたものです。
このガイドラインでは、精神の障害に関する診断書の記載項目である「日常生活能力の程度」の評価(5段階評価)と「日常生活能力の判定」の評価(4段階評価)の平均を組み合わせて、どの障害等級に相当するかの目安としています。例えば、「日常生活能力の判定」の平均が2.5以上3.0未満かつ「日常生活能力の程度」の評価が3であれば、障害年金は2級または3級が目安となります。
総合評価で考慮される要素について
等級判定は単純にガイドラインの数値だけで決まるわけではなく、様々な要素が総合的に考慮されます。独居であっても、日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合は、それらの支援の状況を踏まえて2級の可能性が検討されます。
また、労働に従事していることをもって、ただちに日常生活能力が向上したものとは捉えられません。療養状況、仕事の種類・内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認した上で日常生活能力が判断されることになっています。
初診日の証明ができない場合の対処法と再申請への備え
初診日の証明は障害年金申請の入り口となる重要な要件です。証明が困難な場合でも、様々な方法で初診日を証明できる可能性があります。
医療機関への再確認と記録の調査方法
初診の医療機関で「カルテが廃棄されているため証明できない」と言われた場合でも、諦める必要はありません。レセプトコンピュータなどに受診日等の記録が残っているケースがあります。この場合には、残っている記録からわかる範囲で受診状況等証明書に記入してもらうことができます。
転院先の医療機関に残されている「前の病院からの診療情報提供書(紹介状)のコピー」は、最も有力な参考資料となります。この紹介状に前の病院での初診日の記載があれば、初診日の証明ができます。障害年金を請求する前おおむね5年以上前に作成された資料に記載がある場合は、それのみで初診日を認めることができるとされています。
参考資料の収集と提出による証明方法
初診日の証明が取れない場合でも、様々な書類を参考資料として提出することで初診日を証明できる可能性があります。具体的には、初診を受けた病院の診察券、身体障害者手帳を作成した当時の診断書の写し、入院記録及び診察受付簿、レシートや領収書、健康診断の結果、お薬手帳、健康保険組合のレセプト(診療報酬明細書)などが該当します。これらの資料を可能な限り収集し、初診日を裏付ける証拠として提出することが重要です。
第三者証明の活用による初診日の証明
第三者証明とは、正式には「初診日に関する第三者からの申立書」といい、請求者の初診日の頃の受診状況を見たり聞いたりした「第三者」が申し立てることにより、初診日を証明しようとする書類です。
三親等以内の親族は「第三者」と認められませんが、三親等以外の親族、隣人などのほか、初診が学生時代であれば学校の教師や同級生、社会人であれば勤務先の上司や同僚などに依頼することができます。20歳前に初診日がある場合は、第三者証明のみでも初診日を認めることができます。20歳以降に初診日がある場合は、第三者証明とともに初診日について参考となる他の資料の提出も求められます。
記録が取れず受診状況等証明書が提出できないときは、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成します。そして、2番目に受診した医療機関に、最初の医療機関の名称や初診日が記載された記録があるか確認しましょう。
診断書作成の重要ポイントと医師への情報提供方法
障害年金の申請において、医師に作成してもらう診断書は受給を左右する最も重要な書類です。「診断書の内容次第で受給できるかどうかが決まる」と言っても過言ではありません。
診断書の重要性と作成時に意識すべき点
診断書の項目のなかには「障害によって日常生活にどんな支障が出ているのか」「仕事上の制限」などを記載する項目もありますが、これらは普段患者と暮らしていない医師にはわかりません。そのため、患者自らが障害の状態を正確に把握してもらうための材料を医師に渡す必要があります。
日常生活の状況や仕事のことをメモにまとめて、それを医師に渡しておくことが有効です。障害年金は、できないこと、苦手なことをもれなく洗い直し、医師に伝えることが大切です。ただし、あれもできないこれもできないと愚痴のように伝えると主治医の印象がよくないこともあります。「○○ができたらいいのですが」「○○ができるようになってほしいです」といった表現を織り交ぜて話すとよいでしょう。
医師への依頼時の注意点と参考資料の活用
診断書の内容を指示されたと感じて医師が感情的になってしまう可能性があるため、注意が必要です。診断書は医師の判断で書くものであり、こちらから内容を指示することはできません。しかし、必要な情報を伝えないと不適切な診断書となってしまうため、参考資料をつける形で情報提供するのが望ましいです。
医師によっては障害年金の診断書の書き方や判断基準がわからないという先生もいます。そのため、厚生労働省が発行している「障害年金の診断書記載要領」をお渡しすると喜ばれることがあります。
精神疾患の診断書で特に重要な項目
精神の診断書では、「日常生活能力の判定」欄と「日常生活能力の程度」欄が、障害の程度の認定において最も重要な部分となります。日常生活能力は単身で生活し、誰からの援助も得られない状態を想定して記入することになっています。
日常生活能力の判定項目には、適切な食事、身辺の清潔保持、金銭管理と買い物などがあり、医師が該当するものにチェックします。家族と同居している場合でも、「もし一人で生活したらどうなるか」という視点で評価してもらうことが重要です。
診断書の内容と病歴・就労状況等申立書の内容に齟齬や矛盾がないよう、整合性を確認することが重要です。疾患名や病歴・治療経過・病状等の内容と日常生活能力に関する評価について、整合性があるかという点にも審査で着目されます。
病歴・就労状況等申立書の書き方と不支給を防ぐ対策
病歴・就労状況等申立書は、障害年金を請求する際に必ず必要な書類です。この書類は、日常生活の様子や就労状況、どのくらい障害が生活に影響があるのかという、診断書だけでは伝わらない障害の様子を伝えるためのものです。
病歴・就労状況等申立書の役割と重要性
提出書類の中で自分で自分の思いを主張できるのが唯一病歴・就労状況等申立書だけです。この書類の書き方次第で審査結果に影響を与える可能性があります。書式は日本年金機構のホームページからダウンロードでき、PDF版やエクセル版があります。
審査する人はあなたのことをまったく知りませんし、あなたに興味関心があるわけではありません。申立書を読む目的は「あなたの状態が認定基準に該当するか否か」を判断するためです。精神的つらさや経済的困窮は、障害年金の支給可否とは直接関係がありません。大切なのは「できるかできないか」という観点で記述することです。
書き方の重要ポイント(整合性・具体性・認定基準)
病歴・就労状況等申立書を書く際には、診断書の内容と整合性を取る必要があります。手元に診断書を準備した状態で作成に取り掛かることをおすすめします。
5W1Hを意識して具体的に書くことも重要です。いつ(when)どこで(where)だれが(who)なにをして(what)なぜ(why)どのように(how)を意識しましょう。例えば「○年○月ごろから○○の症状があり、○年○月○日に○○クリニックを受診した」のように記載します。
審査をする人に日常生活や仕事の様子を詳しく伝えるには、具体的なエピソードを加えることが効果的です。抽象的な記述よりも、具体的な場面や状況を描写することで、障害の影響がより明確に伝わります。障害認定基準には病状や障害の程度に応じた詳細な判定基準が盛り込まれています。自身の障害の種類にひもづいた障害認定基準の内容を理解し、病歴・就労状況等申立書の記載内容へと反映させることが重要です。
読み手を意識した記載と期間の区切り方
病歴・就労状況等申立書を読むのは、障害年金の審査をする医師です。多くの審査案件を担当しているため、読みやすく、一読して意味がわかる、印象に残る内容を心がける必要があります。
発病から現在までのストーリーが途切れないように記載します。3年から5年を一区切りにして記載しますが、入院や通院、障害認定日前後などの節目ごとに細かく分けて書くのも効果的です。
障害年金の不支給決定後の対処法と再申請の方法
障害年金が不支給になった場合でも、救済の道は残されています。主に審査請求、再審査請求、再申請という3つの選択肢があり、それぞれの特徴を理解した上で最適な方法を選ぶことが重要です。
審査請求(一審)の手続きと重要ポイント
審査請求とは、不支給決定に対する不服申立ての第一段階です。年金機構に再審査を求めるものではなく、地方厚生局に置かれる「社会保険審査官」に対して審査を求める手続きです。
審査請求は、決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、文書または口頭で行うことができます。審査請求を行う際には「審査請求書」が必要であり、住所地を管轄する地方厚生局の社会保険審査官宛に電話をして取り寄せることができます。審査期間は原則3か月以内となっていますが、実態としては6か月程度かかる見込みです。
審査請求をする際には、不支給や却下、その等級になった理由を知っておくことが大切です。理由を確認した上で「どこがおかしいのか」「何がおかしいのか」、主張する内容を明確にする必要があります。審査請求の重要なポイントは、単なる「再申請」ではなく「前回の決定に対する不服申し立て」という点です。前回の決定に対する具体的な反論点を明確にすることが重要です。
再審査請求(二審)の手続きと特徴
審査請求が棄却された場合、さらに再審査請求を行うことができます。再審査請求は、決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2か月以内に行う必要があります。審査請求より期限が1か月短いので注意が必要です。
一審の社会保険審査官が独任制なのに対して、社会保険審査会は審査長と2名の審査員(医療担当・法令担当)の計3名による合議制です。また、口頭弁論による公開の審理(公開審理)が行われます。審査請求では認められなくても、二審の再審査請求で認められることも多くありますので、一審で棄却されても諦めずに再審査請求を検討しましょう。
再申請(再裁定請求)の手続きと注意点
審査請求・再審査請求とは別に、新たに申請書類を整えて再度申請する方法もあります。障害年金を申請して不支給になった方も、症状が悪化したり状況が変われば再申請することができます。1年経過しなくても再申請することは可能です。更新の際に等級が下がった場合は1年経過しないと元の等級に戻すための申請ができませんが、再申請にはそのような縛りはありません。
再申請は、診断書や病歴・就労状況等申立書等の書類を再度整えて、日本年金機構に提出します。初診日の証明書や診断書なども新しく取り付ける必要があります。
再申請時の重要な注意点として、日本年金機構には1回目の申請の際に提出した資料が保管されています。1回目の申請の際に提出したものと矛盾しないように注意する必要があります。再申請はご自身でも可能ですが、1度不支給になっている場合は1回目の申請時よりも審査が厳しくなります。1回目の申請の際に提出した資料との整合性も確認されるため、1回目の申請よりも認定されるハードルが高くなる可能性があります。
認容率と訴訟という選択肢
統計によれば、障害年金の審査請求による決定変更率は約20%程度と言われています。適切な準備と根拠を示すことができれば、不支給決定が覆る可能性は十分にあります。ただし、不服申立てで支給に転じる可能性は全体としてそこまで高くなく、多い年でも15%に届いていません。社会保険労務士が代行した場合はもっと高くなるという報告もあります。
平成28年4月法改正により、審査請求が棄却された場合は「再審査請求を経ずに裁判へ直ぐに出訴」できるようになりました。ただし、訴訟には費用や労力がかかるため、通常は「審査請求→再審査請求」という流れが一般的です。
社会保険労務士への依頼によるメリットと費用
障害年金の申請や再申請を専門家に依頼することで、受給の可能性を高めることができます。社会保険労務士への依頼を検討する際のポイントを解説します。
社労士に依頼するメリット
社労士に依頼することで得られるメリットは多岐にわたります。まず受給の可能性が広がるという点があります。自力で請求する場合、障害年金の受給に値する障害の状態であっても、書類の作成方法に問題があって不支給になってしまうケースは少なくありません。障害年金の審査は書類のみで行われるため、請求書類の内容の差によって支給・不支給は左右されます。障害年金専門の社労士は審査の傾向を把握しており、適切な書類作成をサポートできます。
手続きの負担軽減も大きなメリットです。社労士に依頼することで、書類の収集や作成など面倒な手続きを任せることができるので、自身は安心して療養に専念することができます。また、専門的な判断が可能という点も重要です。社労士は障害年金の専門家です。日々多くの案件を扱っているため、最新の審査の傾向にも敏感で、受給可能性を正しく判断することができます。
初診日の確定・証明のサポートにおいても、初診日をどこにするのが妥当か、どのように証明すれば認定されるのかという判断ができます。初診日の証明ができなければ障害年金は門前払いになりますので、この点で専門家のサポートは大きな助けになります。さらに、時間短縮による経済的メリットとして、社労士に申請代行を依頼すると、一般の方が申請するよりも格段に早く書類を提出できるので、数か月分以上の年金額を多くもらえる場合が多いです。
費用の相場と料金体系
ほとんどの社労士事務所は「着手金」「受給決定後報酬」および「実費」という構成で料金を設定しています。
着手金については、1万円から3万円を設定している事務所が多いですが、無料の事務所もあります。具体的には0円から5万円程度が相場です。成功報酬は、障害年金の支給が決定して初回の年金が振り込まれた後に支払う報酬で、年金支給額の2か月分から3か月分としている事務所が多いです。初回年金受給額の10%から15%に消費税を加えた金額が相場です。遡及がある場合は遡及金額の10%から15%程度の報酬が追加されることが一般的です。
具体例として、年金の年間受給額が120万円だった場合、報酬は12万円から18万円に消費税を加えた金額ほどになります。
社労士に申請代行を依頼した場合、着手金・成功報酬という費用がかかることがデメリットです。また、依頼の結果障害年金が不支給になったとしても、先に支払った着手金や事務手数料は返還されることはありません。
社労士の選び方のポイント
専門的な知識を持たない社労士もいます。費用面のみで社労士を選ぶのはあまりおすすめできません。契約前に電話相談や面談をしたうえで、信頼できる社労士かどうかをしっかり判断することが大切です。ネット上の口コミや評判を参考にするとよいでしょう。初回相談無料の社労士であれば、実際に話をしてみて相性を確かめることができます。実績・料金体系・口コミなどをしっかりチェックすることが大切です。
社労士の業務は多岐にわたり、人事労務分野を得意とする社労士事務所が多いです。障害年金を普段取り扱わない社労士事務所では、実績数が少なくノウハウの蓄積が十分でないこともあります。障害年金の代行は、社労士であっても年金の実務経験がないまたは浅い者であれば、一般の方が手続きするのと大差ありません。障害年金専門または障害年金の実績が豊富な社労士を選ぶことが重要です。
不支給を防ぐための対策方法のまとめ
障害年金の不支給を防ぐためには、申請前の準備から書類作成まで、各段階で適切な対策を講じることが重要です。
申請前に準備すべき重要事項
申請前の準備として、まず障害認定基準を理解することが大切です。自分の障害がどの等級に該当する可能性があるのか、認定基準をしっかり理解しておきましょう。厚生労働省のホームページで障害認定基準を確認できます。
次に初診日を正確に特定することが必要です。初診日は障害年金の申請において非常に重要です。カルテがない場合でも、第三者証明やその他の資料で証明できる可能性があります。早めに初診日の証明に必要な資料を収集しましょう。また保険料納付要件を確認することも欠かせません。初診日の前日時点での保険料納付状況を確認しましょう。年金事務所で確認できます。
診断書に関する具体的な対策
診断書に関する対策として、日常生活の困りごとを医師に正確に伝えることが重要です。診察の際に日常生活でどのような困難があるかを具体的に伝えましょう。メモを用意して渡すのも効果的です。
単身で生活した場合を想定して伝えることも大切です。日常生活能力は「単身で生活し、誰からの援助も得られない状態」を想定して評価されます。家族の支援があって何とかできている場合も、その支援がなければどうなるかという視点で伝えましょう。診断書の内容を確認することも忘れずに行いましょう。診断書が出来上がったら、内容を確認しましょう。明らかに実態と異なる記載がある場合は、医師に確認することも検討してください。
病歴・就労状況等申立書の対策と専門家の活用
病歴・就労状況等申立書については、診断書との整合性を確保することが最も重要です。診断書の内容と矛盾しないように記載しましょう。具体的なエピソードを盛り込むことで、抽象的な記述ではなく、具体的な場面や状況を描写することで、障害の影響がより明確に伝わります。認定基準を意識して記載することで、どのような状態であれば認定されるのかを理解した上で、該当する状態を漏れなく記載しましょう。
障害年金の申請は複雑で、専門知識が必要な場面も多くあります。不安がある場合は、障害年金専門の社会保険労務士に相談することをおすすめします。初回相談無料の事務所も多いので、まずは相談してみることで、自分の状況や受給可能性について専門家の意見を聞くことができます。
2025年度の障害年金制度と今後の動向
障害年金制度は毎年見直しが行われており、最新の情報を把握しておくことが重要です。
2025年度の支給額改定
2025年度(令和7年度)の障害年金支給額は、前年度比で1.9%引き上げられました。物価や賃金の変動に応じて毎年改定されます。受給者にとっては若干のプラスとなる改定となっています。
制度改革の議論状況と今後の展望
2025年の年金改革の在り方を議論した厚生労働省の社会保障審議会年金部会において、24回の会議のうち障害年金制度の改革について触れたのはわずか2回程度でした。障害年金制度の抜本的な改革については、まだ十分な議論がなされていない状況です。
2024年度の不支給急増問題を受けて、障害年金の審査の透明性・公正性について社会的な関心が高まっています。日本弁護士連合会や障害者団体からの声明も出されており、今後の制度改善に向けた動きが期待されます。
障害年金の申請は、多くの書類を準備し、複雑な要件を満たす必要がある難しい手続きです。特に2024年度以降は審査が厳格化しており、不支給となるケースが増加しています。しかし、不支給になったとしても、審査請求・再審査請求という不服申立ての制度があり、また再申請という選択肢もあります。適切な準備と対策を行うことで、受給できる可能性は十分にあります。障害年金は、障害のある方の生活を支える重要な制度です。受給資格のある方が適切に受給できるよう、正確な情報をもとに申請を進めていくことが大切です。









コメント