精神科訪問看護の標準的な訪問頻度は、医療保険の制度上、原則として週3回(1日1回)が上限と定められています。実際の利用においては、症状が安定している方は週1回程度、退院直後や状態が不安定な方は週3回程度が一般的な目安となっています。さらに、退院後3か月以内の方は週5回まで、精神科特別訪問看護指示書が交付された場合は週4回以上の利用も認められるなど、利用者の状態に応じた柔軟な対応が可能です。
精神科訪問看護とは、精神疾患を抱える方やこころのケアが必要な方に対して、看護師や作業療法士などの専門職が直接自宅を訪問し、病状管理から日常生活のサポートまで包括的な支援を行うサービスです。近年、精神障害者の地域移行が進む中で、在宅療養を支えるこのサービスの重要性はますます高まっています。この記事では、精神科訪問看護の訪問頻度の基本ルールから、回数の上限や特例措置、費用負担の仕組み、具体的なサービス内容、そして利用開始までの流れまで、知っておくべき情報を詳しく解説していきます。

精神科訪問看護とは何か?一般的な訪問看護との違い
精神科訪問看護とは、精神疾患のある方もしくはこころのケアが必要な方に対して、看護師や作業療法士などの専門職が自宅へ訪問し、病状の管理から日常生活のサポートまでトータル的な支援を行うサービスです。対象となるのは精神疾患を抱えている方だけでなく、そのご家族も含まれます。
一般的な訪問看護との大きな違いは、指示書の交付元が限定されているという点です。通常の訪問看護指示書は利用者の主治医であれば交付可能ですが、精神科訪問看護の場合は、精神科を標榜する医療機関において精神科を担当する医師が「精神科訪問看護指示書」を交付する必要があります。また、精神科訪問看護指示書と通常の訪問看護指示書は併用することができず、どちらか一方しか交付を受けることができません。
精神科訪問看護の主な目的は、「再発予防」「生活支援」「社会資源の活用支援」の3つです。一般的な訪問看護では医療処置が中心になることも多いですが、精神科の訪問看護では医療処置はほとんど行わず、バイタルチェックに加えてコミュニケーションを通じた病状の確認と、患者さんの状況を正確に把握することが中心的な活動となっています。
精神科訪問看護の対象疾患と利用するための条件
精神科訪問看護の対象疾患は、ICD(世界保健機関)が提唱する精神および行動の障害の分類であるF00からF99のすべてが該当します。代表的な疾患としては、統合失調症、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、パニック障害、強迫性障害、摂食障害、認知症に伴う精神症状、発達障害(自閉症、アスペルガー症候群、ADHD)、アルコール依存症、薬物依存症などが含まれます。
統合失調症は、精神科訪問看護の利用者の中でもっとも多い疾患のひとつです。幻聴や妄想、意欲の低下などの症状が特徴で、訪問看護では服薬管理や日常生活の支援を通じて症状の安定を図ります。うつ病の方は、気分の落ち込みや不眠、疲労感などによって日常生活が困難になりがちで、精神科訪問看護では小さな変化を見逃さない観察とサポートを通して生活リズムを整える支援を行います。双極性障害は、気分が高揚する「躁状態」と強い落ち込みが続く「うつ状態」を繰り返す疾患で、症状の変化を早期に察知し、服薬や生活習慣の調整を行うことで安定した生活の維持を支援します。
精神疾患という正式な診断が出ていない場合でも、睡眠障害や自宅療養の必要性があると医師が判断した場合は対象となる可能性があります。つまり、抑うつ状態が続いている場合や睡眠障害がある場合でも利用できるケースがあるのです。
利用の前提条件としては、精神科の医師による「精神科訪問看護指示書」が必要です。そのため、精神科の病院やクリニックを受診していることが条件となります。対象年齢に制限はなく、医師の指示書があれば子どもから高齢者まで幅広い年齢層の方が利用可能です。
精神科訪問看護の標準的な訪問頻度は週何回なのか
精神科訪問看護の訪問頻度について、もっとも重要な基本ルールは「医療保険では原則として週3回まで」ということです。これは精神科訪問看護・指導料の算定要件として定められています。通常は週1回から3回までの利用が一般的で、利用者の精神状態や生活の安定度に応じて主治医や訪問看護ステーションと相談のうえ適切な頻度を決定します。
症状が比較的安定している場合は、週1回程度の訪問で十分なケースが多くなっています。定期的な病状確認と服薬管理、生活状況の把握が主な目的となり、安定期には訪問回数を減らして利用者の自立を促すことも大切な支援の一環です。やや不安定な場合は、週2回程度の訪問が推奨されます。服薬管理に不安がある場合や生活リズムが乱れがちな場合、社会復帰に向けた支援が必要な場合などがこれに該当します。退院直後や再発リスクが高い場合は、週3回程度の訪問が行われることが多く、環境の変化による不安定な状態に対してきめ細かな観察とサポートが提供されます。
1回あたりの訪問時間は平均30分から1時間程度です。精神科訪問看護基本療養費の算定区分としては「30分以上」と「30分未満」の2つに分けられています。30分未満の訪問については、利用者に短時間訪問の必要性があると医師が認め、精神科訪問看護指示書に明記されている場合のみ算定可能です。訪問回数や時間は利用者の状態に応じて柔軟に調整されることが重要で、症状が悪化して入院リスクが高まったときや退院直後で生活リズムが整わない時期には、通常よりも多い回数で訪問が行われます。
週3回を超えて訪問看護を利用できる特例措置
通常は医療保険で週3回が上限ですが、利用者の状態によっては特例的に回数を増やすことが認められています。
退院後3か月以内の特例として、平成24年度の診療報酬改定により、退院後3か月以内の利用者には週5回まで精神科訪問看護が認められるようになりました。退院直後は信頼関係を築き利用者の様子を十分に観察する必要があるためです。ただし、医師の指示が必要となります。退院後3か月を超えている利用者で週4日以上の訪問看護を要する場合は、精神科特別訪問看護指示書が必要です。
精神科特別訪問看護指示書による特例では、主治医からこの指示書が交付された場合に週4回以上の訪問が可能になります。この指示書は、服薬中断等により急性増悪した場合で、医師が一時的に頻回の訪問看護の必要性を認めた場合に交付されます。ただし、交付は原則として月1回に限り認められ、指示期間は最大14日間です。精神状態が非常に悪化しており命に関わるリスクが伴っている場合、頼れる身寄りがいない方、精神科病院を退院したばかりの方などが、このケースに該当します。
急性増悪時の対応としては、服薬中断等により急性増悪した場合で医師が必要と認め指示した場合に、月に1回に限り、急性増悪した日から7日以内の期間について1日につき1回の算定が可能です。さらに継続した訪問看護が必要と医師が判断した場合には、急性増悪した日から1か月以内の医師が指示した連続した7日間についても1日につき1回の算定ができます。
以下の表に、訪問回数の上限と条件をまとめます。
| 利用区分 | 訪問回数の上限 | 条件・備考 |
|---|---|---|
| 通常(医療保険) | 週3回まで | 基本ルール |
| 症状安定時 | 週1回程度 | 状態に応じて調整 |
| 退院直後・再発リスク高 | 週3回程度 | 主治医の判断による |
| 退院後3か月以内 | 週5回まで | 医師の指示が必要 |
| 精神科特別訪問看護指示書あり | 週4回以上 | 月1回、最大14日間 |
| 急性増悪時 | 毎日可能 | 月1回、7日間に限る |
精神科訪問看護指示書の種類と算定の仕組み
精神科訪問看護を実施するためには指示書の交付が不可欠です。指示書にはいくつかの種類があり、それぞれ算定要件が異なります。
精神科訪問看護指示書は、精神科訪問看護の基本となる指示書です。精神科を標榜する医療機関において精神科を担当する医師が交付し、有効期間は6か月以内です。患者の診療を担う保険医が診療に基づき訪問看護の必要性を認め、患者またはその家族の同意を得て交付します。精神科訪問看護指示料として月1回に限り300点が算定されます。
精神科特別訪問看護指示書は、急性増悪時に一時的に頻回の訪問看護が必要な場合に交付される指示書で、月1回に限り交付可能、指示期間は最大14日間です。
指示書の組み合わせには重要な制約があります。訪問看護指示書と特別訪問看護指示書の組み合わせ、精神科訪問看護指示書と精神科特別訪問看護指示書の組み合わせは可能です。しかし、精神科訪問看護指示書と特別訪問看護指示書の組み合わせ、精神科訪問看護指示書と通常の訪問看護指示書の組み合わせは認められていません。
訪問看護ステーション側の算定要件としては、精神科を担当する医師から交付された精神科訪問看護指示書に基づき実施すること、地方厚生局長に届出を行った指定訪問看護ステーションであること、精神疾患を有する者への看護について相当の経験を有する保健師・看護師・准看護師・作業療法士が訪問看護を行うこと、月の初日の訪問看護時にGAF尺度により判定した値を所定の書類に記載することの4点が求められています。
医療保険と介護保険の適用はどう異なるのか
精神科訪問看護における保険制度の適用は、一般的な訪問看護とは異なる大きな特徴があります。精神科の訪問看護では、介護保険ではなく医療保険が優先されます。精神科訪問看護指示書が交付された段階で、要介護認定を受けている利用者であっても医療保険が適用されるのです。これは精神科訪問看護の大きな特徴のひとつとなっています。
医療保険の場合の自己負担割合は、70歳未満の方は3割負担、70歳から74歳の方は所得により2割から3割負担、75歳以上の方は1割から3割負担です。生活保護受給中の方は自己負担がありません。
精神疾患の方でも65歳以上で要介護認定を受けている場合は、介護保険を利用して訪問看護を受けられるケースもあります。ただし、精神科訪問看護の目的が「こころの症状」への対応である場合は、介護保険よりも医療保険が優先されます。
精神科訪問看護にかかる費用と自立支援医療制度による負担軽減
精神科訪問看護の基本料金は、精神科訪問看護基本療養費として設定されています。看護師等による訪問の場合、30分以上の訪問で費用総額は5,550円、30分未満の訪問で費用総額は4,250円です。週4日以降の訪問については費用総額が6,400円となります。このほか、夜間・早朝訪問看護加算(18時から22時、6時から8時)や深夜訪問看護加算(22時から6時)などの加算項目も設定されています。
自己負担額は負担割合に応じて異なります。以下の表に基本的な費用をまとめます。
| 訪問区分 | 費用総額 | 1割負担 | 2割負担 | 3割負担 |
|---|---|---|---|---|
| 30分以上 | 5,550円 | 555円 | 1,110円 | 1,665円 |
| 30分未満 | 4,250円 | 425円 | 850円 | 1,275円 |
| 週4日以降 | 6,400円 | 640円 | 1,280円 | 1,920円 |
費用を大幅に軽減できる制度として「自立支援医療(精神通院医療)」があります。通常は3割の自己負担が、この制度の認定を受けると原則1割に軽減されます。さらに重要なのは、所得区分に応じた月ごとの自己負担上限額が設定されている点です。低所得世帯であれば月額2,500円から5,000円、高所得層でも20,000円から30,000円が上限となり、1か月に何度利用しても上限を超える支払いは発生しません。生活保護世帯は自己負担が0円、低所得世帯(非課税世帯)も段階的に負担が軽減されます。
自立支援医療の対象には、通院で発生する医療費(診療や薬代)のほか、往診、デイケア、訪問看護も含まれます。ただし、入院費用や保険適用外の治療、病院や診療所以外でのカウンセリング費用は対象外です。
申請は都道府県が定めた「指定医療機関」に通院している場合に可能で、申請後は通常1か月から2か月で受給者証が届きます。受給者証を医療機関や訪問看護ステーションに提示することで1割負担が適用され、更新手続きは1年ごとに必要です。受診の際には受給者証とあわせて上限額管理票を提示し、自己負担額が上限額に達した場合にはそれ以降その月の受診では自己負担が発生しません。また、東京都や埼玉県など一部自治体では心身障害者医療費助成制度や子ども医療費助成制度と併用できる場合もあり、自己負担が実質無料になるケースもあります。
精神科訪問看護で受けられる具体的なサービス内容
精神科訪問看護では、利用者の状態やニーズに応じてさまざまなサービスが提供されています。
服薬管理・支援は、精神科訪問看護のもっとも重要な役割のひとつです。在宅の場合はご本人やご家族が服薬の管理を行う必要がありますが、過剰服薬や飲み忘れなどの問題が起こりやすいため、専門職によるサポートが欠かせません。訪問看護師は利用者の生活スタイルに合わせた服薬時間の設定を支援し、複数の薬を処方されている場合は薬の整理を行い、どの時間帯にどの薬を飲むかを明確にします。体のだるさや胃の不快感、異常な眠気などの副作用が疑われる場合は主治医に報告し、必要な対応を取ります。
生活支援も重要なサービスです。精神疾患を抱える利用者は、病状が悪化すると生活リズムが崩れ、さらに症状が悪化するという悪循環に陥りやすいため、食事、入浴、家事といった日常の活動の支援を通じて生活リズムを整えることが症状の悪化予防に直結します。
病状観察・モニタリングでは、バイタルチェックに加え、コミュニケーションを通じて精神状態を確認し、医療機関との連携を行います。精神症状のセルフコントロール支援として、心理教育や認知行動療法などの専門的なアプローチを通じて、利用者が日常生活の中で自分の症状をコントロールできるよう支援します。WRAP(元気回復行動プラン)などのリカバリーに向けた取り組みが行われることもあります。
家族への支援として、ご本人だけでなくご家族とのコミュニケーションを通じて、適切な声かけの方法や再発の兆候の見分け方など、家庭での接し方を一緒に考えることで家族全体が安心して暮らせる環境づくりを目指します。社会資源の活用支援では、相談窓口の案内や福祉サービスの紹介を行うほか、一緒に近所を散歩したり買い物に行くことで気分転換や自信の向上を促すこともあります。さらに、主治医や相談支援専門員、市区町村の担当保健師、ヘルパー事業所といった多職種との連携も精神科訪問看護師の重要な役割で、利用者を取り巻く支援チーム全体で情報を共有し、統一された方針でケアを行うことが効果的な支援につながります。
GAF尺度による評価が精神科訪問看護で果たす役割
精神科訪問看護においては、GAF尺度(Global Assessment of Functioning:機能の全体的評定尺度)による評価が重要な要素となっています。GAF尺度とは、成人の社会的・職業的・心理的機能を評価するための1から100の数値スケールで、数値が大きいほど精神面での健康度が高いことを示します。心理的機能(精神症状の重症度)と社会的及び職業的機能(社会や職業への適応度)という2つの観点から客観的に評価するもので、身体的または環境的制約による機能障害は評価に含まれません。
精神科訪問看護基本療養費を算定する場合のGAF尺度による評価は、令和2年度の診療報酬改定で必須条件として追加されました。さらに2024年の診療報酬改定ではGAF尺度の点数が従来以上に重視されるようになり、評価スケールの適正な活用が求められています。
評価は原則として過去1週間の症状や機能の最低レベルに基づき行い、対象者の1週間の様子でもっとも精神状態が良くなかったエピソードに対して、「精神症状の重症度」と「機能レベル」のうち低い方の得点で評価します。訪問看護記録書には月初めに訪問した日の記録にGAF尺度の数値を必ず記載し、訪問看護報告書にも月初の訪問日におけるスコアを記載して主治医に毎月提出することが求められています。訪問看護療養費明細書の特記事項欄にも判定した値と年月日の記載が必要です。なお、月の初日の訪問看護が家族に対するもので、当該月に利用者本人への訪問看護を行わなかった場合にはGAF尺度による判定は不要ですが、その旨を記載する必要があります。
訪問回数を決める際に知っておくべき注意点
精神科訪問看護の訪問回数を検討する際には、いくつかの重要な注意点があります。
過剰訪問の問題として、近年、精神科訪問看護における過剰訪問が社会的に指摘されています。一部に「利用者の状態にかかわらず一律に上限回数まで訪問看護を行う」事例があるとされ、厚生労働省からも注意喚起が出されました。訪問の日数、回数、実施時間、訪問する人数は利用者や家族の状況に即して個別に検討することが求められており、安定した状態にある利用者に対して漫然と上限回数まで訪問を続けることは適切ではありません。
訪問回数を増やすべきサインとしては、服薬の自己中断がみられる場合、生活リズムの大きな乱れがある場合、対人関係のトラブルが増えた場合、引きこもりが強くなった場合などが挙げられます。一方、訪問回数を減らせる目安としては、服薬が安定して自己管理できるようになった場合、生活リズムが安定している場合、デイケアや就労支援などの社会活動に参加できるようになった場合、本人から自立したいという意思表示がある場合などが考えられます。訪問回数は利用者一人ひとりの状態に合わせて個別に設定されるべきもので、定期的に訪問計画を見直し、状態の変化に応じて柔軟に対応することが大切です。
精神科訪問看護のメリットとデメリットを理解する
精神科訪問看護の最大のメリットは、住み慣れた自宅でケアを受けられることです。自宅は安心できる場所であり、利用者がリラックスして支援を受けることができます。看護師は利用者の生活環境や状況を把握し、一人ひとりの状態やニーズに応じた個別対応のケアプランを立てます。家族への支援が含まれている点も大きなメリットで、声かけの方法や再発の兆候の見分け方など、家庭全体でのサポート体制を構築する手助けが受けられます。また、訪問回数を柔軟に調整できることも特長で、初めは回数を多くして安心感を確保し、状態が安定してきたら徐々に減らしていくことが可能です。
一方でデメリットもあります。訪問看護師が定期的に自宅を訪れるため、プライバシーに関する懸念が生じることがあり、自宅というプライベートな空間で医療スタッフと関わることに抵抗を感じる方もいます。また、看護師との相性も重要で、相性が合わない場合は支援の効果に影響する可能性があります。担当看護師が変わった場合は新しい看護師と信頼関係を一から築く必要もあります。さらに、精神科訪問看護はすべての地域で均一に提供されているわけではなく、特に地方や過疎地ではサービスが限られている場合があります。
精神科訪問看護の利用を開始するまでの具体的な流れ
精神科訪問看護の利用を検討している方のために、利用開始までの具体的な手順を説明します。
まず主治医への相談が第一歩です。現在通院している精神科の主治医に訪問看護の必要性について相談し、主治医が必要性を認めれば「精神科訪問看護指示書」が交付されます。次に訪問看護ステーションの選定を行います。精神科訪問看護はすべてのステーションで提供されているわけではなく、精神科訪問看護基本療養費の届出を行っている事業所に限られるため、地域の対応ステーションを探す必要があります。
その後、訪問看護ステーションとの契約手続きを行い、サービス内容、訪問頻度、費用について詳しい説明を受けます。そして利用者やご家族と話し合い、訪問看護の目標や具体的な内容を定めた訪問看護計画を作成します。この計画に基づいて適切な訪問頻度が決まり、精神科訪問看護が開始されます。開始後も定期的に計画の見直しが行われ、利用者の状態に応じて訪問回数や内容が調整されます。
自立支援医療制度を利用して費用を軽減したい場合は、お住まいの市区町村の障害福祉課で自立支援医療の申請手続きも並行して行うことをおすすめします。
再入院予防の効果と精神科訪問看護の社会的な需要の高まり
精神科訪問看護が果たす再入院予防の効果は非常に大きいとされています。看護師が定期的に訪問して体調管理や生活支援を行うことで再発を予防し、変化があれば早期に対処することで再入院の防止に努めます。服薬管理を含む体調・病状の把握により、症状の悪化を未然に防ぎ、入院に至らずに済むケースも多くあります。利用者自身が病気への理解や対処法を身につけ、精神症状をセルフコントロールできるよう看護師が専門知識を用いて支援することも、長期的な安定に大きく貢献しています。
精神保健福祉政策の動向として、政府は精神障害者の病院から在宅への移行を進めてきました。精神疾患にも対応した地域包括ケアシステムの構築が求められる中で、訪問看護は重要な役割を担っています。精神科を受診する患者は年々増加傾向にあり、2017年から2021年の5年間で精神科訪問看護を算定している事業所数は2,569か所から4,915か所へとおよそ2倍に増加しました。この数字は、精神科訪問看護の社会的需要が急速に高まっていることを示しています。
精神科訪問看護は、精神疾患を持つ方の在宅生活を支える重要なサービスです。訪問回数は多ければよいというものではなく、利用者一人ひとりの状態や生活環境に合わせた適切な頻度を、主治医や訪問看護ステーションと相談しながら決めていくことが大切です。GAF尺度による客観的な評価を活用し、定期的に訪問計画を見直していくことで、より質の高い支援が実現できます。費用面では自立支援医療制度を活用することで自己負担を大幅に軽減できるため、利用を検討されている方はまず主治医に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。








