生活保護を受けている世帯や、市町村民税が非課税の世帯であれば、障害福祉サービスの多くは利用者負担が0円になり、実質的に無料で利用できます。住民税が課税されている世帯は所得に応じて月々4,600円から37,200円までの負担上限が設定されており、無料になるかどうかは世帯の所得状況によって大きく変わります。対象者の条件は、サービスの種類や制度の根拠となる法律によっても異なり、障害福祉サービスと高齢者福祉サービス、子ども向けの発達支援ではそれぞれ独立した仕組みが用意されています。この記事では、利用料金がどのように決まるのか、どのような人が無料の対象になるのか、そして申請の際にどのような条件を確認すればよいのかを、具体的な数字とともに整理します。

障害福祉サービスの利用者負担は所得に応じた4区分で決まる
障害福祉サービスは、かつて行政がサービス内容を一方的に決める措置制度のもとで運営されていました。現在は利用者が事業者と契約してサービスを選ぶ契約制度に移り、費用の一部を利用者が負担する仕組みになっています。
負担の決め方には、利用量が増えるほど負担も増える応益負担と、所得に応じて負担の上限が決まる応能負担の二つの考え方があります。障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスは、平成24年の法改正で応能負担が原則となり、所得の少ない世帯ほど負担が軽くなる仕組みに変わりました。
この結果、利用者負担は世帯の所得状況によって生活保護、低所得、一般1、一般2という4つの区分に分かれ、それぞれに月額の上限が設定されています。ひと月にどれだけ多くのサービスを利用しても、その月の負担額が区分ごとの上限を超えることはありません。
生活保護世帯と住民税非課税世帯は利用者負担が0円になる
生活保護を受給している世帯は、負担上限月額が0円に設定されており、障害福祉サービスを完全に無料で利用できます。市町村民税が非課税の世帯についても同様で、こちらも負担上限月額は0円です。
ここでいう非課税世帯とは、本人と同一世帯の配偶者の市町村民税が課税されていない世帯を指します。共働きで配偶者に一定以上の収入がある場合は、世帯としては課税世帯に区分されることもあるため、住民税の課税状況は世帯単位で確認する必要があります。
無料になるのはこの二つの区分に限られ、少しでも住民税が課税されている世帯は、次に説明する一般1または一般2のいずれかに区分され、金額の差はあっても自己負担が発生します。
一般1と一般2は所得割28万円未満を境に上限額が大きく変わる
住民税が課税されている世帯のうち、所得割の額が28万円未満の世帯は一般1に区分されます。この区分の負担上限月額は、通所施設やホームヘルプサービスを利用する場合で4,600円、入所施設やグループホームを利用する場合で9,300円です。
所得割が28万円以上の世帯は一般2に区分され、負担上限月額は37,200円になります。一般2の対象になるのは、おおむね年収920万円以下の世帯とされており、これを超える高所得世帯については、制度の対象外として扱われる場合があります。
同じ課税世帯でも、一般1と一般2では負担上限額に大きな開きがあります。所得割の額がどちらの区分に該当するかで、月々の負担が数千円で済むか、数万円になるかが変わってくるということです。
訪問系から就労系までサービスの種類によって費用の中身が変わる
障害福祉サービスは、訪問系、日中活動系、施設系、居住支援系、訓練・就労系、障害児通所支援・入所支援、相談支援といった区分に分かれています。どの区分に属するサービスであっても、先に説明した4つの利用者負担区分が適用されます。
訪問系サービスには、入浴や排せつ、食事といった身体介護や家事援助を行う居宅介護、重度の肢体不自由がある人や重度の知的障害・精神障害がある人への総合的な支援を行う重度訪問介護が含まれます。日中活動系・施設系には、短期入所(ショートステイ)、療養介護、生活介護、施設入所支援があり、居住支援系には自立生活援助やグループホーム(共同生活援助)が含まれます。訓練・就労系には、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、就労定着支援があります。
生活保護世帯や住民税非課税世帯であれば、これらのサービスの種類を問わず利用者負担は無料になります。ただし、施設入所支援やグループホームの利用にともなう食費や光熱水費といった実費部分は、利用者負担とは別に自己負担が必要です。所得が一定以下の入所者については、この実費負担についても補足給付という形で軽減されます。
高額障害福祉サービス等給付費が世帯全体の負担を抑える
障害福祉サービスの利用者負担には、月額上限のほかに世帯全体の負担を軽減する高額障害福祉サービス等給付費という仕組みもあります。同じ世帯に障害福祉サービスを利用する人が複数いる場合や、障害福祉サービスと介護保険サービスを併用している場合に、世帯全体の負担額が一定の基準額を超えると、その超えた分が償還される制度です。
想定されているのは、障害のある子どもと障害のある兄弟姉妹が同時にサービスを利用している家庭や、障害福祉サービスの利用者が65歳になり介護保険サービスへ移行した際に自己負担が急に増えてしまうケースです。この給付は自動的に適用されるものではなく、市区町村への申請が必要になります。該当しそうな世帯は、窓口へ相談することが第一歩になります。
3歳から5歳の発達支援は所得を問わず無償化されている
障害福祉サービスの子ども向け支援については、2019年10月から利用者負担の無償化が実施されました。幼児教育・保育の無償化に合わせる形で導入された制度で、子どもが満3歳になって初めての4月1日から小学校に就学するまでの期間、児童発達支援、医療型児童発達支援、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援の利用者負担が無償化されています。
対象となるのは児童発達支援センターや児童発達支援事業所等が提供するサービスで、対象年齢の子どもであれば世帯の所得にかかわらず利用者負担は0円です。通常の障害福祉サービスでは所得に応じて負担上限月額が決まりますが、この無償化の期間は上限額の多寡や多子軽減措置の有無を問わず、一律に無料となる点が特徴です。
無償化の対象になるのはあくまでサービスの利用料であり、食費や教材費、行事費、送迎費用といった実費として徴収される費用は対象外です。この制度を利用するために特別な申請手続きは基本的に不要で、対象年齢に達すれば自動的に適用される自治体が多いとされています。運用の詳細は自治体ごとに異なるため、居住地の福祉担当窓口への確認が必要です。
社会福祉法人等の軽減制度は生計困難者の負担をさらに4分の1減らす
障害福祉サービスや介護保険サービスには、社会福祉法人等が提供するサービスを利用する生計困難者を対象に、利用料の一部をさらに軽減する制度が別途用意されています。生活保護受給者や市町村民税世帯非課税者のうち、特に生計が困難であると市町村が認めた人が対象で、原則として利用者負担額の4分の1が軽減されます。
対象となるための条件は、下の表の通りです。
| 条件項目 | 基準となる内容 |
|---|---|
| 年間収入 | 単身世帯で150万円以下(世帯員が1人増えるごとに50万円加算) |
| 預貯金等の額 | 単身世帯で350万円以下(世帯員が1人増えるごとに100万円加算) |
| 資産の状況 | 日常生活に必要な資産以外に活用できる資産がないこと |
| 扶養の状況 | 負担能力のある親族等に扶養されていないこと |
| 保険料の納付状況 | 介護保険料を滞納していないこと |
これらの条件をすべて満たし、市町村が生計困難と総合的に判断した場合に軽減の対象となります。対象サービスを提供する事業者は、一定の要件を満たして都道府県や市町村に届出を行っている社会福祉法人等に限られるため、利用している事業者がこの制度に対応しているかどうかを事前に確認しておく必要があります。
高齢者向けの無料サービスは介護保険の枠外に多く存在する
介護保険サービスとは別に、市区町村が独自に実施する高齢者福祉サービスの中にも、無料または低額で利用できるものが数多くあります。介護保険の枠組みの外で提供される地域支援事業や生活支援サービスと呼ばれるもので、内容や対象条件は自治体ごとに異なります。
高齢者の閉じこもり防止や介護予防を目的とした体操グループ活動は、5名以上で構成される高齢者団体が継続的に活動する場合、指導者の派遣や会場費の補助を無料で受けられる自治体が多くあります。認知症の人を介護する家族同士が悩みを共有する認知症家族交流会や、認知症について学ぶ認知症サポーター養成講座も、多くの自治体で無料で開催されています。認知症高齢者の行方不明を防ぐための見守りネットワークへの事前登録も、登録料は無料であることが一般的です。
一方、訪問介護における生活援助サービスは介護保険の給付対象となるサービスで、無料ではありません。要介護認定を受けた高齢者や一定の条件を満たす障害者が、調理や掃除、洗濯といった家事支援を、原則1割、所得に応じて2割または3割という低い自己負担割合で利用する仕組みです。
対象年齢について特段の記載がない事業は、65歳以上の人を対象としていることが一般的です。要介護・要支援認定の有無や、単身高齢世帯であるかどうかといった条件が付されることも多く、利用を希望する場合は地域包括支援センターや市区町村の高齢者支援担当課への相談が出発点になります。
介護保険施設の食費と居住費は補足給付で軽減される
介護保険施設に入所したり、短期入所(ショートステイ)を利用したりする際にかかる食費や居住費(滞在費)についても、収入の少ない人向けの軽減制度があります。特定入所者介護サービス費、通称補足給付と呼ばれる制度です。
介護保険施設等の食費や居住費は原則として全額が利用者の自己負担ですが、年金収入等が少ない人については、国が定める基準費用額と、収入や預貯金等の状況に応じて軽減された利用者負担額との差額を、市区町村が施設に直接支払います。この仕組みにより、対象者は基準費用額より低い自己負担額で入所を続けられます。
対象となる主な要件は、世帯全員が市町村民税非課税であること、配偶者(世帯分離をしている場合や事実婚の関係にある人を含む)も非課税であること、預貯金等の資産額が利用者負担段階ごとに定められた基準額以下であることの三つです。負担段階は収入の状況によってさらに区分され、段階が低いほど、つまり収入が少ないほど食費・居住費の自己負担額も低くなります。
この給付を受けるには、居住地の市区町村に申請して負担限度額認定を受ける必要があります。介護保険被保険者証や預貯金等の通帳の写し、本人確認書類、マイナンバーが確認できる書類などの提出が求められるのが一般的です。認定は自動的に付与されないため、該当しそうな人は認定を受けていなければ軽減を受けられない点に注意が必要です。
日常生活自立支援事業と重度心身障害者医療費助成の対象者
判断能力が十分でない高齢者や障害のある人が地域で自立した生活を送れるように支援する制度として、日常生活自立支援事業があります。社会福祉協議会が実施主体となり、福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理、書類等の預かりサービスなどを提供します。利用料金は実施主体によって異なりますが、初回の相談や支援計画の作成にかかる費用は無料であることが多く、実際の援助を受ける際の利用料も生活保護受給世帯は無料となる自治体が一般的です。契約に基づいて利用するサービスであるため、判断能力の状況によっては利用できない場合もあります。
福祉サービスそのものではないものの密接に関連する制度として、重度心身障害者医療費助成制度もあります。一定以上の障害がある人が医療機関を受診した際、保険診療分の自己負担額を市区町村が助成する仕組みで、多くの自治体で実施されています。対象になるのは、身体障害者手帳の1級・2級(自治体によっては内部障害3級も含む)を所持する人、療育手帳のうち最重度・重度の判定を受けている人、精神障害者保健福祉手帳1級を所持する人などです。自治体によっては、等級が一段階軽くても6歳以下で小学校就学前の子どもは対象に含めるなど、独自に範囲を広げているところもあります。多くの自治体で所得制限があり、本人または扶養義務者の所得が一定額を超えると助成を受けられない、または範囲が制限されることがあります。
生活福祉資金貸付制度とひとり親家庭への支援制度
福祉の分野には、サービスの提供ではなく資金の貸付けという形で生活を支える制度もあります。生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯に資金を貸し付け、あわせて相談支援を行うことで経済的な自立を促す制度です。低所得者世帯は収入がおおむね生活保護基準額の1.7倍以下の世帯、障害者世帯は身体障害者手帳等の交付を受けている人が属する世帯、高齢者世帯は療養や介護を必要とする65歳以上の高齢者が属する世帯が、それぞれ対象になります。
連帯保証人を立てられる場合は無利子、立てられない場合でも年1.5パーセントという、一般的な金融機関のローンに比べて大幅に低い利率が適用されます。総合支援資金を利用する場合は、2015年4月に施行された生活困窮者自立支援制度に基づく自立相談支援事業を、原則としてあらかじめ利用していることが条件になります。
ひとり親家庭向けの支援としては、ひとり親家庭等日常生活支援事業があります。離婚調停中で支援が必要な父または母を含むひとり親家庭等が、修学や疾病、看護、出張、冠婚葬祭への出席といった理由で一時的に家事や育児が難しくなった際、家庭生活支援員を派遣して生活援助や保育等のサービスを提供する事業です。利用料金は実施主体である市区町村によって異なりますが、生活保護受給世帯や住民税非課税世帯は無料または大幅に減額される仕組みを設けている自治体が多くあります。このほか、ひとり親家庭等医療費助成として、通院や入院にかかる医療費の自己負担分の一部または全部を助成する制度も広く実施されています。
対象者の条件を見極める4つの確認ポイント
福祉サービスの利用料金や無料になる条件を調べる際は、いくつかの点を押さえておくと判断しやすくなります。
まず、サービスの根拠となる法律や制度を確認することです。障害者総合支援法に基づくサービスか、児童福祉法に基づくサービスか、介護保険法に基づくサービスか、あるいは市区町村独自の単独事業かによって、料金体系や無料になる条件はまったく異なります。
次に、世帯の課税状況です。市町村民税が課税されているかどうか、課税されている場合は所得割の額がいくらかという点が、負担額を左右する最も重要な要素になります。
続いて、年齢や心身の状況といった対象者要件です。障害福祉サービスなら身体障害、知的障害、精神障害、難病のいずれかに該当するか、児童発達支援なら発達に支援が必要と認められる子どもか、高齢者福祉サービスなら65歳以上か要介護認定を受けているかといった要件が定められています。
最後に、実費負担の有無です。利用者負担が無料や低額になる制度であっても、食費や交通費、教材費などの実費部分は別途負担が必要になるケースが多く、総額でどの程度の費用がかかるのかを事前に把握しておくことが欠かせません。
申請から利用開始までの流れと相談窓口
福祉サービスの利用者負担の軽減や無料化の制度を利用するには、多くの場合、市区町村への申請や認定手続きが必要です。まず居住地の市区町村の福祉担当窓口やこども家庭課、高齢者支援課などに相談し、利用したいサービスの種類や自身の状況を伝えます。次に、必要に応じて障害支援区分の認定調査や要介護認定調査が行われ、その結果と世帯の課税状況等の確認が行われます。これらの結果に基づいて受給者証や利用者証が交付され、サービス事業者と契約を結んで利用が始まります。
軽減制度や無償化制度については、通常のサービス利用の申請とは別に追加の申請書類の提出が必要になる場合と、自動的に適用される場合があります。どちらに該当するかは窓口で確認するのが確実です。社会福祉法人等による利用者負担軽減制度のように、収入や資産の要件を満たしていることを証明する書類の提出が求められる制度は、必要書類を事前に確認し、余裕を持って準備しておくとよいでしょう。
福祉サービスの利用料金は、法律や制度ごとに異なる仕組みで定められており、一律に無料あるいは有料と言い切れるものではありません。生活保護世帯と住民税非課税世帯であれば利用者負担が0円になる仕組みが整えられている一方、課税世帯は所得割の額に応じた上限が設定されています。3歳から5歳までの発達支援のように所得を問わず無償化される制度や、社会福祉法人等が独自に負担を軽減する制度もあります。自分や家族がどの制度の対象になるのか、どのような条件を満たせば無料でサービスを利用できるのかを正確に知るには、居住地の市区町村の福祉担当窓口や地域包括支援センター、社会福祉協議会といった相談窓口に直接問い合わせるのが確実な方法です。制度は見直しが行われることもあるため、最新の情報を窓口で確認しながら利用を進めてください。








