親の通院に付き添うたびに仕事を休み、有給休暇がみるみる減っていく。そんな悩みを抱える人は少なくありません。この負担は、介護保険の訪問介護で使える通院等乗降介助や、会社の介護休暇制度、オンライン診療への切り替えなどを組み合わせることで、大きく減らせる場合があります。40代会社員の石井さん(仮名)も、離れて暮らす父親の通院にたびたび有給休暇を使っていましたが、ある公的な支援制度を知ったことで状況が変わりました。この記事では、通院付き添いで有給休暇が減っていく悩みを抱える人に向けて、介護保険で使える通院等乗降介助の仕組みと費用負担の目安、障害福祉サービスの通院等介助、介護休暇制度やオンライン診療など、有休を使い切らずに済ませるための具体的な対策を整理します。あわせて介護離職の実態を示す統計データや、職場への伝え方、今日から始められる行動についても紹介します。

通院付き添いで有休が消える悩みは10万人規模の介護離職につながっている
通院に付き添うたびに有給休暇を使ってしまうという悩みは、珍しいものではありません。総務省が2022年に公表した就業構造基本調査では、直近1年間に介護や看護を理由に離職した人が全国で10万6000人にのぼり、2017年の前回調査から7000人増えました。介護・看護を理由とした離職者はおよそ11万人規模で推移しており、そのうち女性が約8万人を占めます。
介護離職者数の推移を見ると、2007年時点では約14万5000人と高い水準にありましたが、2017年には約9万9000人まで減りました。しかし直近の調査では再び増加に転じ、現在は毎年およそ10万人規模が介護を理由に離職している状況が続いています。この数字から分かるのは、有給休暇を使い切った先に、仕事そのものを辞めざるを得なくなる人が今も一定数いるという現実です。
40代会社員の石井さんも、離れて暮らす70代の父親の通院にたびたび付き添う中で、有給休暇が減っていく不安を抱えていました。父親は要介護状態で、母親と2人暮らしですが、両親はどちらも運転免許を持っていません。さらに足腰が弱り、一人で車に乗り降りしたり、病院の受付まで移動したりすることが難しくなっていました。月に複数回、石井さんが車を運転して病院へ送迎するたびに仕事を休まざるを得ず、貴重な有給休暇はみるみる消化されていったといいます。石井さんを救ったのは、ある公的な支援制度でした。
介護保険の通院等乗降介助は乗降から受付までヘルパーに任せられる
通院等乗降介助とは、介護タクシーなどを利用して病院へ行く際に、ホームヘルパーから受けられるサポートです。石井さんのように本人が一人で車に乗り降りできない、受付までの移動に付き添いが必要といった状態であれば、この制度を使うことで、家族が担っていた送迎と受付までの付き添いをヘルパーに任せられるようになります。
対象となるのは要介護1〜5の認定を受けており、ケアマネジャーが作成するケアプランにその必要性が組み込まれている人です。要支援1・2の人は、介護保険の訪問介護としての通院等乗降介助は原則として対象外になります。ただし、市区町村の介護予防・日常生活支援総合事業や外出支援事業などで、通院に関する支援を利用できる場合があります。
具体的なサポート内容は、外出するための着替えや持ち物の準備、自宅から車への移動および乗降時の介助、病院到着後の受付手続き、院内への移動サポートの4点です。ただし、病院内での待ち時間や診察室での付き添いは、原則として公的介護保険の対象外になります。院内でのサポートは基本的に医療機関側のスタッフが対応するというルールがあるためです。認知症があって目を離せないなど、どうしても院内介助が必要な場合は、例外的に保険適用が認められることや、自費サービスを組み合わせる方法もあります。この判断は個々の状態によって異なるため、まずは担当のケアマネジャーに相談するのが近道になります。
つまり通院等乗降介助だけで通院にまつわるすべての付き添いが解決するわけではなく、自宅から病院の受付までの部分をヘルパーに任せられる制度だと理解しておくとよいでしょう。院内での待ち時間や診察への同席がどうしても必要なケースでは、自費サービスとの組み合わせや、家族が対応する日を月1回程度に絞り込む工夫が現実的な落としどころになります。
費用は乗降介助1回100円、身体介護は20分未満163円が目安
外部のサービスを頼むと高額になるのではと不安に思う人もいるでしょうが、公的保険を利用すれば自己負担は抑えられます。
介護タクシーを利用した場合の費用は、タクシーの基本運賃、乗降時の介助料、車いす等のレンタル料(必要な場合)の3つで構成されます。このうち介護保険の適用となるのは乗降時の介助料です。自己負担割合が1割の人であれば、乗降介助1回あたりの負担額は約100円が目安になります。タクシー運賃自体は実費(初乗り約500円など、通常のメーター料金と同等)になるため、利用前に介護保険の対象となる部分と自己負担になる部分を分けて確認しておくことが大切です。
タクシーを使わず、公共交通機関や徒歩での通院に同行してもらう場合は、通院等乗降介助には当たりません。ただし、歩行や乗り換え、排せつなどについて本人に介助が必要であれば、訪問介護の身体介護として通院時の介助をケアプランに位置付けられる場合があります。利用できる範囲は本人の状態や必要な介助の内容によって判断されます。こちらは利用時間に応じた料金設定になっており、1割負担の場合、20分未満で約163円、30分から1時間未満で約387円程度が目安です。ヘルパーの交通費は利用者負担になりますが、家族が仕事を休まなくても本人が通院できる可能性が広がる点は大きな利点です。
障害福祉サービスの通院等介助は官公庁の手続きにも対応する
要介護の高齢者だけでなく、障害のある人への支援も整備されています。障害福祉サービスの居宅介護(通院等介助)では、病院への行き帰りだけでなく、官公庁での公的手続きなど、社会生活上不可欠な外出に対するサポートも提供されます。利用できる支援内容は利用者の状態や必要性によって異なるため、お困りの際は市区町村の障害福祉窓口や、相談支援専門員へ確認するとよいでしょう。
石井さんは担当のケアマネジャーに職場の状況と精神的な負担を正直に相談し、通院等乗降介助をケアプランに導入しました。現在は自宅からの送迎と病院の受付をヘルパーに任せています。石井さん自身が仕事を休むのは、月に1回、医師から詳しい診察結果を聞く日だけになったといいます。親の病院に付き添うだけで仕事を休まなければならないという悩みは、制度を賢く使うことで大きく改善できる場合があります。こんな制度があったのかと気づいたタイミングが、抱え込んできた負担を担当ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談するきっかけになります。
介護休暇は有休とは別枠で年5日、対象家族2人以上なら年10日
通院付き添いのたびに有給休暇を消化してしまう人がまず知っておきたいのが、介護休暇という制度です。介護休暇は家族の介護や通院の付き添いなどに対応するために取得できる制度で、法律により年間最大5日まで取得できます。対象となる家族が2人以上の場合は年10日まで取得可能です。
重要なのは、介護休暇が年次有給休暇とは別枠の休暇制度だという点です。年休を使い切っていても、介護休暇は別に取得できます。通院の付き添いや介護サービスの手続き、ケアマネジャーとの面談といった、短期的・一時的な介護を理由に取得できる休暇として設計されています。
ただし注意点もあります。法律上、介護休暇中の給与支払い義務は会社側になく、多くの企業では無給として扱われます。就業規則によっては有給としている会社もあるため、まずは自社の就業規則や人事担当・労務担当に確認してみましょう。介護休暇を有給化する法改正は今のところ示されておらず、将来的な有給化も公的には予定されていません。
2025年4月に施行された改正育児・介護休業法では、介護休暇について継続雇用6ヵ月未満の従業員も対象に含まれるよう対象が拡大されました。それまでは労使協定によって勤続6か月未満の従業員を対象外にできましたが、この要件が撤廃されたことで、入社間もない社員でも介護休暇を取得しやすくなっています。同時期の改正では、介護のためのテレワーク導入が事業主の努力義務にもなりました。これにより、通院の送迎はヘルパーに任せつつ、診察に同席する必要がある日だけ自宅で仕事をしながら対応するといった柔軟な働き方も選択肢に入ってきます。
介護休暇は1日単位だけでなく時間単位での取得も認められているため、午前中だけ付き添って午後は出社するという使い方も可能です。有給休暇を1日まるごと消化する前に、まずは自社に介護休暇制度があるかどうかを確認し、通院付き添いにはこちらを優先的に充てるという発想を持つことが、有休を温存する第一歩になります。
介護休業は通算93日、通院付き添いには使い分けが必要
介護に関する休暇制度には介護休暇のほかに介護休業もあります。両者は似ていますが役割が異なるため、混同しないよう整理しておきましょう。介護休業は対象家族1人につき通算93日を上限として、最大3回まで分割して取得できる長期の休業制度です。要介護状態が急に悪化したときの体制づくりや、施設探し、長期入院への対応など、まとまった期間が必要な場面で使うことを想定しています。取得すると雇用保険から介護休業給付金が支給され、賃金の最大67%が給付される仕組みです。
一方、月に何度かの通院付き添いのように、短時間・単発の対応を繰り返す場面では、1日単位・時間単位で柔軟に取得できる介護休暇のほうが実務的に使いやすくなります。93日という限られた枠を持つ介護休業を、日常的な通院付き添いのために少しずつ消費してしまうと、本当に長期の休みが必要になったときに枠が残っていないという事態にもなりかねません。今回の休みは介護休業と介護休暇のどちらに該当するのかを意識して使い分けることが、いざというときの備えにもなります。
オンライン診療は2022年から初診も保険適用の対象に
通院そのものの回数を減らす方向性も、有休消化を防ぐ有効な対策になります。
オンライン診療は、自宅からスマートフォンやパソコンを通じて診療を受けられる仕組みで、待ち時間がなく移動の負担も減らせます。症状が安定していて、定期的な処方や経過観察が中心の通院であれば、オンライン診療に切り替えられないか主治医に相談してみる価値があります。
2022年度の診療報酬改定以降、医師が医学的に可能と判断すれば、初診からのオンライン診療も保険適用の対象になりました。対象となりやすい疾患としては、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病、花粉症や気管支喘息などのアレルギー疾患、ニキビやアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患が挙げられ、いずれも継続的な処方や経過観察が中心となる病気であることが多いといえます。一方で、睡眠薬や抗不安薬といった向精神薬は、初診でのオンライン処方が原則禁止されているなど、疾患や処方内容によって利用できる範囲は変わってきます。オンライン診療は2026年4月に医療法上正式に位置づけられ、実施する医療機関には届出が求められるようになりました。制度の整備が進んでいる分野でもあります。実際に切り替えられるかどうかは、親がかかっている疾患の種類や病状の安定度によって医師が判断するため、まずは次回の診察時に相談してみるのが確実です。
訪問診療は月2回で自己負担約7000円、通院そのものが不要になる
訪問診療は、医師や看護師、薬剤師などの医療従事者が利用者の自宅を訪問し、チームで医療を提供する仕組みです。足腰が弱って通院そのものが大きな負担になっている場合は、訪問診療への切り替えを検討することで、家族が付き添うための外出そのものが不要になります。かかりつけ医や地域の医師会、ケアマネジャーに相談すると、対応可能な訪問診療のクリニックを紹介してもらえることが多いです。
費用面については、訪問診療は医療保険が適用されるため、通常の通院と同様に1〜3割の自己負担割合で利用できます。目安として、月2回の訪問と処方を受けた場合、自己負担1割であればひと月あたり約7000円、3割であれば約2万円程度になるという試算もあります。交通費については診療所によって扱いが異なり、無料としているところもあれば、公的保険のルールに沿って一部自己負担が発生するところ、夜間・休日の訪問で追加費用がかかるところもあるため、事前に確認しておきたいところです。医療費が高額になった場合は、高額療養費制度によって自己負担に上限を設けられる点も知っておくと安心材料になります。
いずれの方法も、本人の病状や治療内容によって適用できるかどうかが変わってくるため、まずは主治医やケアマネジャーに現状を伝え、選択肢として提示してもらうところから始めるとよいでしょう。
ここまでの費用の目安を並べると、次のようになります。
| サービス | 内容 | 自己負担の目安 |
|---|---|---|
| 通院等乗降介助 | 乗降時の介助料(1割負担) | 1回約100円 |
| 身体介護(通院同行) | 20分未満(1割負担) | 約163円 |
| 身体介護(通院同行) | 30分から1時間未満(1割負担) | 約387円 |
| 訪問診療 | 月2回の訪問と処方(1割負担) | ひと月約7000円 |
| 訪問診療 | 月2回の訪問と処方(3割負担) | ひと月約2万円 |
タクシー運賃や交通費などの実費は別途かかりますが、公的保険を活用すれば、通院付き添いにかかる自己負担は抑えられます。
介護タクシーと自費の付き添いサービスで院内介助を補う
介護保険の通院等乗降介助が使えない場合や、要介護認定を受けていない場合でも、民間の介護タクシーや自費の付き添いサービスという選択肢があります。
介護タクシー・福祉タクシーは、高齢者や障害を抱える人が医療機関に通院する際の交通手段として提供されるサービスで、付き添う家族の身体的な負担を減らせます。介護保険が使えない場合でも、実費で利用できる事業者は多くあります。
家事代行会社や自費の訪問介護サービスの中には、通院同行に特化したメニューを用意しているところもあります。院内での待ち時間の付き添いや診察室への同席、会計や薬の受け取りまで対応してくれる事業者もあり、介護保険の通院等乗降介助では対象外となる院内介助の部分を、こうした自費サービスで補う組み合わせ方も現実的な対策になります。費用の目安としては、家事代行や自費の訪問介護サービス全般でみると、1時間あたり2500円から4500円程度が相場とされており、単発利用より定期契約のほうが割安になる傾向があります。通院同行に特化したメニューの料金は事業者ごとに個別設定されていることが多く、上記はあくまで自費サービス全体の相場感として捉えてください。交通費や指名料などのオプション料金が別途発生する場合や、1回あたりの最低利用時間が設定されている場合もあるため、事前に見積もりの内訳を確認しておくと安心です。複数社に見積もりを取り、通院の頻度や必要な介助内容に応じて使い分けるとよいでしょう。
職場への伝え方は曜日と時間帯を具体的に伝えるのがコツ
制度を知っていても、職場に切り出せずに一人で抱え込んでしまう人は多くいます。家族の介護をしていることを早めに職場へ伝え、必要に応じて勤務先の仕事と介護の両立支援制度を利用することは、有給休暇を温存するうえでも重要なポイントです。介護保険の申請自体も、要介護認定が下りる前の段階から動き出しておくと、いざ通院等乗降介助が必要になったときにスムーズに利用を始められます。
上司への伝え方としては、いきなり込み入った事情を説明するのではなく、家庭の事情でご相談があってといった前置きをしたうえで、水曜の午前は親の通院の送り出しがあるので午後から出社したい、というように曜日や時間帯を具体的に伝えると調整してもらいやすくなります。あわせて、法律で定められた介護休暇・介護休業制度や、会社独自に設けられている介護関連の制度がある場合は、その利用方法もセットで確認しておくと、いざというときに慌てずに済みます。
介護の状況は日によって変化するため、一度伝えて終わりにするのではなく、状況が変わるたびに継続的に職場へ情報を共有しておくことも大切です。厚生労働省も仕事と介護の両立支援に関する情報やツールを公開しており、従業員側・企業側それぞれの立場で活用できる資料が整理されています。休みが増えて職場に迷惑をかけているのではと一人で抱え込む前に、早めに、具体的に事情を共有することが、結果的に有給休暇を守ることにつながります。
相談は地域包括支援センターが総合窓口になる
ここまで紹介してきた対策の多くは、家族だけで情報を集めて実行するのが難しいものばかりです。実際に動き出すためには、相談窓口を起点にするとスムーズになります。要介護認定を受けている場合は、担当のケアマネジャーに通院等乗降介助や身体介護をケアプランに組み込めないか相談しましょう。要介護認定をまだ受けていない、あるいは要支援の場合は、地域包括支援センターに相談し、利用できる制度やサービスを確認します。障害福祉サービスの対象になりうる場合は、市区町村の障害福祉窓口や相談支援専門員に相談します。勤務先の介護休暇やテレワーク制度については、人事・労務担当に就業規則を確認します。通院そのものの負担を減らせないか、主治医にオンライン診療や訪問診療への切り替えを相談するのも一つの手です。
このなかでも、まだ要介護認定を受けていない、あるいは何から相談すればよいか分からないという段階の人にとって特に頼りになるのが地域包括支援センターです。地域包括支援センターは、高齢者の健康面や生活全般に関する相談を受け付ける、地域に密着した総合相談窓口で、各市区町村に設置されています。介護・医療・福祉・保健など、高齢者のあらゆる困りごとに対応する中核的な機関であり、必要に応じて適切なサービスや関係機関へつないでくれます。
相談できる内容は、日常生活でのちょっとした心配事から、病気、介護、金銭的な問題まで多岐にわたり、まだ介護保険の申請もしていないが通院の付き添いだけでも何とかしたいといった、内容が整理できていない段階での相談も可能です。総合相談や介護予防ケアマネジメントは、ほとんどの自治体で無料になっており、高齢者本人だけでなく、高齢者を支える家族も利用できます。どこに相談すればよいか分からないというときは、まず最寄りの地域包括支援センターに連絡するところから始めるとよいでしょう。
石井さんのケースのように、こんな制度があったのかと気づいた瞬間から状況が大きく変わることは珍しくありません。通院付き添いのたびに有給休暇を消化してしまう状態を仕方のないこととして抱え込まず、公的制度、勤務先の制度、民間サービスという3つの引き出しを組み合わせることで、家族の介護と自分の仕事や有給休暇を両立させる道が見えてきます。10万人規模で介護離職が発生している現状を踏まえると、有給休暇が減っていくと感じた早い段階で相談窓口にアクセスすることが、結果的に自分自身のキャリアを守ることにもつながります。
今日から始められる3つの行動
制度がたくさんあることは分かっても、何から手をつければよいか迷う人も多いはずです。最後に、通院付き添いによる有休消化に悩んでいる人が、今日からでも始められる3つの行動を挙げます。
1つ目は、親がすでに要介護認定を受けているかどうかを確認することです。認定を受けているのに担当のケアマネジャーがいない、あるいはケアプランに通院支援が組み込まれていないという場合は、次の面談で通院等乗降介助や身体介護を使えないか相談してみましょう。まだ要介護認定を受けていない場合は、地域包括支援センターに連絡し、申請の進め方から相談するところから始められます。
2つ目は、自分の勤務先に介護休暇・介護休業の制度がどう定められているかを、就業規則で確認することです。介護休暇が有給扱いになっているのか無給なのか、時間単位で取得できるのか、テレワークは選択できるのかといった点は会社によって差があるため、人事・労務担当に直接確認するのが確実です。
3つ目は、通院そのものの負担を減らせないか、次回の診察のタイミングで主治医に相談してみることです。症状が安定していればオンライン診療への切り替え、外出そのものが難しければ訪問診療への切り替えなど、通院回数を減らす選択肢があるかどうかを聞いてみるだけでも、今後の見通しは変わってきます。
いずれも、電話一本、次回の面談での一言から始められることばかりです。有給休暇が減っていく不安を抱えたまま様子見を続けるより、まず動いてみることが、状況を変える一番の近道になります。
通院等乗降介助と介護休暇を組み合わせれば有休を使い切らずに済む
離れて暮らす親の通院付き添いは、多くの働く世代にとって避けて通れない課題であり、対応を誤ると有給休暇の消化だけでなく、介護離職やキャリアの停滞にもつながりかねない問題です。しかし今回取り上げた事例が示すように、介護保険の通院等乗降介助や障害福祉サービスの居宅介護(通院等介助)といった公的制度を活用すれば、家族が仕事を休む回数を大きく減らせる可能性があります。乗降介助であれば1割負担で1回あたり約100円、身体介護であれば20分未満で約163円程度と、自己負担額も高額ではありません。
加えて、勤務先の介護休暇制度(年5日、対象家族が2人以上なら年10日、有給休暇とは別枠)や、2025年4月の法改正で対象が広がった制度、努力義務化されたテレワークといった働き方の選択肢、さらにオンライン診療・訪問診療による通院回数そのものの削減、介護タクシーや自費の付き添いサービスの活用など、対策は一つではありません。
大切なのは、家族だから自分が付き添わなければと一人で抱え込まず、ケアマネジャーや地域包括支援センター、勤務先の人事担当、主治医といった専門家に早めに相談することです。制度を知り、組み合わせることで、有給休暇を使い切ることなく、親の通院と自分の仕事の両方を無理なく続けていく道は十分に開けます。
介護保険の通院等乗降介助、障害福祉サービスの通院等介助、介護休暇・介護休業といった働き方の制度、オンライン診療・訪問診療による通院負担そのものの軽減、そして介護タクシーや自費サービスといった民間の選択肢は、どれか一つを選ぶものではなく、本人の要介護度や病状、勤務先の制度、家族の状況に応じて組み合わせて使うものです。石井さんが月に1回、医師から詳しい診察結果を聞く日だけ休めばよい状態にたどり着けたのも、複数の制度を並行して見直した結果でした。通院付き添いで有給休暇が減っていくことに悩んでいるなら、この記事で挙げた相談窓口のどれか一つに連絡を取ってみることから始めてみてください。
有給休暇は、本来であれば自分自身の休養やリフレッシュ、家族との時間のために使われるべきものです。それが親の通院付き添いだけで削られていく状態が続くと、心身の余裕も失われ、結果的に介護そのものにも仕事にも悪影響が及びかねません。制度は知っていて使わないと損をするものが大半であり、知らなければ活用のしようがありません。この記事で紹介した内容を出発点に、一つずつ確認して動いてみてください。








