障害者グループホームへの入居を考えたとき、多くの家族がまず知りたいのは、希望する地域に空きがあるかどうかです。空き状況は、相談支援専門員への相談や市区町村の障害福祉課への問い合わせ、グループホーム検索サイトの活用など、複数の窓口を同時に使うことで早くつかめます。探し方を誤ると入居まで2〜3年待つケースも珍しくありませんが、手順を踏んで動けば数ヶ月で条件に合う物件が見つかることもあります。この記事では、障害者グループホームの待機期間がなぜ長くなりやすいのかという背景と、空き状況を効率よく探すための具体的な方法をまとめて紹介します。

障害者グループホームの待機期間は探し方次第で数ヶ月から数年まで変わる
障害者グループホーム、正式には共同生活援助と呼ばれる住まいの待機期間は、全国一律の統計としては公表されていません。都道府県や市区町村ごと、さらには施設ごとにばらつきが大きいためです。千葉県は、令和2年時点で県内の障がい者グループホームや入所施設の待機者を約700人と発表しました。人口が多く需要が集中する都市部では、グループホームの整備数に希望者の数が追いつかず、待機時間が長期化しやすい傾向にあります。とくに駅から近い物件や個室・ワンルーム型で生活の自由度が高い物件は競争率が高く、空きが出てもすぐに次の希望者で埋まってしまいます。
一方で、地方や新規開設が続いているエリアでは、比較的短い期間で入居できることもあります。1〜2件の候補だけに絞って連絡を待つやり方では、時間だけが過ぎていくおそれがあります。複数の手段を並行して使い、広いエリアで情報を集めれば、数ヶ月程度で条件に合う空き物件が見つかる場合もあるでしょう。
空き情報を早くつかむには相談支援専門員への相談が最初の一歩になる
相談支援専門員は、障害のある人やその家族からの相談を受け、必要な障害福祉サービスや社会資源につなぐ専門職です。生活の悩みや将来の希望に寄り添いながらサービス等利用計画を作成し、事業所や医療機関、行政機関と連携して暮らしやすい環境を整える役割を担っています。
グループホームへの入居を検討する際は、まず担当の相談支援専門員に相談するのが基本です。相談支援専門員は日頃から地域の事業所と関係を築いているため、まだ公になっていない空き情報や、近く空きが出そうな物件の情報を持っていることがあります。まだ担当者がついていない場合は、市区町村の窓口で相談支援事業所を紹介してもらえます。早い段階で関係を作っておくと、その後の情報収集がスムーズになります。
市区町村の障害福祉課は自治体ごとに空き情報の公開度が違う
多くの市区町村の障害福祉課は、地域内のグループホームに関する情報を持っています。尼崎市や大分市のように、公式サイト上でグループホームの利用・空き状況を定期的に公開している自治体もあります。自治体の窓口では、地域内のグループホーム一覧、いわゆる指定事業所リストを入手できることが多く、そこから候補を絞り込んで個別に問い合わせる方法も有効です。
住民票のある自治体以外のグループホームも、障害福祉サービス受給者証があれば利用できるケースが多くあります。近隣の自治体にも合わせて問い合わせておくと、選べる範囲が広がります。
グループホーム検索サイトは「みんなのグルホ」と「グルホネット」の併用が効率的
障害者グループホームに特化した検索サイトを使うと、空き状況をオンラインで確認できます。「みんなのグルホ」は、全国の施設を家賃や空室状況、障害種別といった条件で絞り込める検索サイトで、掲載数の多さが強みです。完全無料で利用でき、空室情報の一覧ページも用意されているため、どのエリアにどの程度空きがあるか全体像をつかむのに向いています。
「グルホネット」は2022年4月に開設された、障がい者グループホームだけを検索できるポータルサイトです。グループホームの選び方や費用、障害年金の解説コーナーも設けられており、物件検索と合わせて制度の基礎知識を得られます。このほか、介護施設の検索で知られる「LIFULL介護」でも、全国のグループホーム一覧から料金相場や空き状況を確認できるページがあります。ただし検索サイトの情報は常に最新とは限らないため、気になる物件が見つかったら施設に直接問い合わせて確認する作業は省けません。
直接問い合わせで検索サイトとのタイムラグを埋める
検索サイトや自治体の一覧で候補が見つかったら、電話やメールで直接問い合わせるのが確実です。ウェブサイトの情報が更新されていなくても実際には空きが出ていることもあれば、満室表示のままでも近々空きが出る予定がある場合もあります。直接連絡することで、こうした情報のズレを解消できます。
問い合わせの際は、障害支援区分や必要な支援内容、希望する入居時期、日中活動の利用状況を伝えられるようにしておくと、施設側も受け入れ可否を判断しやすくなります。見学や体験入居の可否も合わせて確認しておくとよいでしょう。
複数の事業所へ同時に申し込むと第一希望以外から先に空きが出ることもある
希望条件に優先順位をつけておくことも欠かせません。立地、個室の広さ、日中活動先へのアクセス、支援体制の手厚さなど、譲れない条件と妥協できる条件を整理しておくと、すべてを完璧に満たす物件を待ち続けて時間を失うことを防げます。
一つの事業所の順番待ちだけに賭けるのではなく、条件に近い複数の事業所へ同時に相談・申し込みをしておくと、どこか一つで早く空きが出た時点で入居のチャンスをつかみやすくなります。第一希望の物件から先に空きが出るとは限らず、第二希望や第三希望として申し込んでいた事業所から先に連絡が来ることも珍しくありません。まず生活の場を確保し、あとから希望に近い物件へ住み替えるという柔軟な考え方も、結果的に待機の負担を軽くする方法のひとつです。
家族の高齢化や病気、本人の体調悪化など緊急性が高い事情があるなら、市区町村や相談支援事業所にその内容を具体的に伝えることで、優先的に案内してもらえる可能性があります。新しく開設される予定のグループホームは開設前から入居者を募集することが多く、既存の人気物件より早いタイミングで申し込める場合もあるため、自治体の指定申請情報や検索サイトの新着情報も定期的にチェックしておきたいところです。数日から数週間の体験利用ができる制度がある事業所もあり、相性を確認しながらそのまま継続入居につながることもあります。
重度障害者向けの日中サービス支援型グループホームは特に数が少ない
グループホームの中でも「日中サービス支援型共同生活援助」は、常時介護を要する重度の障害者に対して昼夜を通じた支援体制を確保する類型です。通常のグループホームとは異なり、夜間もスタッフが常駐する体制を整える必要があり、緊急時の受け入れ体制としてショートステイの併設も義務づけられています。
通常型のグループホームでも、世話人の配置基準は利用者数を6で割った数以上、いわゆる6対1が目安とされています。しかも夜間や深夜に勤務した時間は人員配置基準の常勤換算に含められないため、日中とは別に夜間帯の人員を確保しなければなりません。日中サービス支援型はこれに加えて昼夜通しての支援体制とショートステイの併設まで求められるため、運営側に求められる人員配置や設備基準がより高く、通常型に比べて開設のハードルが上がり、事業所数自体が少ない状況にあります。常時の介護が必要な人ほど選択肢が限られ、待機期間が長期化しやすくなります。重度障害のある方やその家族は、早めに相談支援専門員や自治体へ相談し、日中サービス支援型を含めた広い範囲での情報収集を進めることが特に重要になるでしょう。東京都内では、精神障害者向けの共同ホームの空室情報を一覧で公開している連絡会のサイトもあり、地域の当事者団体の情報も合わせて確認する価値があります。
家賃相場は関東地方が高く、家賃補助で実質負担を抑えられる
空き状況を探す際は、費用面の知識も判断材料になります。国が令和4年度に実施した実態調査では、利用者が事業者に支払う家賃は地域差が大きいことがわかりました。
| 地域 | 家賃相場の目安(月額) |
|---|---|
| 関東地方 | 6万円〜8万円前後 |
| 北陸地方 | 相対的に低い水準 |
| 全国の総額目安 | 家賃・食費・光熱費等を含めて6万円〜12万円程度 |
同じ「空きあり」の物件でも、エリアによって毎月の負担額は変わります。家賃相場を踏まえてエリアを検討することも、待機期間を短くする工夫のひとつです。
生活保護世帯や低所得世帯は、「特定障害者特別給付費」という家賃補助制度を利用できます。対象者には1人あたり月額1万円を上限に家賃が補助され、家賃が1万円未満なら実費までが補助されます。自治体独自の家賃助成や食費への助成、障害基礎年金と組み合わせれば、実質的な自己負担を月3万円前後まで抑えられるケースもあります。家賃の額面だけでなく、こうした補助制度を利用できるかどうかも事業所や自治体の窓口に確認しておくと、選択肢を狭めずに済みます。
収入の面では、障害基礎年金2級は月約6.9万円、1級は月約8.6万円という2026年度の水準があります。就労継続支援B型の工賃は全国平均で月1.7万円前後にとどまるため、年金と工賃を合わせた収入で、家賃補助を活用した月6万円台のグループホームであれば収支が成り立つ組み合わせも見えてきます。共同生活援助の利用者負担額についても、所得に応じた上限月額が設定されており、市町村民税非課税世帯に該当する人が多いことから、負担上限は月0円から9,300円程度に収まるケースが大半です。空き物件を比較する際は、家賃だけでなく、こうした収入と負担上限のバランスも合わせて確認しておくと、無理のない選択につながります。
空きが見つかったら見学で職員と入居者の関係性を確認する
苦労して空きのある物件を見つけても、内容を十分に確認しないまま契約すると、入居後に生活のイメージが違ったと感じかねません。玄関に入った瞬間の雰囲気やにおいは、日頃の掃除や管理体制を映し出しやすいものです。個室の広さやトイレ・浴室の使いやすさ、バリアフリーの状況、共用スペースの様子も合わせて確認しましょう。
日中活動先や実家、通院先までの交通手段と所要時間は生活の負担に直結するため、実際に使う交通手段で移動時間を確かめておくとよいでしょう。見学は、入居者同士や入居者と職員のやり取りを実際に見られる貴重な機会です。職員が入居者の名前を呼んで親しみを持って接しているか、入居者側からも気軽に話しかけられているか、双方の信頼関係が築けているかを肌で感じ取ることが大切です。職員の人数や配置、資格の有無、勤続年数、夜間の支援体制、医療機関との連携、家族との連絡の取り方も確認しておきたい項目です。献立表を見せてもらい、栄養バランスやメニューの多様性、施設内調理か外部委託かといった点も、日々の生活の質に関わってきます。可能であれば本人と一緒に複数の施設を見学し、相談支援専門員に同行してもらうことも、客観的な視点を得るうえで役立ちます。
空きがない状態でも、見学だけは随時受け付けている事業所は少なくありません。見学したうえで「空きが出たら連絡してほしい」と伝え、待機リストに名前を残しておくだけでも、実際に空きが出たときの案内が早くなります。同じ施設でも曜日や時間帯によって入居者の過ごし方は変わるため、可能なら一度きりで決めず、時間帯を変えて2回以上見学しておくと、実際の生活イメージとのずれを減らせます。
受給者証の交付まで1〜2ヶ月かかるため早めの申請が待機期間短縮につながる
グループホームへの入居を希望してから実際に入居するまでは、相談支援専門員や自治体窓口への相談、障害支援区分の認定申請、候補施設の情報収集と見学、サービス等利用計画案の作成、市区町村への支給申請と受給者証の交付、事業所との契約という流れをたどるのが一般的です。
このうち、障害福祉サービス受給者証の申請から交付までは、障害支援区分の認定調査や審査会での判定を経るため、一般的に1〜2ヶ月程度かかります。自治体によっては2週間程度で済む場合もあれば、2ヶ月以上を要する場合もあるでしょう。希望する物件に空きが出ても、受給者証の交付が間に合わなければ契約手続きに進めません。グループホーム探しと並行して、できるだけ早い段階で市区町村の窓口に区分認定の申請を済ませておくことが、待機期間全体を短くすることにつながります。
一人暮らしを目指す通過型は退居後も自立生活援助でつながる
グループホームには、終の棲家として長く暮らせる滞在型と、一人暮らしなどへの移行を前提とした通過型があります。どちらのタイプかによって、その後の生活設計や次の住まい探しのタイミングが変わってくるため、申し込みの段階で確認しておきたいポイントです。
令和6年4月の報酬改定では、一人暮らしを希望する利用者への支援や、退居後の定着支援がグループホームの支援内容として明確に位置づけられ、加算として評価されるようになりました。入居中は一人暮らしに向けた個別支援計画の作成や住居確保の相談が行われ、退居した後もグループホームの職員が自立生活支援加算のもとで関わりを続けます。さらに、一人暮らしを始めた人のもとへ支援員が定期的に訪問し、生活の困りごとを相談できる自立生活援助という制度もあります。通過型を検討している人にとっては、グループホームを出た後の暮らしがいきなり支援ゼロになるわけではないという点も、探し方や選び方を考えるうえで押さえておきたい材料です。
グループホーム不足の背景には施設からの地域移行の遅れがある
グループホームの空きが見つかりにくい背景には、地域全体の受け皿不足という課題もあります。厚生労働省の調査では、入所施設のうち4割を超える施設が、地域移行に取り組んでいない理由として「地域での居住の場が少ない」と回答しました。各自治体が策定する障害福祉計画では、グループホームの利用者数の見込みが年々引き上げられてきた経緯があり、整備はまだ途上にあると捉えておくと、待機期間への見通しも立てやすくなります。
実際、グループホームの数そのものは全国的に増え続けています。厚生労働省が公表したデータでは、事業所数は2018年の8,231か所から2023年には12,281か所となり、5年ほどで1.5倍程度に増加しました。2024年12月時点では14,247か所まで拡大し、営利法人が運営する事業所が全体のおよそ4割を占めるまでになっています。利用者数も伸びており、2008年の48,394人から2023年には172,901人と、15年間でおよそ3.5倍に増えました。3つの類型のうち、常時の支援体制を備える日中サービス支援型は、この4年ほどで146か所から832か所へと特に大きく増えています。事業所数が増えているにもかかわらず希望者に空きが行き渡らないのは、増加分を上回るペースで利用希望者そのものも増えているからです。空きを探す側としては、事業所の絶対数が現在も増えている途中の分野であることを踏まえ、新規開設情報を継続的に追いかける姿勢が有効です。
グループホームの支援の質を客観的にチェックする第三者評価の実施率は、依然として低い水準にとどまっているという指摘もあります。空きを見つけて入居を急ぐあまり、質の確認がおろそかにならないよう、見学時のチェックポイントを踏まえて事業所を見極めることも忘れないようにしたいところです。
各地域に整備が進む「地域生活支援拠点等」も、探す過程で活用できる資源のひとつです。緊急時の受け入れ・対応、相談、体験の機会の提供といった機能を担う拠点が多く、今すぐの入居先が見つからない場合でも、当面の生活を支えながら本格的なグループホーム探しを続けるための橋渡しとして使えることがあります。管轄地域の地域生活支援拠点の有無は、市区町村の障害福祉課に確認できます。
障害者グループホーム探しは複数の窓口を同時に使うことで前に進む
障害者グループホームの待機期間は、地域や施設、探し方によって大きな差が生まれます。ひとつの候補だけを待ち続ければ2〜3年単位の待機になることも珍しくありませんが、相談支援専門員への相談、市区町村の障害福祉課への問い合わせ、グループホーム検索サイトの活用、施設への直接問い合わせ、自治体の空き情報公開ページの定期チェックを組み合わせれば、条件に合う空き物件に早くたどり着ける可能性が高まります。
希望条件の優先順位を整理し、住民票のある自治体以外も視野に入れて複数の事業所へ同時に申し込むことも、待機期間を短くする重要なポイントです。早い段階から情報収集を始め、複数の窓口を並行して動かしていくことが、自分や家族に合ったグループホームとの出会いにつながっていくはずです。








