障害年金の更新における診断書の書き方のポイントは、日常生活の状況を具体的に医師に伝え、「単身で生活するとしたら可能かどうか」という視点で評価してもらうことです。障害年金の更新手続きでは、診断書の内容が受給継続や等級維持を左右する最も重要な要素となります。更新時に提出する「障害状態確認届」に添付する診断書には、日常生活能力の判定や就労状況など、審査で重視される項目が含まれており、これらを適切に記載してもらうための準備と対策が必要です。
この記事では、障害年金の更新制度の基本から、診断書の種類と構成、日常生活能力の評価基準、医師への依頼のコツ、等級変更や支給停止への対策まで、更新手続きを成功させるために知っておくべき情報を詳しく解説します。令和5年度のデータによると、更新時の支給停止率は約1.1%、等級下げ率は約0.8%と決して高くはありませんが、適切な準備をすることでより確実に受給を継続することができます。

障害年金の更新制度とは
障害年金の更新とは、有期認定を受けている方が定期的に障害の状態を確認するために行う手続きのことです。正式には「障害状態確認届」の提出と呼ばれ、多くの受給者にとって避けて通れない重要なプロセスとなっています。
障害年金には「有期認定」と「永久認定」の2種類があります。手足の切断など、時間が経っても状態に変化がないと見込まれる場合には永久認定となり、更新手続きは不要です。一方、多くの受給者が該当する有期認定の場合は、障害の程度の認定が通常1年から5年の範囲で行われ、その期間ごとに更新が必要となります。
自分の更新時期については、年金証書の右下に記載された「次回診断書提出年月」で確認することができます。更新の時期が近づくと、誕生月の3か月前の月末頃に日本年金機構から障害状態確認届が自宅に郵送されてきます。届いた書類を持って医療機関を受診し、医師に診断書の作成を依頼するという流れになります。
更新手続きの具体的な流れ
更新手続きは、まず障害状態確認届が届くところから始まります。届いた書類には診断書用紙が同封されているため、これを持参して主治医に診断書の作成を依頼します。診断書には、提出期限前3か月以内の障害状態を記載してもらう必要があります。
完成した診断書を受け取ったら、必ず内容を確認することが重要です。実態と異なる記載がないか、日常生活能力の評価は適切かなどをチェックし、問題があれば医師に修正を依頼します。確認が済んだら、誕生月の末日までに日本年金機構に提出します。
提出後は約2か月から4か月の審査期間を経て結果が通知されます。等級に変化がない場合は「次回診断書提出年月のお知らせ」というハガキが届き、等級が変わる場合は「支給額変更通知書」が届きます。通知は圧着ハガキで届くため、他の郵便物に紛れないよう注意が必要です。
更新期間の近年の傾向
更新期間は従来1年から5年の範囲で設定されていましたが、近年は5年更新が減少している傾向があります。2024年には5年更新が大幅に減っているとの報告もあり、より頻繁に更新手続きが必要になる可能性を考慮しておく必要があります。
診断書の種類と基本構成
障害年金の診断書は全部で8種類あり、障害の部位や種類によって使用する様式が異なります。眼の障害用、聴覚・鼻腔機能・平衡機能・そしゃく・嚥下機能・言語機能の障害用、肢体の障害用、精神の障害用、呼吸器疾患の障害用、循環器疾患の障害用、腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用、血液・造血器・その他の障害用の8種類です。
自分の障害状態を最も適切に伝えることができる診断書を選択することが、適切な審査を受けるための第一歩となります。
精神障害用診断書の構成
精神障害の場合、診断書は表面と裏面に分かれて構成されています。表面には傷病名とICD-10コード、傷病の発生年月日、初診日、既往症・原因などが記載されます。裏面には病歴・治療経過、日常生活能力の判定(7項目)、日常生活能力の程度(5段階)、就労状況、予後などが記載されます。
更新時の障害状態確認届では一部項目が省略されることもありますが、日常生活能力に関する項目は必ず記載が必要です。この日常生活能力の評価が審査において最も重視される部分であるため、正確に記載してもらうことが極めて重要となります。
身体障害用診断書の特徴
身体障害の診断書では、検査データや数値の記載が重視されます。内部疾患の場合は血液検査の結果、腎疾患の場合はクレアチニン値やeGFRの数値、心臓疾患の場合は心電図の所見や心エコーの結果などが記載されます。
肢体の障害の診断書では、関節可動域や筋力、日常生活動作の状態が4段階で評価されます。評価にあたっては、杖や補助用具を使用しない状態で判断して記載してもらう必要があるという点が重要です。補助具を使えば歩けるという場合でも、補助具なしの状態で評価されなければなりません。
日常生活能力の評価基準
精神障害の診断書において特に重要なのが「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」です。これらの評価が等級判定に直接影響するため、実態を正確に反映した記載が必要となります。
日常生活能力の判定(7項目)
日常生活能力の判定は7つの項目について、それぞれ4段階で評価するものです。7つの項目は、適切な食事、身辺の清潔保持、金銭管理と買い物、通院と服薬、他人との意思伝達及び対人関係、身辺の安全保持及び危機対応、社会性です。
それぞれの項目は4段階で評価されます。「できる」が最も軽度で、「概ねできるが時には助言や指導が必要」「助言や指導があればできる」「助言や指導をしてもできない若しくは行わない」の順で重度となります。
日常生活能力の程度(5段階)
日常生活能力の程度は、全体的な日常生活の状況を5段階で評価するものです。精神障害の場合、第1段階は「精神障害を認めるが、社会生活は普通にできる」という最も軽い評価です。第2段階は「精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が必要である」となります。第3段階は「精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である」、第4段階は「精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である」、第5段階は「精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である」と、段階が上がるほど重度の評価となります。
等級判定ガイドラインについて
平成28年9月から「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が運用されています。このガイドラインでは、日常生活能力の判定の平均値と日常生活能力の程度の評価を組み合わせて、障害等級の目安が示されています。
日常生活能力の判定は、4段階評価を程度の軽い方から1点から4点に置き換え、7項目の合計を7で割った平均点(判定平均)を算出します。この判定平均と日常生活能力の程度を表にあてはめることで、等級の目安が分かる仕組みになっています。
ただし、これはあくまで目安であり、診断書の他の記載項目を含めて総合的に評価した結果、目安と異なる等級になることもあります。傷病名や病歴・治療経過、就労状況なども審査で考慮されるため、診断書全体の整合性が重要となります。
評価における最重要ポイント
日常生活能力の評価において最も重要な点は、「単身で生活するとしたら可能かどうか」という視点で判断することです。入所施設やグループホーム、日常生活上の援助を行える家族との同居などにより、支援が常態化した環境下で日常生活が安定している場合であっても、単身でかつ支援がない状態で生活した場合を想定して記載することとされています。
現在は家族の支援があって生活できている状態であっても、その支援がなくなった場合にどうなるかを考えて評価する必要があります。この視点を医師に正確に伝え、適切な評価をしてもらうことが更新成功の鍵となります。
診断書作成の具体的なポイント
診断書の記載内容は審査結果を大きく左右するため、適切な記載がなされるよう準備と確認を行うことが重要です。
傷病名とICD-10コードの確認
診断書に記載される傷病名は、障害年金の審査に大きく影響します。特に注意が必要なのは、神経症(ICD-10コードのF40からF48)や人格障害(ICD-10コードのF60からF69)の場合です。これらの傷病名が記載されていると、原則として障害年金の対象外となり不支給になります。
ただし、神経症や人格障害と記載された場合でも、備考欄にICD-10コードとともに「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想型障害(F20からF29)」または「気分障害(F30からF39)」の病態を示している旨を記載してもらえれば、支給対象になる可能性があります。該当する場合は主治医に相談することをお勧めします。
就労状況の適切な記載
就労している事実だけで障害年金の支給が決定されることはありません。重要なのは、仕事場の内外を問わず、就労を継続するために受けている日常の援助や配慮の状況も記載することです。
精神障害の方で障害者雇用枠で働いている場合は、どのような配慮を受けて働いているのかを具体的に記載してもらうことが望ましいです。勤務時間の短縮、業務内容の限定、休憩時間の配慮、上司や同僚からのサポートなど、就労を継続するために受けている援助を明確にすることで、適切な審査が行われます。
現症日において無職である場合は必ず「無職」と明記してもらい、休職中の場合は給与や出勤日数などは記載せず「休職中」とだけ書いてもらうことが推奨されています。
治療歴の記載
治療歴は最近5年間を漏れなく記入することが重要です。治療空白期間がある場合は、その理由も含めて明示することが大切です。
統合失調症の認定では、発病時からの療養及び症状の経過が十分考慮されます。また、躁うつ病(双極性障害)は症状の著明な時期と消失する時期を繰り返すため、現症のみによって認定することは不十分であり、症状の経過及び日常生活活動等の状態が十分考慮されます。
診断書全体の整合性
診断書の審査では、各項目間の整合性も確認されます。傷病名や病歴・治療経過・病状等の内容と、日常生活能力に関する評価について、矛盾や齟齬がないかがチェックされます。
病状は重いと記載されているのに日常生活能力の評価が軽い場合、あるいはその逆の場合は、審査において疑問を持たれる可能性があります。医師と十分にコミュニケーションを取り、実際の状態が正確に反映されるようにすることが重要です。
医師への診断書依頼のコツ
障害年金の診断書は「生活能力」の比重が大きいため、日常生活の状況を具体的に伝えることが非常に重要です。限られた診察時間内で自分の状況を主治医に十分に伝えるためには、事前の準備が欠かせません。
伝えるべき6つの生活領域
医師に状況を伝える際は、以下の6つの生活領域を参考に自分の状況を整理しておくとよいでしょう。
身の回りのことについては、食事の準備や後片付けができるか、洗濯ができるか、掃除ができるかなどを整理します。服薬管理については、自分で薬を管理して決められた時間に飲めるかどうかを確認します。金銭管理については、お金の計算ができるか、計画的に使えるかなどを把握します。対人関係については、家族や友人、職場の人とどのように接しているかを振り返ります。社会性については、役所の手続き、買い物、公共交通機関の利用ができるかどうかを確認します。毎日の活動リズムについては、規則正しく起床・就寝できるか、外出の頻度はどうかなどを整理します。
メモの活用方法
診断書を依頼する際は、日常生活の具体的な状況を事前にメモなどでまとめ、医師に渡せるよう準備しておくことをお勧めします。メモには、できないことや困っていることを具体的なエピソードとともに記載するとよいでしょう。
「料理ができない」だけでなく、「火を消し忘れてしまうことがあり危険なので、家族が調理を担当している」というように具体的に書くことで、医師が状況を正確に把握しやすくなります。
効果的な伝え方
主治医にできないことや苦手なことを伝えるとき、あれもできない、これもできないと愚痴のように伝えると主治医の印象がよくないこともあります。困っていることばかりでなく、「できるようになりたいのですが、今はまだ難しい状態です」「改善したいと思っているのですが、なかなかうまくいかない」といった表現を織り交ぜて話すと、より建設的な印象を与えることができます。
避けるべき言い方
「2級でお願いします」「更新を通してください」といった直接的な依頼は避けるべきです。医師は障害年金の等級を決める立場にはなく、あくまで医学的所見に基づいて診断書を作成する立場です。感情的な訴えではなく、具体的な事実や記録に基づいて状況を伝えることが信頼につながります。
前回の診断書の活用
前回の診断書のコピーがあれば、参考資料として医師に渡すことも有効です。特に主治医が変わった場合や、経過が分かりにくい場合には、前回の診断書が参考になります。医師によって診断基準が異なるため、前回の記載内容を踏まえて一貫した評価をしてもらうためにも、前回の診断書を活用することをお勧めします。
提出期限を考慮した依頼
医師が診断書の作成に要する期間も考慮して依頼する必要があります。病院によっては予約がすぐに取れない場合もあるため、障害状態確認届が届いたら早めに医療機関を訪れて、診断書の作成を依頼しておきましょう。提出期限である誕生月の末日までに確実に作成してもらえるよう、余裕を持って準備することが大切です。
更新時に注意すべきポイント
更新手続きを成功させるためには、いくつかの重要な注意点を押さえておく必要があります。
医師が変わった場合の注意
前回と診断書を作成してもらった医師が違う場合は特に注意が必要です。医師によって診断基準が異なるため、同じ状態であっても症状の書き方や評価が変わってしまう可能性があります。
新しい主治医には、これまでの経過や現在の状態について十分に説明し、前回の診断書のコピーがあれば参考資料として渡すことをお勧めします。これにより、評価の一貫性を保つことができます。
縦の比較への対策
更新審査では、前回認定時の状態と現在の状態が比較されます(縦の比較)。過去の診断書と現在の診断書を比較し、その変化がどう評価されるかに注意が必要です。
前回の診断書で「常に援助が必要」と記載されていたのに、今回「時々援助が必要」となっていると、症状が改善したと判断される可能性があります。実際に症状が改善していない場合は、医師にその旨を伝え、適切な記載をしてもらうことが重要です。
就労状況の変化への対応
障害年金申請の時点では無職や休職中だったのが、更新時には就労を再開している場合には、支給停止となってしまう可能性があります。ただし、就労しているからといって必ずしも不支給になるわけではありません。
重要なのは、どのような条件で、どのような配慮を受けて働いているかを具体的に記載することです。障害者雇用枠での就労、短時間勤務、業務内容の配慮、職場のサポートなど、就労を継続するために受けている援助を明確にすることで、適切な審査が行われます。
提出期限の厳守
障害状態確認届の提出期限は誕生月の末日です。この期限を過ぎてしまうと、障害年金の支給が一時差止めとなる場合があります。
提出期限に遅れると一時的に差し止めになることがありますが、その後診断書を提出して認定されれば、差し止め解除の時点から年金の支給が再開されます。ただし、余計な手続きが必要になるため、できるだけ期限内に提出するようにしましょう。
支給停止・等級変更への対策
令和5年度のデータによると、障害年金全体の更新において支給停止となる確率は約1.1%、等級が下がる(減額になる)確率は約0.8%とされています。決して高い確率ではありませんが、万が一に備えて対策を知っておくことは重要です。
支給停止・等級下げの主な原因
支給停止や等級下げの主な原因としては、診断書の記載内容が不十分な場合、実際の症状よりも軽く記載されている場合、就労状況の変化が反映されている場合、前回と比較して症状が改善したと判断される場合、医師が変わったことで評価基準が変わった場合などが挙げられます。
これらの原因を踏まえて、診断書の内容確認と医師への適切な情報提供を行うことが、支給停止や等級下げを防ぐための有効な対策となります。
支給停止になった場合の対処法
障害年金が支給停止になっても、受給権がなくなったわけではありません。障害の状態が悪化した場合は「支給停止事由消滅届」を提出することで、支給の再開を求めることができます。
この手続きは、支給停止から一定期間を空ける必要がなく、病状が悪化したことが反映されている診断書を添付して提出すれば、改めて審査が行われます。
審査請求・再審査請求
更新の結果に納得がいかない場合は、審査請求や再審査請求を行うこともできます。審査請求は決定を知った日の翌日から3か月以内に、地方厚生局の社会保険審査官に対して行います。
審査請求・再審査請求をしながら、支給停止事由消滅届の提出も並行して行うという方法を取ることもできます。時間のかかる審査請求・再審査請求の結果が出る前に、支給停止事由消滅届が先に認められて支給が再開されることもあります。
額改定請求の注意点
等級が下がった場合に元の等級に戻したい場合や、現在の等級より上の等級を目指す場合には「額改定請求」を行います。ただし、減額改定や支給停止になった場合は、審査の結果を知ってからすぐには行えず、前回障害の程度について診査を受けた日から原則1年経過後に行えるようになります。
障害状態確認届が届かない場合の対処
障害状態確認届は、誕生月の3か月前の月末頃に日本年金機構から送付されます。届出に必要な診断書用紙も同封されています。
届かない場合は、まず年金事務所に連絡して診断書用紙を取り寄せます。住所変更をしている場合は、届出が正しく行われているか確認することも重要です。マイナンバーが登録されていれば、住民票を異動していれば自動的に新しい住所に届きますが、登録していない場合は住所変更届の提出が必要です。
障害状態確認届の提出方法は複数あります。日本年金機構から送られてくる返信用封筒に入れて郵送するのが一般的ですが、年金事務所や街角の年金相談センターの窓口への提出も可能です。また、障害基礎年金のみを受けている方は、市区町村の国民年金課窓口でも提出できます。
審査期間と結果の確認方法
障害状態確認届を提出してから結果が出るまでの期間は、約2か月から4か月程度です。混雑時には4か月以上かかることもあります。
審査の進捗状況を知りたい場合は、審査状況確認専用ダイヤル(03-5155-1933)に電話して確認することができます。「ただいま審査中です」という回答であれば、少なくともあと1か月以上はかかると理解しましょう。「審査は終了しており、結果通知の発送に向けて準備中です」という回答であれば、1か月以内に結果通知が届く可能性が高いです。
通常より審査に時間がかかる場合は、「審査遅延のお知らせ」という通知が届くことがあります。過去に同一傷病で不支給となり、改めて請求を行う場合などは、過去の請求書類との比較検討が必要となるため、審査期間が長くなる傾向があります。
疾患別の診断書作成ポイント
障害の種類によって、診断書作成時に特に注意すべきポイントが異なります。
発達障害の場合
発達障害での障害年金の審査において、診断書に書かれた日常生活の能力は特に重視されています。障害年金の審査は書類審査のみで、面談や聞き取り調査等はありません。そのため、診断書に日常生活での困りごとや周囲の配慮などを正しく反映してもらい、自分の状態が審査する人に伝わる診断書を作成してもらうことが大切です。
知的障害を含まない発達障害の場合は、発達障害が判明したきっかけや、幼少期に発達障害をうかがわせるような言動やエピソード(学習の遅れや、集団生活の不適応など)があればそれも記入してもらう必要があります。
また、臭気、光、音、気温などの感覚過敏があり、それにより日常生活に制限が認められる場合は、その状況をできるだけ詳しく記載してもらいましょう。
知的障害の場合
知的障害で障害年金を請求する場合、通常は初診日の証明書(受診状況等証明書)の取得は不要です。先天性の知的障害の場合、初診日は出生日となるためです。
ただし、てんかんや統合失調症などの別疾患を併せ持っている場合は、それぞれの疾患について初診日の証明が必要になることがあります。
成人以降に判明した知的障害の場合であっても、問診により把握できた範囲で、発育・養育の状況や通学・学習の状況を診断書に詳しく記載してもらうことが重要です。母子手帳や通知表等により、知的障害をうかがわせる症状や行動等を把握されている場合には、その状況も詳しく記載してもらいましょう。
てんかんの場合
てんかんで障害年金を申請する場合、発作の頻度や種類だけでなく、発作間欠期(発作が起きていない時)の精神神経症状や認知障害なども評価の対象となります。
診断書の「意識障害・てんかん」の欄にてんかん発作について記載するだけでなく、合併する精神神経症状や認知障害などがある場合は、該当する全ての病状や状態像についても記載してもらう必要があります。
てんかん発作の重さだけでは等級は決まりません。発作による日常生活への支障、就労への影響、服薬の状況なども総合的に評価されます。
障害年金の等級と年金額
参考として、障害年金の等級と年金額の目安を記載します(令和6年度の金額)。
障害基礎年金の場合、1級は年額約102万円(月額約8.5万円)、2級は年額約82万円(月額約6.8万円)となっています。さらに、18歳到達年度末までの子がいる場合は加算があります。
障害厚生年金の場合は、報酬比例部分の年金額に応じて決まります。1級は報酬比例の年金額の1.25倍に配偶者加給年金額を加えた額、2級は報酬比例の年金額に配偶者加給年金額を加えた額、3級は報酬比例の年金額(最低保障額あり)となります。
なお、障害厚生年金の1級・2級に該当する場合は、障害基礎年金も併せて受給できます。
専門家への相談について
障害年金の更新手続きに不安がある場合は、社会保険労務士などの専門家に相談することも選択肢の一つです。専門家に依頼するメリットとしては、診断書の記載内容のチェック、医師への説明のサポート、書類の不備を防ぐこと、更新が通らなかった場合の対処法のアドバイスなどがあります。
障害年金を専門に扱っている社会保険労務士事務所が各地にあります。相談する際は、障害年金の実績が豊富な事務所を選ぶことをお勧めします。初回相談は無料で行っている事務所も多いため、まずは相談してみるのもよいでしょう。
専門家に依頼するかどうかに関わらず、自分でできる準備として、年金証書で次回診断書提出年月を確認しておくこと、前回の診断書のコピーを保管しておくこと、日常生活の状況を具体的にメモしておくこと、医師に伝えたいことを整理しておくこと、提出期限を守るためのスケジュールを立てておくことなどがあります。
更新に関するよくある疑問
障害年金の更新に関して、多くの方が抱く疑問について解説します。
病院の予約が取れず診断書の作成が間に合わない場合は、まずできるだけ早く医療機関に連絡し、障害年金の更新で診断書が必要であることを伝えてください。緊急性を伝えることで、予約を早めてもらえる場合があります。それでも提出期限に間に合わない場合は、事前に年金事務所に相談することをお勧めします。提出が遅れる理由を説明すれば、一定の猶予を認めてもらえる場合もあります。
前回と同じ状態なのに等級が下がることがあるかという疑問については、実際の状態が変わっていなくても、診断書の記載内容によっては等級が下がる可能性があります。特に主治医が変わった場合、評価基準が異なることで記載内容が変わってしまうことがあります。また、審査基準や運用が変更されることもあるため、前回と同じ状態でも結果が異なる可能性はあります。
仕事を始めると障害年金はもらえなくなるのかという疑問については、仕事をしているからといって必ずしも障害年金がもらえなくなるわけではありません。特に精神障害の場合、どのような条件で、どのような配慮を受けて働いているかが重要です。障害者雇用枠での就労、短時間勤務、業務内容の制限など、具体的な配慮の内容を診断書に記載してもらうことで、適切な審査を受けることができます。
診断書の内容に納得がいかない場合は、必ず内容を確認してください。実態と異なる記載がある場合は、医師に説明して修正を依頼することができます。医師に直接言いにくい場合は、メモや手紙で伝える方法もあります。それでも修正に応じてもらえない場合は、セカンドオピニオンとして別の医療機関を受診することも選択肢の一つです。
永久認定になることがあるかという疑問については、手足の切断など、時間が経っても状態に変化がないと見込まれる場合には永久認定となることがあります。永久認定が認められた場合、更新手続きは不要となり、障害年金を継続して受け取ることができます。ただし、精神障害の場合は症状の変動があるため、通常は有期認定となります。
更新で等級が上がることがあるかという疑問については、障害の状態が悪化した場合、更新時に等級が上がる(年金額が増える)こともあります。また、更新時期を待たずに「額改定請求」を行うことで、等級の見直しを求めることも可能です。ただし、額改定請求は前回の診査から1年経過後でなければ行えないという制限があります。
障害年金の更新は、決して難しいものではありません。診断書の書き方のポイントを押さえ、日常生活の状況を医師に正確に伝えることで、適切な審査を受けることができます。事前の準備と正確な情報提供により、スムーズに手続きを進めることができるでしょう。









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